一線を越えた日(F/m)


ヴァルマーさん作


「お正月を故郷で過ごした人達のUターンラッシュが今日ピークを迎え・・・。」
どのテレビ局のニュースを見ても同じような事ばかり言っている。
司(つかさ)はテレビをつけっぱなしにしながら、1階の和室にて宿題である書初めに熱心に取り組んでいた。
ちなみに司の両親の実家は車で30分かからない場所にあるため、この話題とは
全く無縁だ。そして、年始の挨拶自体は既に終わっている。
冬休みもあと一週間ほど残っており、お年玉をたくさん貰った司はどこか遊びに行こうかと思っていたが、両親が仲人の家に挨拶に行くとの事で急遽お留守番を頼まれてしまう。もし嫌がると自分も一緒に連れていかれ、お年玉は貰えるかもしれないが、大人連中に囲まれて窮屈で苦痛な一日になるのは間違いない。そう子供なりに予想し、渋々引き受けることにした。当然、ちゃっかりとお年玉は代わりに預かってとお願いして・・・。



(そういえば・・・今年は家に来ないのかな?)
司はふと頭の中で、ある人の事を考える。どうやら年初めには顔を出す
知人らしいのだが、その矢先に・・・
「ごめんくださーい!」
玄関の方から何やら声が聞こえてくる。玄関から和室までは結構離れているので、誰が何を言っているかはあまりよく聞き取れない。
(ん?誰だろう・・・回覧板かな?ま、いいや、黙ってよっと)
司は特に構う事なくそのまま書初めを続けていた。すると、
ガラッ
「うわっ!」
「あー!やっぱり居たー。」
いきなり襖が開き、着物姿の女性がゆっくりと部屋の中に入ってくる。
司は思わず驚きの声を出してしまったが、すぐに女性の正体に気づき、
「い、泉お姉ちゃん!」
「よっ、一年ぶり!元気そうね。」
「う・・・うん。」
泉は司の従姉であり、歳は一回り以上離れているが、子供目線で話をして
くれる数少ない司の理解者であり、司にとって大のお気に入りの存在である。今は故郷を離れて都心で一人暮らしをしているが、多忙のため年末年始のみ帰ってくる生活が続いている。
「姉ちゃんに会えて嬉しい?」
「う・・・うん!」
「よし!正直でよろしい。」
泉はそう言うと、いきなり後ろから司に抱きついた。
「わ、わわっ!や、やめてよ・・・。」
「エヘッ、嬉しいくせに。」
司は多少抵抗したものの結局、勢いに負けて泉の膝の上に抱かれてしまう。
「珍しいね・・・着物。」
「そうでしょ。挨拶に行くんだったら、たまには着物でも着て驚かしてこいって母さんがね・・・どうかな?」
「す、すごく綺麗・・・。」
「ちょ、ちょっと・・・子供のくせに褒めすぎじゃない?こ、こっちがちょっと恥ずかしくなってきたじゃない。と、ところでお父さんとお母さんは?」
泉は頬を赤らめながら話題を変える。
「仲人さんちにお出掛け。だから一人でお留守番。」
「ふうん。」
「泉お姉ちゃんはいつ帰ってきたの?」
「昨日よ。本当は大晦日には帰ってきたかったんだけど仕事が忙しくてね。
でもおかげでお休みをずらせたからラッシュには巻き込まれることなく帰れそうだけどね。」
「へへ、よかったね。たしか去年と一昨年は今年より早く来てたもんね。」
「へー、覚えてるんだ。私が来た日を。」
「うん!だから、今年は来ないのかなって・・・。」
「心配になった?」
「・・・うん、少し。」
司もここで顔を紅潮させてモジモジする。そんな司を見て泉は嬉しくなり、更に力一杯抱きしめてあげたくなった。しかし何とか落ち着きを取り戻し、コホンと咳払いを一つして、
「さてと・・・偶然とはいえ家には誰もいないことだし、ここでお正月恒例の
「アレ」しちゃおっか?」
「いっ!」
泉の言葉に驚く司。さて、泉の言う「アレ」とは一体・・・。
「そんなにびっくりすることないでしょ?初めてじゃないんだし。」
「わ、わかってるけど・・・も、もし誰かに見られたら・・・。」
「大丈夫、玄関の鍵は閉めといてあげたから。それに、お父さんとお母さんは
どうせ遅くまで飲んでくるでしょうから、しばらく帰って来ないでしょ?それにここの方が司の部屋より広々としてやりやすそうだし。」
「うん・・・で、でも・・・。」
「こら!第一、最初にお願いしてきたのは司の方よね?しかも一度ならぬ二度
までも・・・何を今更恥ずかしがってるの?。どうせ今年もお願いするつもりだったんでしょ?今回くらい私の思うようにやらせなさい!わかった?」
「・・・はい。」
司のか細い返事を聞くと、泉は司に一旦どいてもらってから正座し直すと、今度はその太腿の上に司をうつ伏せにした。司の頭は泉の左側、そしてお尻は右側となる。司もまた素直に従い、まるで飼い猫のように大人しくしている。
「はーい。これから脱ぎ脱ぎするよー。」
それから泉は司のパンツに下着ごと手を掛けると、それをゆっくりゆっくりと
ずり下げていく。すると、いかにも子供らしく柔らかそう司の白いお尻が少しずつ顔を出していく。そして完全にお尻が露わとなったところで手を離すと、今度はその無防備となったお尻をそっと撫で始めた。
「フフッ、これで三度目か・・・ねえ、聞いてる司?」
「・・・うん。」
「あれからもう二年になるのね。あの時と比べると、お尻も大分大きくなってきてるし、随分大人びた事も言うようになったし。」
「・・・・。」
「最初はびっくりしちゃったわよ。私が子供の頃、悪い子になったらこんな風に「お尻ペンペン」のお仕置きをされてたって話をした時、やけに真剣に聞いてるなと思ったら急に「僕にもお尻ペンペンしてっ!」なんて言うもんだから・・・ま、だけど司のお父さんお母さんは温厚だからそんな事しそうもないし、一種の社会勉強かなと思ってとりあえず軽ーく「お尻ペンペン」をしたわけだけど・・・どうしてだろうね?また翌年もお願いしてきて・・・そして同じようにまた「お尻ペンペン」というか「お尻ペンペン遊び」をしたよね。」
「・・・・。」
「ねえ?毎回聞いて悪いけど、どうして「お尻ペンペン」されたいの?最初は
興味本位でお願いしてきたんだろうと思うけど、今はどうなのかな?」
ここで泉が司に問いかける。
「・・・何となく。」
「うーん・・・それだといつもと同じ答えでしょ?もう知恵もついてきてるんだし、そろそろちゃんとした答えを司の口から聞きたいなぁ。」
泉の突っ込みに対し、少しの間沈黙していた司であったがしばらくして、
「泉お姉ちゃん・・・あったかくて気持ちいいから。」
ようやく出た司の言葉は、真正直でわかりやすいものであった。
「もう、司ってば・・・だけどそれなら抱っこやおんぶでも良さそうなものでしょ?わざわざこうやってお尻まで出さなくったって・・・。」
泉は少し動揺しながら再度尋ねると、司は、
「だって、こっちもいいんだもん。」
ニコッと笑いながら無邪気にそう答えるのだった。
(うーん、これは変な癖がつく前に何とかした方がいいかも・・・だけど、今回は驚かそうと思って私の方から言い出したわけだし、司のがっかりする顔は見たくないな・・・うん、こうしよう。今回で終わりにすればいい。こんなお仕置きを遊びと思わせる間違った教育はいけないからね。大丈夫、司は良い子だからきちんと説明すればわかってくれるわ・・・)
すると、泉はしばらく考え、この短い間で自分に言い聞かせるように結論を導き出すと、司に声を掛けようとした。だが、その時・・・
「泉お姉ちゃん。」
「・・・・!」
逆に司の方が泉に話し掛けてきてしまい、ビクッとする泉。そして、これから
思いもよらない展開へと進んでいく事となる。
「「お尻ペンペン」って本当は痛いんだよね?」
「え?う、うんそうよ・・・お仕置きだからね。私がこれまで司にしたような「お尻ペンペン遊び」なんか比べものにならないんだから。」
「じゃあさ・・・本気でやって。」
「へ?な、何?悪いけどもう一回言ってくれる?」
「だから、僕を悪い子だと思って「お尻ペンペン」してよ。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ司。あ、あんた自分が何言ってるかわかって・・・。」
「ねえ、お願いー。僕だって前より大きくなってるし、痛いのなんて我慢できるからさー。だって、学校のグランドで転んだってもう泣かないしー。」
突然「お尻ペンペン遊び」でなく、かつて泉自身も恐れていた「お尻ペンペン」のお仕置きを何度もせがむ司。どういう風の吹き回しなのか?すると困惑する泉に対し、さらにこんな事を言い出した。
「それにパパとママが言うんだもん。泉お姉ちゃんみたいな立派な大人になれるように、いつも良い子でいなさいって。それだったら、泉お姉ちゃんは昔「お尻ペンペン」されて良い子になったって言ってたから僕も今年は「お尻ペンペン」のお仕置きで泉お姉ちゃんに良い子にしてもらおうって決めてたんだ。」
「司・・・。」
小学生とは思えない強い決意に、泉の心が大きく揺らぐ。泉としては例年通り、薄桃色程度にお尻を染める「お尻ペンペン遊び」をした後で、丁寧に説明してケジメをつける目論見であったが、自分を敬愛してくれる子供にここまで言われたら引き下がることはできない・・・泉は覚悟を決めた。
「わかった・・・そこまで言うんだったらしてあげる。」
「ほ、本当?」
「ええ、私じゃ役不足かもしれないけどね。だけど、司がそこまで私の事を思ってくれてたなんて・・・正直言うと嬉しくて今にも抱きしめてあげたいの。だけど、今日だけは心を鬼にしてお仕置きするからね。」
「・・・・。」
司はゴクリと唾を飲む。そして、泉は司の体を太腿の上にガッチリと押さえつけると、これまでずっとお尻を撫でていた手を止め、そのままスッと高く振り上げた。
「時間ももったいないし、心の準備は既に出来てるようだから始めるわ。司・・・去年までの「お尻ペンペン遊び」なんか忘れるくらいたーっぷりとこの可愛いお尻を思い切り叩いてあげるから。」
泉は誰もが厳しいと思う言葉を平然とした顔でサラリと言い放つと、司の鼓動は最高潮に達した。



ばしぃん!
「うぐっ!」
綺麗に指先を揃えた泉の掌が勢いよく司の右のお尻の山に当たる。その瞬間、大きな乾いた音が部屋中に響き、お尻にはパアッと薄ら赤い手形が浮き出される。司は昨年までのお触り程度で回数だけは100回以上叩かれていた「お尻ペンペン遊び」とは180度異なる真の「お尻ペンペン」を受け、思わず声を出してしまう。想像通り・・・いや、想像以上の痛みを味わうという事実に、急激に恐怖が増幅状態の司であったが、ここでさらに間髪入れず、
ばちん!
「ひっ!」
「ふたーつ。」
ばちぃん!
「びいぃっ!」
「みーっつ。」
左のお尻の山にも泉の強烈な一打が炸裂し、同じように手形が浮き出る。すると、続けざまに今度は掌をジャンケンの「パー」のように大きく開き、そのまま左右のお尻の山の真ん中を狙って叩く。その掌は司のお尻全体を包み込むようであり、はたから見ても相当痛そうに見える。まあ、実際に痛いのではあるが・・・。
ばしん!ばちん!ばしぃん!
「ぴぎいぃー!ひいぃん!」
最初の三打以降は言葉で数を数えることなく、黙々と司をお仕置きしていく泉。右、左、そして真ん中と、規則正しくお尻を叩いていくことで、徐々に数個の手形が重なっていき、薄桃色から濃い赤色へとムラなく染まっていく。叩かれる度に喚き、体を反り上げて暴れようとする司であったが、泉の大人の力により太腿の上から逃れることができない。
ついこの前までは大好きなお姉さんの温もりを肌で感じられた憩いの場だったのが、今や大袈裟に言えば処刑場・・・そんな幸せの時を楽しむ隙を与えられないまま、ただただ歯を食いしばり、畳や泉の来ている着物の裾を掴むことで激しい痛みに耐えるしかなかった。
ばちん!ばちぃん!ばしぃん!ばしん!ばしん!ばちぃん!
「うっ、うっ、うぎゃああぁーん!!」
ここまで目を潤ませながらも必死で我慢してきた司も、30回を過ぎた辺りでとうとう大声で泣き出した。そして、ここまでいくら痛そうな顔をしたり暴れたりしても構うことなく手加減なしでお尻を叩き続けた泉であったが、初めて耳にする司の泣き声には流石に勝てず・・・
「おー、よしよし・・・ごめんね、よく頑張ったよー。お尻、すっごく痛かったねぇ?はいはい、良い子だからもう泣かないでねぇ・・・よしよし。」
即座に叩く手を止め、慌てて司を抱き上げると、まるで赤ん坊をあやすかのように真っ赤に腫れあがったお尻をひたすら撫でまわすのであった。



それからしばらくして、泣き止んだ司は最初の時と同じく泉の膝の上に胡座をかくようにちょこんと座り、しっかりと抱きしめられていた。まるで「ここは僕の指定席だ!」と言わんばかりに・・・。
だがしかし、司のご機嫌はまだ直ってないようだ。
「ねえ、司。そろそろ許してよ・・・。」
「・・・だめ、許さない。」
「どうしてなの?もう何度も謝ってるじゃない・・・こんなお尻痛い痛いしてごめんねごめんねって。」
「・・・そうじゃないよ。」
「そうじゃない?だったら、何がいけなかったの?」
「どうして・・・途中でお仕置きやめちゃったの?」
「へ?」
「うー、これで僕はまだ良い子になれないよぉ・・・。」
「司・・・怒ってる理由ってもしかして・・・。」
「だって、泉お姉ちゃん言ってたじゃん。「お尻ペンペン」される時は100回叩かれたって・・・それなのに・・・。」
「それは司が泣いちゃうからでしょ。私だって最初はそうしようと考えたんだけど・・・子供に本気で「お尻ペンペン」のお仕置きしたのは初めてだったし、大泣きした途端ちょっとやりすぎたかなって思っちゃってね。」
「・・・・。」
「それに司は元々こんな事しなくったって良い子なんだから。だからもう機嫌を直してよ、お願い。」
「・・・う・・・うん。」
ここでやっと司に笑顔が戻った。
「よしよし・・・あ、何だったら、これからその続きでもする?」
「え!そ、それは、えっと・・・い、泉お姉ちゃんの意地悪っ!」
「ウフフフ・・・冗談よ。」
司は顔を赤らめながら泉の腕をぎゅっと両手で掴んで抵抗(甘える?)する仕草を見せると、泉はにっこりして司の頭をゆっくりと撫でた。



そして泉の帰り際、司はそっと耳打ちする。周りには誰も居ないのになぜと思いながらじっと黙って聞いてあげる泉であったが、その謎はすぐに解ける。そしてお返しに泉は司にこう耳打ちした。
「わかったわ、今度は泣いても喚いても許しません。私のお膝に座れない・・・いいえ、パンツも履けなくなるぐらい嫌と言うほどお尻を叩いてあげるから・・・。」
どうやら恒例行事はもうしばらく続きそうだ。それも格段に強化される形で・・・。