ぺちSS板
モードスイッチ(F/M)


「やっほー、文弥さん、おじゃまー」
「梓か。おかえり」

 文弥さんの部屋に入ると、またPCに向かって仏頂面で何かしてた。急いで画面を変えてないところを見ると、エロゲとか見られたら気まずくなるようなものじゃなかったみたい。

「確か今日で学期末試験は終わりだったな。どうだ?」
「んーとね。まぁ…単位は間違いなく取れると思う」
「そうか」

 ぶっきらぼうな聞き方だったけど、文弥さんなりに私のことを気にかけてくれてたんだと思う。表情や仕草や言葉づかいはぶっきらぼうだけど、こうみえて結構文弥さんは優しい。
 そしてまた文弥さんはPCに向かって何かを始めた。近々必要な書類の作成は終わったって言ってたから、趣味の方の何かをしてるんだと思う。文弥さんがPCでやることは色々ありすぎて限定出来ない。
 趣味の方でパッとあがるものでは、麻雀してたり将棋してたりゲームしてたりネットしてたり絵を描いたり小説を書いたり、プログラミングを組んだり。
 あと仕事でもPCを頻繁に使ってる。

「今日の夕飯だけど、何か食べたいものとかある?」
「うーん…。梓の作る料理なら、何でもいい」

 『なんでもいい』。料理を聞いてる方にしてみればこれほど面倒な回答はないと最近つくづく思う。あっちにしてみれば「なんでもおいしいから」って意味なのかもしれないけど、パッと思いつかない時に聞いてるのに『なんでもいい』だと、がんばって料理を頭からひねりださなきゃならない。
 仕方ない。それじゃあ…うーん…。
 …最近は中華、してないからそっち方面にするかな。チンジャオロースに、朝つくった味噌汁の残り。あと昨日つくった煮ものが1品あるから、それでいいことにしちゃおう。
 こういう時に、小説とかのキーだったら、文弥さんがピーマン嫌いって言って、お残ししてダメでしょー、ってお尻ペンペンの流れになるんだけどねぇ。文弥さん、好き嫌いあんまないし。ピーマン確か大好きだったし。
 夕飯まではまだまだ時間があるので、私も自分のノートPCを開いて作業を始めた。



 私は梓。都内の大学1年生で、来年大学2年生になる。名目上はアパートを借りて一人暮らしなんだけど、アパートの大家さんでもある文弥さんとは知り合いなので、アパートの部屋を借りてはいるけれど、文弥さんの家にいることが多い。真面目に勉強しだしたりする時ぐらいかな、自分の部屋に戻るのは。
 文弥さんとはネットで知り合った仲。中学卒業する辺りで文弥さんにネット上で合って、意気投合して高校生の時に二人でぷちオフ会して出会って。ネットでも意気投合してたけど、実際に会っても意気投合して、そのあともちょくちょく会って。
 今では文弥さんと半同棲状態。私は文弥さんのことが好きだし、文弥さんも私のことを少なからず好意を抱いてくれてると思う。
 出会ったのは――――――とあるスパンキングコミュニティで、私も文弥さんもSS書きとして出会った。


 物心ついたときから、私はお尻ペンペンに興味があったし、漫画でも小説でも絵本でもなんでも、お尻ペンペンに関することに遭遇するとすごくドキドキしてた。中学生のころにインターネットをしてたら、たまたまそういうサイトを見つけて、それが「スパンキング」ってもので、私みたいにお尻ペンペンのことでドキドキしちゃうのは私だけじゃないのが分かった。日本じゃあんまり知られてないけれど、西洋とかだと結構ポピュラーみたい。
 それから色んなスパンキング関連のサイトをまわってたら、自分でも小説を書きたくなって、勢いあまって投稿してた。私の小説に感想入れてくれた人がそこそこいてくれて、その中の一人が、文弥さん。
 そこから始まって、メールやMSNメッセンジャーで喋ったりして、1〜2年ぐらい経ったころ、私も文弥さんも住んでるところが結構近かったし、たがいのこと結構知ってるからということで、二人だけのぷちオフ会を開いた。


 でもそのオフ会で文弥さんに会った時、ものっすごいびっくりした。
 ネットでの私のHNは「レッチリ」。名前が「梓」で名前の一部の「辛」で「からい」→なんか熱そう→レッドホットチリペッパーってあったなそーいえば。という流れでつけた名前。
 文弥さんのネットでのHNは「ぶんぶんまる」。あるゲームの女性キャラクターに関するものの名前だった。
 ――――私は文弥さんのことを女性だと思ってて。
 ――――文弥さんは私のことを男性だと思ってた。
 同性同士でオフ会で会おうと思ってたら、実は異性だったという。確かに私のHNも男性っぽいし、文弥さんのHNも女性っぽい。
 1〜2年話してたけど、文弥さんは私のことを絶対男性だと思ってて。私は文弥さんのことを絶対女性だと思ってた。だって話し方とかそんな感じするんだもん。あっちもそう言ってたけど。

 最初は同性同士だと思ってたけど実は違ったってことでドギマギしたけど、私達はすぐに打ち解けた。メールやメッセンジャーで話し合った通り、趣味嗜好とか色々とマッチするところが多くあった。
 ただ、実際の文弥さんは、ネットで話してるよりも少しぶっきらぼうな感じはあった。ネットで知らない状態で文弥さんにあったら「すごく無愛想な人」だと思うけど、すでにネット上で色々知ってるので、むしろ「ツンデレ」なイメージが強く残った。実際、ぶっきらぼうに見えてすごく気を使ってくれてる。カラオケに行った時なんて、部屋の温度調節とかすごく気にしてくれてた。
 それと、かわいいところもあった。カラオケで「ほら、がんばって」ってお尻をぽんて叩いたら「やっ…!」ってすごく恥ずかしそうにしてたのが今でも記憶に残ってる。顔を耳まで真っ赤にして、両手でお尻を抑えて「うぅ〜…」って私の方をうらみがましく見てくる仕草は、一瞬前までのぶっきらぼうにふるまう彼と同一人物とは思えないほどだった。



 その日はそれで終わり。でもその次は文弥さん家で会って――――最初はまず私がお尻ペンペンしてもらった。
 最初に会った日の夜のチャットで、次会う時にはどちらかが実際にお仕置きしてもらうことは決まってたから、じゃあまず私からということで、具体的にどういう風にお仕置きの流れにするのかっていうのを十分に話し合ってた。
 私はその…なんというか、女の子だけどそんなにおしとやかじゃなくて、考えるよりも先に行動が出ちゃって結構おっちょこちょいだ。なので、そういうところを叱る感じでお尻をぶってもらいたかった。
 お尻をぶたれたことなんて、パパやママにだってされたことなかったからすごくドキドキした。期待以上に不安もあった。けど文弥さんが「怖くなったり途中でやめたかったら、すぐに言うんだ」って声かけてくれて、お尻ペンペンの前には膝の上に抱っこしてくれて、落ちつくまで頭をなでてくれた。文弥さんは私と同じぐらいの背丈で、男性にしては華奢な方だけどやっぱり男性だから私のことを軽々と抱き上げてぎゅってしてくれた。抱きしめられてなでてもらえて、私はすごくすごく安心した。
 それから、胡坐をかいた文弥さんの膝の上の四つん這いになって…デニムもショーツもすっかり脱がされちゃって、ゆっくりと一回ずつ丁寧にお尻をぶってくれた。痛くてガマンできなくなっちゃいそうな時には叩く手を止めてくれて、またガマンできるようになるまでお尻をなでて待っててもくれた。でも最後には私の希望通り、わんわん泣くまでお尻をぶってくれて。
 お尻ペンペンが終わると、わあわあ泣く私を抱きかかえて、良い子良い子ってうんと慰めてくれた。「もう悪いことしちゃダメだからな」って穏やかな声で囁いてくれて。私はあぐらをかいた文弥さんにもたれかかって、首筋にギュッとしがみついて力いっぱい泣きわめいた。こんなに力いっぱい泣きわめいたのは初めてかもしれないってぐらい泣きわめいた。文弥さんは、すごくじんじんヒリヒリして熱く火照った私のお尻を優しくなでてくれて、くしゃくしゃと頭をなでてくれた。ひとしきり泣きじゃくった後でも、文弥さんはうんとナデナデしてくれた。

『その…。お尻はまだ痛いのか?』
『う、うん。その…まだすごくヒリヒリする…』
『そうか。…水でぬらしたタオルで冷やすか?』
『ううん。このままがいい』
『分かった』

 濡れタオルで冷やしても気持ちいいかもしれないけど、文弥さんになでてもらう方が今はいい。
 文弥さんの膝の上に座って(お尻を宙に浮かせる感じでね)、文弥さんの首に手をまわして、私の頭を文弥さんの肩にあずけた。






 その1週間後。
 次は私が文弥さんのお尻を叩く番になった。
 もちろん、私は人のお尻をホントのお仕置きとかの意味合いで叩いたことはない。前のカラオケの時みたいにふざけて叩くみたいなことはあるけど、あーいうのとは全く別物だろうし。文弥さんもスパ経験は私と同じで「今までの叩く方も叩かれる方も経験がない」みたい。でもそれにしちゃあ前回の私へのお尻ペンペンが妙に上手だった気がする。
 閑話休題。
 文弥さんの方は、色々聞いてみると「ママにお尻ぶってもらいたい」みたいな気持ちがあるF/f好き…に加えてF/m好きなので、次の私は文弥さんのママになってお尻ペンペンしちゃうのだ。正直、普段のあの人がママって単語を口にするっていうイメージはしづらい。カラオケでお尻をはたいた時はすごく可愛い子みたいになってたから、お尻ペンペンするときになったらあんな感じになるのかな?
 文弥さんは「結構じたばた暴れちゃうかもしれないから、そうしたら自分の腕を背中に押さえつけたり、もしくは両手を布とかで縛っちゃってもいいよ」って言ってたけど…一応心配なんで、セーフワードも設定しといた。
 前述の通り、私の文弥さんはだいたい同じぐらいの背丈。文弥さんの背が低めなんじゃなくて、私が女性の平均よりも背が高い。170超って日本人だとあまりいないんだよね。力も結構自信あるけど、文弥さんがしっかり暴れちゃったら押さえ込める自信は正直ない。まぁでも、何とかなるかな?
 あとは「わあわあ泣きじゃくるぐらいお尻ぶってほしい」ってことだった。一応、罪状(?)は「大学の単位(取らなくても全く支障がないやつらしいけど)を一つ、おとしちゃった」ってので行くことに決定。こういう口実はすごく大事だと思う。


 一週間後の決行日。もちろん場所は文弥さんの家。その日の文弥さんは私と会ったときからすごくドギマギしてて、家の中で何度も転びそうになってた。なんていうか超かわいい。
 最初は文弥さんの部屋で談話。家に入っていきなりお尻ペンペンし出すってのもなんかむなしいものがあるし。一緒にお茶飲んで、最近の話をしたり文弥さんの話を聞いたり。談話している時でも文弥さんがすごくドギマギしてるのが分かった。前までの文弥さんの一人称は「俺」で喋り方もぶっきらぼうなところがあったのに、今日の文弥さんは一人称が「僕」になってて、喋り方も甘えっ子な男の子みたいな感じ。なんていうか超かわいい。
 このままずっと引っ張るのも面白そうだったけど、お茶も飲み終わったし、そろそろ本題に
は言っちゃおう。


『そういえばさ、ふーちゃん。大学の単位、ひとつ落としちゃったって聞いたんだけど、どうなの?』
『え、その…。…梓ちゃん?』

 さっきまでは『梓』って呼び捨てだったのに、急に『梓ちゃん』になったのもキーモードのスイッチが入ってるってことなのかな。

『こら。ママ、でしょ? で、どうなの?』
『その…。…で、でも、取らなくても問題ない単位だし…』
『ふーちゃん?』

 わざとキビシメな声で文弥さんを呼んだ。

『…ごめん、なさい…』
『取った授業なら、ちゃあんと真面目に単位取らなきゃダメでしょ?
 それに、言い訳なんてして…悪い子』

 私はゆっくり立ち上がって、おどおどしてる文弥さんの手を引いて立ち上がらせて、ベッドのあるところまで歩いていき、私はそこに腰掛けて、

『おいで。単位落として、しかも怒られたくなくて言い訳しちゃう悪い子には、ママがうんとお仕置きしてあげる』

 ぽん ぽん
 お膝を叩いて、文弥さんにお膝に来るように宣告をした。ママとして。

『や…っ! その…ぼ、僕、もう子どもじゃないもん!』
『することをちゃんとしなくて、しかも言い訳しちゃう悪い子は子どもと変わりません。
 さ、おいで』
『や、やだぁ…』

 ちょっぴり涙目になってイヤイヤって首を振ってる様子がすごくすごく可愛い。ホントに、前までの文弥さんとは思えない。

『いい子に来れない子には、お道具使ってペンペンだよ?』
『やだぁ…!』
『いい子にお膝にきてお手手でうんとお尻ペンペンされるか。それとも悪い子にしてお道具でう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んとお尻ばちんばちんされちゃうか。
 ふーちゃん、どっちがいいの?』
『二番目はやだぁ!』
『それじゃあ、おいで』

 ぽん ぽん
 再度お膝を叩いて、お膝に来るように言うと文弥さんは『う゛〜…』ってフマンそうな声を出しながら、しぶしぶお膝の上でうつぶせになった。目の前にある枕をひきよせて、力いっぱい文弥さんは抱きしめてる。

『ふーちゃん。お尻ちょっと浮かせてね』
『うん…』

 もぞもぞと文弥さんは腰を浮かせてくれた。文弥さんのズボンのベルトとホックをはずして、ジッパーを降ろす。ベルトやホックをはずす時のカチャカチャという音と、ジッパーを降ろした時のジジジジという音がやけに部屋に響く。文弥さんもすごく恥ずかしそうにして、枕に顔をうずめてた。
 文弥さんのドキドキしてる心臓の鼓動が私の膝に伝わってくる。私も文弥さんにお尻ペンペンされてる時は、お膝を通してバレてたのかな。
 でも今の私も同じぐらいドキドキしてる。もちろん、それは表に出さないようにしてる。けれど、年頃の男性のズボンを脱がすなんてこと、私は今までしたことがない。

『それじゃあズボンもぱんつも、お膝まで降ろそうね』
『やだぁ…。ママ、はずかしいよぅ…』
『はずかしくても、だぁめ』

 ズボンとぱんつに指をひっかけて、ずりずりと膝までずりおろした。文弥さんのぷりんとした可愛らしいお尻があらわになった。思ってたよりもずっとキレイですべすべしてそうなお尻だった。なんていうか女の子みたいな。
 膝までズボンとぱんつを降ろすと、文弥さんは体を丸めて縮こまらせた。力いっぱい枕にしがみついて顔をうずめてるもんだから、体が少しぷるぷるふるえちゃってる。

『ままぁ…もう許して…っ。はずかしいよぅ…!』
『何言ってるの、まだ1回もお尻ペンペンしてないじゃないの。
 これから、ふーちゃんの可愛いおしりを、うーんとまっかっかにするんだからね?』
『やだぁっ…』

 文弥さんの恥ずかしがる様子があまりに可愛すぎて、顔がなんだかにやけてきちゃう。まだまだお仕置きは始まってないのに、文弥さんはやだやだって体を小さくよじらせちゃう。にがれられないようにがっちり背中を抑えて、叩く方の手でこれから真っ赤にしちゃう文弥さんのお尻をなでさする。うん、ホントにすべすべだ。

『それじゃ、いくよ。ふーちゃん』
『っ…!』

 なでさすっていた手をお尻から放して、すぅと手を高く高くかざした
 文弥さんのはじめてのお尻ペンペンが、すぐに始まる。
 文弥さんは力いっぱい体を丸めてちぢ込ませて、枕にギュッとしがみついた。

『――――ひとー、つ』


 ぱちぃんっ!


 かわいた大きな音が部屋中に響き渡った。
 スナップをうんと効かせた平手が、文弥さんのお尻の真ん中に命中した。叩かれた直後の文弥さんのお尻のお肉が一瞬、大きく波を打った。
 体を力いっぱいちぢ込ませてたけれど、文弥さんは大きく大きく体を反りかえらせて、痛みに耐えようと歯を食いしばっていた。喉の奥から声にならない悲鳴が漏れてる。
 お尻から手を離すと、真っ赤なもみじ模様が文弥さんの可愛らしいお尻に一枚、くっきりと浮かんだ。
 そして、文弥さんは膝の上にへたりこむように倒れ込んだ。

『ふえっ…』

 じんわりと文弥さんの目の端に涙がにじんだ。

『ママ、痛いよぅ…』
『うん。お尻ペンペンだからね。それっ』

 ぱちんっ! ぴしゃん!

『うあっ! やあっ!』

 最初の1発と比べたら全然弱いけど、それでもスナップをよく効かせて、痛い平手をお尻の左右のほっぺのおっこどした。

『やだぁ! 痛いよお!』
『こーら。少しぐらいじたばたしてもいいけど、あんまりうんと暴れちゃダメだからね』

 膝の上でじたばた体をよじらせる文弥さんを、左腕でがっちりお膝に押さえて、ぴしゃんぴしゃんて何度もお尻を叩いた。体をずっとよじらせてるけど、お尻を叩く瞬間には体がビクンて大きく跳ねる。足もばたばた動かして何回もベッドを蹴ってる。でもちょうど膝のところにズボンとぱんつを降ろしたもんだから、膝から先までしか動かせなくて、逃げようとしてもあんま効果はない。
 『悪い子はこーやってお尻ペンペンされちゃうんだよー』『悪いことしたら、いくつになってもママはふーちゃんのお尻を真っ赤っ赤にしちゃうんだからねー』って時々小言を挟みながら何度も何度も叩いた。
 

 40回ぐらいまでは、そりゃあじたばたはしてたけど、お仕置きの邪魔をしちゃうようなほど強くは暴れてなかった。
 でも40回ぐらい叩くと、お尻もホントに痛くなってきたみたいで、さっきよりも暴れ方が強くなってきた。

『ふーちゃん。うんと暴れちゃダメだってママ言ったでしょ?』

 ぴしゃん!

『ひんっ! やあっ! お仕置きもうおしまいぃっ!』
『あ、こらっ!』

 たたくところに手を伸ばしてお尻をかばった文弥さんの手を、ぺちんて叩いて背中へまわして押さえつけた。

『お尻ペンペンしてるのに、お手手でお尻かばっちゃダメじゃない!
 もー…悪い子、悪い子っ!』

 ばちんっ! ぱちぃんっ!

『いたああああいっ! やだあっ!』

 腕を背中に押さえつけてるから前よりは体をよじらせられなくて、文弥さんは足を力いっぱいばたつかせた。

『こーら! 足もそんなバタつかせないの! お尻ペンすると、足先に当たっちゃうでしょ?』
『だってもう無理ぃ! お仕置きおわりぃ!』

 まるでだだっこ。お尻を叩く手を止めてもバタ足を止めないで暴れちゃってる。
 こうなったら最終手段。
 ばたつく文弥さんの両足を、あぐらをかくように足で挟みこんで押さえつける。

『悪いことして、しかもちゃあんとお仕置き受けられないで、注意しても暴れちゃうなんて。
 ふーちゃん、うーんと悪い子っ!』

 ぱちぃんっ! ぱちんっ! ぱあん!!
 うーんと暴れちゃた罰として、うんと強めでイタイイタイ平手打ちを文弥さんのお尻におっこどした。くっきりともみじ模様が3つ追加された。

『ったあい! ごめんなさいごめんなさいっ! ふああんっ! ママごめんあさいぃっ!』

 ぱん ぱん ぱちんっ  ぴしゃんっ!
 普通の強さに戻して、何度も何度も文弥さんのお尻をぺちんぺちんてひっぱたく。

 腕も足も押さえつけられて、力いっぱい暴れようとしても、もう文弥さんは体を小さく揺らすことぐらいにしかならない。
 何にも抵抗が出来なくなっちゃって、文弥さんのお尻は前よりももっと無防備にただただ叩かれるしかなくなった。
 無抵抗な文弥さんのお尻に何度も平手をおっこどしていく。そのたびに少しずつ文弥さんのお尻が赤く赤く染まっていく。一面うっすらと薄紅色に染まってきている。
 大きく暴れられなくなったからか、泣きわめく声も痛くて叫ぶような声じゃなくて次第に泣きじゃくる声にだんだんと変わっていった。
 ぱたつかせようとしていた足も、次第に痛みを紛らわせようと足先や膝をすり合わせる動作に変わっていった。




『ひっ…えぐっ…ひんっ…いたいぃっ…ふえっ…ぇっく…ひぐっ…!』

 まんべんなくお尻が真っ赤に染まったころには、文弥さんは力なく泣きじゃくるようになっていた。
 もうそろそろ、ころ合いかな?

『ふーちゃん。もう悪いことしない?』
『しないぃ…っ!』
『お尻ペンペンの時に少し暴れちゃうのはいいけど、お尻かばったりとか邪魔しちゃダメなのも分かった?』
『わかったぁ…っ!』
『…うん、それじゃあ最後に10回ペンしたら、おしまいにしてあげる』

 背中に押さえつけてる手を離して、足の方も押さえつけてる状態から放してあげる。

『手も足も自由にしてあげるから、ちゃーんと良い子にお尻ペンペン受けるんだよ?
 良い子に受けられなかったら、また最初からペンペンだからね?』
『やだあっ!』
『じゃあ良い子に受けること。いーちっ!』

 ぱちん!

 最後の仕上げに、ちょっぴり強めにお尻を叩き始める。お尻を叩く間を十分にとって、ゆっくり丁寧にお尻を叩く。
 私は数を数えながら文弥さんのお尻を叩く。お尻がもう真っ赤っ赤な文弥さんは叩かれるたびに体を大きく反り返られちゃうけど、そのあとは私が叩きやすいようにちゃあんとお尻を突き出しす体勢に体を戻して、私の膝にぎゅって力いっぱいしがみついてくれる。『ママ、ごめんなさいぃっ…』って、嗚咽混じりの声でちゃんとごめんなさいもした。『ふーちゃん、良い子。お尻ペンペンのお仕置きが終わったら、うんとなでなでしてあげるからね』って私も返して、でも容赦なくお尻を叩く。

『――きゅー、うっ!』
『〜〜〜〜っ!』

 ぱちん!
 歯を食いしばって体を大きく反り返らせて、文弥さんはのどの奥から声にならない声をあげた。数秒、体を反りかえらせた後、そのままベッドにへたりと倒れ込んだ。ぐす、ひっく、と嗚咽をあげてるのが分かる。何回叩いたか分からないぐらいお尻を叩いて私の手も結構痛くなって赤くなって火照っちゃってる。でもその私の手でもわかるぐらい、文弥さんのお尻はもっともっと赤くなって熱く火照ってっちゃってる。ズボンやぱんつを履くときの衣擦れですらすごくすごく痛く感じちゃうぐらいになってると思う。
 でも文弥さんは、ゆっくりと体をよじらせて、お尻をちゃあんと突き出した体勢を取って、私の膝にまたギュってしがみついてくれる。途中こそワガママっ子ですごく暴れちゃってたけど、最後にこうやって健気にお仕置きを受けてくれる様子が、なんというか私はたまらなく感動した。

『次、最後だね。最後はうーんと強く叩くから、ね』
『ぐすっ…(コクン)』

 体がふるふる震えちゃうぐらい力いっぱい私の膝にしがみついて、でも素直に頷いて最後の平手打ちに耐えようとしてくれた。目の端からぽろぽろ涙がこぼれてる。

『…いくよ。とー、おっ!!!』

 ぱっっちいぃぃん!!


『〜〜〜〜〜〜っ!!!』


 今までで一番大きく、文弥さんは体を反りかえらせた。しばらく反り返ったままの状態になってて、そしてぺたんとベッドに倒れ込んだ。


『ひっく…ふえっ…うえっ…。…ふえええええ…っ…!』


 大きくひっくえっくとしゃっくりをあげて、弱々しい声で文弥さんは泣きだした。
 文弥さんの両脇に手を差し込み持ち上げて、向かい合う体勢にしてギュっと抱きしめた。前、私が文弥さんにお仕置きの後してもらったみたいに、文弥さんを私の体にもたれかからせた。
 しゃっくりあげてる文弥さんの背中をぽんぽんて叩いて『ちゃあんとお仕置き受けられて、ふーちゃん良い子だったね。最後にはすごく良い子にお仕置き受けてくれて、ママすごくうれしかったよ。ふーちゃん、すごく良い子』ってうんと褒めてあげた。
 ぎゅ、って苦しいぐらいの力で文弥さんが首筋にしがみついてくる。もうお仕置きは終わったんだよ、安心していいよ、って耳元で囁きながら頭をくしゃくしゃなでてあげる。


『お尻、ホントにうーんと真っ赤っ赤になっちゃったね』


 まんべんなく真っ赤になったお尻を、痛くしないようにやさしく触れて、ゆうっくりと撫でさすった。本当にすべすべでさわり心地がすごくいい。
 お尻をなでさすったり、背中をぽんぽんと叩いたり、頭をなでたり。
 文弥さんの耳元で『いい子いい子』って囁きかけながら、文弥さんの嗚咽が止まるまで、文弥さんがこの前私にしてくれたみたいに、私も文弥さんにうんと『お仕置きの後のご褒美』をあげた。


 嗚咽が止まっても、文弥さんは私にしがみついたままで、離れようとはしなかった。時折、首筋にすりすりとすり寄って甘えたりした。私もそれがイヤというわけじゃなく、むしろ可愛らしくて愛おしくて、それに応えるように頭をなでたりお尻をなでたり、ギュッと抱き返したりしてあげた。


 すっかり泣きやんだころに『そろそろお膝から降りる?』って聞くと、文弥さんは『…うん』って控え目な返事を返して、首筋にしがみついた腕をゆっくりとはなした。
 ゆっくりと文弥さんが体を持ち上げると、私と目があった。ベッドに腰掛けた私の足の上にぺちゃんこ座りさせてる状態だから当たり前なんだけどね。
 うんと泣きじゃくったのが分かるぐらい目をはらして、たくさん涙を流したあとがくっきり残ってた。すっかり泣きやんだとはいえ、まだ少し涙は目の端に残ってた。

『たくさん涙でちゃったんだね。初めてのお尻ペンペン、痛かった?』
『う〜…。…そんなこと聞かないで…』

 指の背中で涙を払いながら聞いてみると、文弥さんは顔を紅潮させて、ぷいとそっぽを向いた。

『ごめんごめん。あんまり可愛かったもんだから、ついいぢわるしたくなっちゃって』

 拗ねちゃった文弥さんの頭をよしよしとなでなですると、嬉し恥ずかしそうに文弥さんは顔をうつむかせた。
 そんな文弥さんがあんまり可愛かったもんだから――――私は衝動的に、文弥さんの顔を自分の方に引き寄せて、彼のオデコにキスを落とした。



 まぁ、それがきっかけというかなんというか。
 それからも私と文弥さんは頻繁に会って、たがいにお尻を叩いたり叩かれたりしたり、それに加えて…その、男女の仲でするようなこともした。早い話が、私と文弥さんは付き合い始めたのだ。
 なんというか、あのギャップ萌え的なところに私の方が先にやられた。なんというかすごく悔しい。




 ――――――――今ではこんな風に、同棲に近いことをしてる。ちょうど文弥さんの持ってる家とアパートが私の行きたい大学の近くにあったのもすごく都合が良かった。
 大学になってからの1年間。文弥さんと同棲しはじめての1年間って言ってもいい。すごくすごく充実した生活だった。今もそう。
 大学については、文弥さんが卒業したところでもあるので、どの授業が単位を取りやすいとかを色々教えてくれて、一年生の間で単位をかなり取れて、残り3年の間はほとんど必修だけみたいな状態になった。
 大学以外については、ファミレスで時々バイトをしたり、あとは家でパソコンしたり文弥さんと遊んだりしてる。格ゲーとかレースゲームとかの対戦系のゲームとかでは、お仕置きを賭けたゲームをしたりもした。



 そして今日、やあっと学年末試験が全部終わって、明日から2ヶ月ほど、長い長い春休みが始まる。今から何をしようか、すごく楽しみ。

 そんなことを考えながら夕飯の支度をして、予定通りチンジャオロースとお味噌汁と昨日の煮ものの残りを文弥さんと一緒に食べた。
 お片付けをして、ごろごろして、お風呂入って。
 そのあと互いにPCをいじってごろごろしてると、文弥さんはもじもじした様子で、ちらりちらりとこちらをこっそり見つめてくる。
 ああ、またお尻ペンペンされたくなっちゃったんだね。

「ふーちゃん。どうしたの?」
「あ、う…。その…な、なんでもないもん…」

 〜〜だもん、なんていう時の文弥さんが、なんでもないなんてワケがありません。

「なーに? もしかして悪い子になっちゃったのに、ママに隠し事しちゃうの?」
「ち、違うもん…」
「ホントー?」
「あぅ…」

 なんて、すぐしょんぼりしちゃうのがすごく可愛い。

「どんな隠し事かはママ分からないけど、隠し事があるのに隠し事がないなんて嘘ついて。
 …ふーちゃん」
「な、なぁに…?」
「――――嘘ついちゃうふーちゃんのお尻は、ママがうんとペンペンしてこらしめてあげないとね。
 さ、おいで」


 ぽん ぽん
 正座をして、私は膝を叩いて、文弥さんにここに来るように言った。
 また今日も文弥さんのお尻は、私の膝の上で真っ赤になるだろう。




アカト
2010年03月19日(金) 00時32分00秒 公開
■この作品の著作権はアカトさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
べ、べつにウィツさんのとーえんの誓いに影響されたわけじゃないんだからね!
ほ、ホントなんだから!

いやでもホントなんです。というかとーえんの誓いで「…あれそういえば投稿してないSSがあった」と思いだしたという。危なかった。

タイトルは全く考えてなかったので、未だかつてないぐらい適当にタイトルをつけました。

この作品の感想をお寄せください。

いつも感想ありがとですー!

>お茶Kさん
さあ執筆作業に今すぐ戻るんだ!(えー
ぶっちゃけ、書くよりも見る方がいいしな!
自分がぺちSSを書くヒマがないぐらい、読み切れない量の良いぺちSSがあったらいいのに!とよく思うですよ。
創作者のジレンマとして「自分で 書いた/描いた 小説/絵 は萌えない」という「萌えぬの原理」というものがあるしな!
あとこのSSは「ぺちSSを書く」って気分で書いてたので、ぺちはしっかり書いてみてるです。一応ながら。
ぺちSSを読む側としたら、やっぱぺち部分多めのがいいっしょ?(ぺちオンリーだとそれはそれで味気ない感じになるけれど)
んでタイトルは…投稿する直前に「そーいやこのSSS、タイトルねーや」ということですげぇ即興で考えたやつですw深い意味は全くない。
ぶっちゃけ前回みたいに、ほぼ無タイトルで投稿しようか考えたほどです。
「ちぃっす、どーも」の発想はなかったw


>ウィツさん
とーえん、よかったですよー!
ただこちらのうpはご遠慮します(多重投稿は原則、禁止にしてありますので)
「自サイト+投稿系サイトに投稿」ならともかく「投稿系サイト複数に投稿」ですと、ね。
お蔵入りは無事阻止!投稿する気満々だったんだけど、しばらくしたら存在をすっかり忘れてたという。
スパシーン、萌えてもらってよかったですw
んで私風に書くにはどうすればよいかというと…。…ぴよぴよした気分で書くとしか言いようがないです。ひよこだ、ひよこになるんだ!ひよこかわいいじゃん!
でも私のぺちSSは「カーとキー」の二人のキャラしか原則として出てこない感じなんで(というかぺちだと、第三者を中に入れられない)、実はそこがネックだったり。
とーえんですと、複数人による複数の組み合わせと様々なシチュが出来そうなんで、期待してますよ!(アカトは プレッシャーをかけた!)
あと成長は…20過ぎても身長伸びる人とかいますし、そんな気にしないでも大丈夫だと思うですよ。あと筋肉つけすぎると伸びないんで気を付けてください(筋肉で伸びない、だと高校までがネックなんでもう遅いですが)。
もし止まったら止まったで「ぺちられるときに膝に乗りやすい大きさ」ってことで納得するんだ!(えー


ではでは!
アカト(復旧コメント) ■2010-09-15 14:50:04
あ、あうっ!?いきなり自分の小説の名前が出てきてびっくりですwwあ、じゃあこちらにもうpした方が良いのか…あ、でも…もんもんwww
とにかくお蔵入りを阻止できたようでなんかもうそれはそれは光栄です。

あーもー幸せなカップルだなどちくしょうっ!!
ギャップに惚れてもらえるんだったら自分だってギャップすごいって言われるもんっ…悪い意味で。
そしてホントにアカトさんのスパシーンは萌えてしまいますっ!!
どーやったらこんな風に書けるのか…勉強させていただいてます。
とにかく一言で…梓さんかわいいですwww

ところで全く余談+私事ですが…、
「文弥さんの背が低めなんじゃなくて」という所を読んでなんとなく思ったどーでもいいこと…、

くっそ成長止まったっぽいけど俺身長166pしかねえっ!!
ウィツ(復旧コメント) ■2010-09-15 14:49:51
現実感溢れる背景ストーリーGOODですっ!
一時執筆を止めて、こちらのほのぼのぺちシーンででスパ分をたっぷり補給させていただきました。

スパパートナーな関係。う〜ん、こんなカップルいたらすごく幸せそう。どちらも良きカー・キーになれそうで。
カーさんモードになると梓さんがキー萌え全開になる所も面白いですw
程よくボリュームのあるスパシーンも、いつもながら丁寧な描写も手伝ってストーリー以上に楽しめました。
やはり、アカトさんのSSはぺちシーンが強い‥‥!!

最後に題名で気付いたことを一つ。
スイッチなお二人を連想させるタイトルだと踏みましたが‥‥。
深読みしすぎて、逆さ読みで「ちぃっす、どーも」と挨拶になるという意味かと勘繰ってしまいました(笑)
お茶K(復旧コメント) ■2010-09-15 14:49:42