ぺちSS板
女の人は綺麗な男の子が好き1(F/m)


「お仕置きなんて嫌だ……」
朧(おぼろ)が尻込みしながらあとずさった。希(のぞみ)が朧の手を掴み、諭すような口調で優しく言う。
「駄目だよ。だって朧君、先生との約束破ったんだから。今日は先生と映画館いくって約束したのに朧君が遅れてきたから映画観られなかったじゃない」
「だ、だけどさ……お尻叩くなんて……」
顔を俯け、フローリングに視線を移しながら朧が赤面した。自分だけに見せてくれるその仕草──希にはたまらなく可愛くて愛しかった。
胸がキュンと疼く。このまま抱きしめてキスをしてあげたくなる──希はぐっと我慢した。
ここで弱みを見せるとつけこまれるのがわかっていたからだ。
寂しがり屋で猫のように気まぐれなこの美しい少年は、隙を見せれば自分の手をすり抜けてどこかに行ってしまう。
そして何食わぬ顔でこの部屋に戻ってくるのだ。希が無言のまま朧のスパッツに手をかけた。
「あ、ちょ、ちょっと何するつもりだよッ」
狼狽した朧が叫んだ。かまわずに希がスパッツを脱がせる。子供のようにもがく朧の白い双丘を希がパシンッと叩いた。
「痛……ッ」
尻肌を平手で思い切り張られ、朧が痛みに顔をしかめる。そのすねたような表情も可愛い。
「ほら、素直にお尻を出しなさい」
叩いた箇所を優しく撫でてなだめながら希が朧に尋ねる。
「先生は朧君のこと大好きだけど、朧君は先生のこと嫌い?」
朧がそっぽを向いて答えた。
「嫌いなわけないじゃん……そんな事いちいち聞くな……希の馬鹿……」

ゴールデン街にあるバー<グリンゴ>はいつものように客がまばらだった。スチーム製のスツールに腰をかけていた希が、バーテンにカクテルをおかわりする。
<グリンゴ>はヒッコリーのカウンターに、十二席ほどのイスが並べられただけのこじんまりとした小さなバーだ。この店ではいつもジャズが流れている。
この曲は確かジャンゴ・ラインハルトだっただろうか。希は肩を落としてため息をついた。最近まで飲めなかった酒が今では手放せなかった。
カウンターに頬をつき、酒が注がれていくカクテルグラスを眺める。なにげなくある男子生徒の姿が浮かんだ。
ある男子生徒──学校で一、二を争う問題児──札付きの不良──両親のいない少年──だけど、他の誰よりも秀麗で不思議な雰囲気を持った少年。
秀でた富士額、細く真っ直ぐ通った鼻筋、形良く切れ上がった明眸になだらかな弧を描く眉はあくまでも佳麗だ。
そして赤でも火でもない朱の唇、煌々と光る麝香猫のような瞳が蠱惑だった。白皙の美貌だ。
そしてその美しいからは想像すらできぬような問題ばかり引き起こす担任泣かせの少年だった。一度など喧嘩で警察の厄介になったこともあった。
だけどどことなく憎めない──カクテルを一息に飲み干すと希は席を立った。
アルコールが脳に回り足元がふらつく。飲みすぎたようだ。会計を済ませて外に出る。外はまだ蒸し暑かった。

欠伸をしながら朧は辺りを見回した。下品な声で笑いながら通りにたむろするクソガキ達──自分も同様だ。朧はたむろしていた少年のひとりの膝を蹴った。
他の少年たちが一斉に立ち上がった。リーダー格の赤いバンダナを巻いた男が朧を睨む。朧が睨み返す。狼狽の色が男の顔に広がった。朧から目線を反らす。
「お前、オレになんか文句あるの?」
朧が平然と落ち着き計らった声で男に囁く。朧は不良の間ではちょっとした顔役だった。小さいグループ程度なら道を避けて通るくらいは名も売れていた。
「いや……ない……」
そのまま数分ほどして少年達はその場を離れていった。
ガードレールにもたれかかり、ブラックデビルを口にくわえた。オイルライターのやすりに親指をかける。こすった。
オレンジ色の火花がでた。点火しない。もう一度、強くこすった。今度は着火した。指の皮膚がライターのヤスリにこすれて少しばかりひりつく。
タバコに火を移し、朧は亡霊のようにくゆる紫煙を見つめながら肺にゆっくりと溜めて吐き出した。ブラックデビル独特のココナツのような甘い香りが鼻を撫でる。
そのままゴールデン街の方向へ足を運ぶ。ただ、ふらふらと──目的などない。 右手に握ったオイルライターを弄びながら朧が退屈そうに間延びする。
Tシャツが汗ばんだ。スパッツが蒸れる。喉の奥に煙がまとわりついた。いがらっぽい。
亡霊のように漂うタバコの煙、亡霊のようにあてもまく彷徨う自分。朧はもの哀しげに夜空を見上げた。光る上弦の月が静かに煌めいていた。
胸に去来する孤独感──息苦しさを感じた。鈍色に光るマンホールに視線を落とし、朧はタバコのフィルターを噛むと地面に吐き捨てた。
歩きながら漠然と物思いに耽る。瞳に反射する毒々しい赤、青、黄色のネオン──カレイドスコープのように美しかった。朧は何度も舌打ちした。
ネオンの明かりが嫌味たらしく感じたからだ。唇の端をとがらせ、タバコを掴むとフィルターを噛んだまま火をつけずに進む。
すると突然、蛇行してきた酔っ払いが朧の背中にぶつかってきた。アルコールの臭気に一瞬、むかっとなる。朧は憤りを抑えて後ろをゆっくりと振り向いた。
酔っ払いと目線があう。酔っ払いは担任の希だった。希のほうも朧の顔を見るなり、わずかに顔を驚かせた。朧のくわえタバコ──たちまち希が憮然とした表情を作る。
「こらぁ、未成年がタバコなんて吸っちゃだめれしょ……ッ」
やや呂律が回らぬ状態で希が朧を叱咤した。平手でタバコを弾き飛ばす。次は朧が驚く番だった。
「あ、人のタバコに何すんだよッ、この酔っ払い教師!」
猫のような大きくつぶらな瞳がすうっと細くなって希の双眸の深奥に食い込む。その視線に希は真っ向から見つめ返した。気色ばんでいた朧が僅かにたじろぐ。
学校ではおっとりとしていて優しい──といえば聞こえがいいがいつもノロマだと思っていた相手の思わぬ反応に朧も少しばかり驚いていた。
「子供がタバコなんか吸っちゃ、ヒック……いけないんだから」
希が朧の肘に手を伸ばして掴んだ。そのまま朧にもたれかかる。
「うう、気持ち悪い……ちょっと手だけ貸して……」
「そんなに酔っ払うまで飲むなよ、先生」
ここで置き去りにするのも可哀相かなと思った朧はとりあえず肩を貸してやることにした。なんだかんだいっても学校では何度も世話になっている先生だ。
デブのハゲ校長から停学を喰らいそうになった時も説得してくれたし、こんな問題児の自分にも優しくしてくれるこの女教師の事を朧は憎からず思っていた。
路地を二十メートルほど歩いていく。途中で客待ちのタクシーを見つけた。朧が運転手に向かって手を振るとドアが開いた。
希を客席に押し込む。朧がタクシーから離れようとした。希の手に力が入る。
「手を離せって、この酔っ払い」
朧が手を振り払おうとした。
「待ってよ、今日はもうこんな時間だし、先生の家に泊まっていきなさい」
「はあ?」

強引に希がリアシートに朧を座らせる。リアシートは熱気と客の汗で微かに湿っぽかった。タクシーの窓から外の夜景を覗く。極彩模様のネオンの海がまばゆかった。
「運転手さん、吉祥寺までいってちょうだい」
「わかりました」
タクシーが発進した。西永福に入って浜田山住宅公園を通り抜ける。傍らで希が眠たそうに瞼を半分閉じていた。こんな夜中だというのに人通りは少なくない。
ジンベエを羽織った金髪の少年と少女が自販機の前で通行人を睨みながら座っている。こんな暑い日にご苦労様なことだ。
「うーん、まだ酔いがさめないわ……」
パールグレイのスーツに包まれた胸元を押さえ、希が吐息をもらす。
「先生、自分の飲める酒量くらい考えなよ」
「……一体だれのせいでこんなに飲んだと思ってるのよ」
「少なくとも俺のせいじゃないね」
「もう、ああいえばこういう……」
減らず口を叩きながら朧が首を曲げてもう一度、希を見た。
穏和そうな二重瞼にうっすらとした健康的な桜色の丸い頬、なだらかな筆で書かれたようにすっと整った眉と上向きの鼻梁、
唇は赤ん坊のように瑞々しく、綺麗と可愛いの中間とも言える相貌だ。身長は百五十センチもないだろう。スリムな身体をしている。
小柄で端麗な顔立ちをした自分の担任の顔を覗いていると、いつのまにか目的地に到着していた。タクシーを降りてマンションの玄関口に入る。
希がロックされたドアをカードキーで開けた。ドアが開く。ふたりでエレベーターに乗り込むと希が七階のボタンを押した。

四LDKのマンションは一人暮らしには少し広すぎるように朧には思えた。うさぎのアップリケがついたエプロンに着替えた希がサンドイッチをのせた皿を朧に手渡した。
朧は通された寝室のベッドに座り、希が作ってくれたサンドイッチを頬張りながら紅茶で喉に流し込む。
サンドイッチの味は美味いのかまずいのかよくわからない。朧は味覚が人より鈍かった。
親戚中をたらい回しにされていた頃は二日間、何も食べさせてもらえないなんてこともあった。家庭の味だとかいうものを聞かされても朧にはピーンとこないのだ。
運良く食事にありつけても固く冷たくなった飯と味噌汁だけというのも珍しくはなかった。だからどんなモノでも平気で食べる。
死んだ実母の妹で朧の今の後見人をしている冴子(さえこ)は他の親戚達とは違って実の息子のように可愛がってくれているが、それが朧には少し息苦しかった。
子供の頃からそういった事に慣れてしまったせいだろう。それでも──サンドイッチには今まで味わった事のなかった温もりを心のどこかで朧は感じていた。
空になったマグカップに希が紅茶を注いだ。嬉しそうに微笑みながらサンドイッチを食べる朧の横顔を見つめる。それが少しだけ気恥ずかしかった。
「そんなにジロジロ見ないでよ」
「なんで、朧君だってタクシーの中で先生の事ずっと見てたじゃない?」
どうやらばれていたらしい。朧は思わずむせてしまった。希がそんな朧に優しい光を称えた眼差しを向けてクスクス笑う。
希の慈愛に満ちた表情──朧は何かを思い出しそうになった。だが、それが何だったのかはっきり頭の中に浮かんでこない。
胸裏深くに閉ざされた記憶の断片がばらけたジグソーパズルのように頭の中で転がる。焦燥感が湧き上がった。
脳はニコチンを欲する。。ポケットにしまったタバコのパッケージ──意識せずに指が伸びた。
タバコを口にくわえ、火をつけようとした間際で希の叱責が飛んだ。
「こらァっ、いくらなんでも先生の目の前でタバコを吸おうなんて何考えてるのッ!」
その拍子に朧はタバコをカーペットに落としてしまった。希の存在を失念していた。
「ごめん……」

「ふう、まさか先生も目の前でタバコを吸われようとするとは思わなかったわ……」
「……本当にごめん」 
急に気弱になった朧に怪訝さを感じつつも、希は朧の瞳を直視しながら叱りつける。思わず朧は眼を背けた。
ベッドに座ったまま眼を伏せながらほっそりとした片足を引き上げて、両腕で寂しそうに抱え込む。希の母性本能がくすぐられた。希はいたわるように朧を抱きしめた。
不意に抱かれ、朧は眼を白黒させた。希の体臭に混ざった幽かな石鹸の匂い──どこか懐かしい。不思議な懐かしさ──死んだ母の面影だった。
「朧君、少し我慢してなさいね」
言うやいなや希が朧の上体を引き寄せ、素早く自分の膝の上に押し付けた。スパッツとパンツを力任せに尻の下までおろす。
「あ、何するつもりだよ……っ」
「先生の前でタバコ吸おうとした悪い子のお尻をぶつの」
言葉と同時にバシンッと強烈な音が寝室に響いた。平手を打ち下ろされた朧の白い尻房に希の赤い指痕が張り付く。希は何度の平手を尻に浴びせた。
「痛い……ッ」
自らの臀部を襲うかなりの峻烈な衝撃に朧は目尻に涙を浮かべて耐えた。それでも抵抗はしない。小ぶりがだ少女のように綺麗な臀部を左右に揺らし、お仕置きの痛みを我慢するだけだ。
「十二回、十三回、十四回……っ、悪い子のお尻、真っ赤っかだね」
尻のふくらみを三十回ほど打ち据えると希が一旦手を休める。希の台詞通り、朧の尻は熟れたトマトのように真っ赤に腫れあがっていた。
「お仕置きはまだ終わらないわよ」
「……ま、まだ叩くの?」
「そうよ、次はヘアブラシで二十回。使おうか迷ってたんだけどね。これで今日は許してあげる」
希がエプロンのポケットから木製の重い材質で出来たヘアブラシを取り出し、平手と同様に尻に叩きつけた。平手よりも激しい衝撃に朧が背筋を仰け反らせる。
「うぐぅ……っ」
押し殺した呻きが朧の瑞々しい唇から漏れた。すでに赤く染まった尻に追い討ちをかけるように容赦なくヘアブラシが尻に飛ぶ。尻肉に響くような痛みだ。朧は涙を零した。
「ごめんなさいって先生に言うのよ、じゃないと終わらないからね」
痛みに耐えかねていた朧が謝罪の言葉を何度も吐いた。
「ご、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ……うああァんっ」
最後に一番強烈な一打を食らうとお仕置きがおわった。幼児のように泣きじゃくる朧の身体を起こし、希が頬にキスをしながら頭を撫でた。
「良い子、良い子……お仕置き、痛かったでしょう……いま先生がお尻冷やしてあげるからね」
「うん」
朧はその言葉に自然と頷いていた。


 『幼い日、それは恐れを知らず、肉欲に満ちて幸福だ!歓喜に寄り添い快楽の膝の上に……』
                           ウイリアム・ブレイク詩集──『アルビオンの娘たちの幻想』 

新宿二丁目──深夜の新宿中央公園。時刻は一時を過ぎていた。両耳にダマールパンチをしたアメリカンカジュアルの少年が朧にジャックダニエルのボトルを押し付けた。
女のオブジェにもたれかかり、朧がウイスキーを呷る。上下する喉元、ウイスキーのピリッとくる苦味、アルコールが食道を熱く刺激した。
「さっきのチンピラ笑えるよな。ナイフつきつけたら小便ちびりやがってよ」
ドレッドヘアーの若者が咥えタバコのままでジャックナイフを弄んだ。指先で器用に回しながらチャッ、チャッと何度も刃を出しては戻す。
「お前はいつもナイフだすよな。ちったは控えろよ、素手の傷害と刃物の傷害じゃ倍は罪が違うんだぜ」
ダマールパンチが拳ダコでイビツに盛り上がった拳を撫でながらドレッドへアに忠告する。
「なあ、朧。ニッピルピアスの具合どう?」
ドレッドヘアーがダマールパンチを無視して朧に聞いた。どこかかったるそうな口調だ。
「もう平気だけど。傷口も塞がったし」
「なあ、次はダマールパンチしてみろよ。乳首と臍にピアスすんのもいいけど、見えねえとこにやってもしょうがねえじゃねえかよ」
「別に誰かに見せ付けるためにピアスするわけじゃないよ。まあ、耳にピアスもしてみたいけど」
ダマールパンチが待ってましたとばかりに顔の筋肉をほころばせた。ポケットから黒いケースを取り出して中から針を一本抜き取る。
「よっしゃ、そんなら今やっちまおうぜ。思い立ったら実行だッ!」
「ピアスって普通の奴にしておけよ。ここでいきなりダマールは無理だろう」
ドレッドヘアーが呆れ顔にダマールパンチを見た。ダマールパンチが朧の顔を覗く。
「それもそうだな。おい、朧はどっちがいいんだ」
「どっちでもいいけど」
朧がそっけなく答える。ダマールパンチが苦笑を浮かべた。アンビルの黒地Tシャツが汗で不快にべとつく。
「じゃあ最初はキュブティプビーズピアスからするか、今日は片方だけ開けてやるよ」
キュブティプビーズピアスは円形に一周した一番ポピュラーな形状のピアスだ。
ダマールパンチが半分ほど空になったジャックダニエルの瓶を奪うとアルコールを口に含んでニードルとピアスに勢い良く吹きかける。吹いたウイスキーが空中で霧散した。
頬を通り過ぎるぬるい夜風にアルコールの臭気が混ざった。鼻腔粘膜がピクピクと反応した。
自分はなんでピアスをするのだろうか、多分生まれ変わりたいのだ。身体を飾り立ててみたいのだ。女が化粧をするように──朧はアルコールで曖昧とした脳で考えた。
左の耳朶にダマールパンチの指が触れた。細心の注意を払いながらニードルを通す箇所を定める。耳朶の後ろにはタバコのフィルターが押し付けられたと同時に針先が肉を貫通した。
ニードルで穿かれた耳朶から血が染み出す。アルコールのおかげで痛覚は麻痺していた。ゆっくりとニードルが抜かれ、ピアスがはめられた。
「ねえ、もう一個ピアスつけてよ」
「あいよ」

ドレッドヘアが頭をかきながら朧に振り返って尋ねる。
「なあ、ワルシャワ条約機構とベトナム共和国が成立したのは一九五五年でいいんだよな?」
「ああ、正解だよ。何、学校のテスト?」
「ああ、世界史のな。ちょっと自信なくてさ」
「おい、朧ッ、動くんじゃねえぞ、手元が狂うだろうがッ!」
ダマールパンチが怒鳴りつける。アルコール臭い唾が飛んだ。さっき穴を開けた場所より上の部分にニードルを突きたてる。
「武(たけし)ごめん、でどこわかんないの?」
「近代の奴なんだけどさ、満州事変と満州国が出来たのって何年だ?」
「一九三一年が満州事変、満州国が作られたのがその翌年の一九三二年だよ」
「蒋介石が南京に国民政府を樹立したのは一九二七年であってるよな。じゃあ、エルベの誓いってなんのことだ?」
「エルベの誓いは一九四五年にソ連軍とアメリカ軍が平和を誓ったことを言う」
ドレッドヘアーが取り出したメモにペンを走らせる。
「サンキュー、これで自信ついてきた。最後に一つ、ポーツマス条約は?」
「一九〇五年、日露戦争後に日本とロシアの講和会議で結ばれた」
「これで音子(ねね)の鼻を明かしてやれるぜ!」」
「だけどさ、音子ってマジでいったのかな。オレ達が学年三位にはいったら半殺し、誰かが首席取ったら八割殺しにしてもいいって」
実羽音子(みわねね)は三ヶ月前に朧達の通う学校に赴任してきた新しい女教師だ。よく問題児を注意しまわっては朧達のチームに反感を喰らっている。
朧も一度、後ろから襲い掛かって半殺しにしてやろうかと思ったこともあったが、これが中々隙を見せないのだ。
学校での機敏ある立ち振る舞い、つねに周りに気を張っている所作から考えて何か武道でもやっているのだろう。
「『武のピアス屋さん』を校内に作る約束も校長としてんだぜ。そっちも忘れるなよ」
武が横から口をはさんだ。歯をむいてニヤニヤ笑う。気楽なもんだ。恐らく武は己のことなど数に入っていないと思っているのだろう。
自分以外の仲間、それも日頃から成績の良い奴が取ると信じているのだ。あつかましいにも程がある。
「武、お前だって人のこといってらんねえだろ。誰も首席とれなかったらお前は向こう三ヶ月間は便所の掃除。俺は坊主で朧は二週間、生徒指導室に呼ばれるんだぞ」
「まあ、なんとかなるだろ。それよりもさ、朧だけなんか俺らより軽くねえか?」
ドレッドヘアが何度も髪を振りたててうなずいた。
「そうそう、なんで朧だけそんなに軽いわけよ」
「お前ら好き勝手な事いうな。こっちもやばいんだ」
ふたりが怪訝そうな顔つきになりながら、なんだそりゃと同時に言葉を発した。

黒い革張りのカウチから身を起こした。縁がベージュ色のメガネをかける。冴子が時計を見やりながら心配そうな顔つきになる。時刻はすでに三時四十三分を指していた。
爪を噛みながらせわしなくフローリングの廊下をうろうろと行き交う。三つ編みを揺らしながら、胸にコスモスの花柄をあしらったワンピースの裾を強く握った。
朧がまだ帰ってこない。連絡もなかった。一体どうしたのだろうか。事件か事故にでも巻き込まれたのか──冴子の脳裏に嫌な予感がよぎる。
嫌な思いを頭から追い払い、冴子はベージュ色をした無地のエプロンをつけて台所へ立った。手を洗ってから塩水で濡らし、炊飯器に残っていたご飯をしゃもじでよそう。
嫌な事が浮かんだ時は料理か家事をするに限る。冴子はカツオ節を味付け醤油であえてオカカを作ると丸めたご飯の真ん中にくぼみをつけてオカカをいれた。
ノリでくぼみをふさぎ、それを何度も繰り返す。五つほどのおにぎりが出来上がった。少し多いだろうか。
一緒に食べればいいかと冴子が微笑みながらおにぎりをロイヤルコペンハーゲンの皿に乗せる。サランラップでおにぎりを皿ごと巻いた。
玄関のドアが開く音──やっと帰ってきたようだ。皿を持ったまま冴子が玄関にいって朧を出迎える。
「こらァっ、こんなに遅くまで連絡もくれないで、叔母さん、朧ちゃんのことすっごく心配したんだよォっ」
「それよりも水を一杯飲ませてよ」
朧がスニーカーを脱ぎながら答える。百七十五センチを超える身長、切れ長の眼にブラックパールの瞳、輪郭はシャープで蜜色の肌と首筋は百合のように清楚だ。
体型はたおやかでスリムだがバストは大きく張り出し、しっかりとした骨格はまるで猫科の動物を思わせた。
三つ編みはあまり似合っていないが、類まれな麗人であることには変わらない。冴子はその名前と外見とは裏腹に性格は穏やかで優しい。
顔の造形は朧と良く似ている。血が繋がっているからそれは当たり前のことだろう。母親と息子だといっても誰も疑わないだろう。いや、歳の離れた姉妹といっても通用しそうだ。
朧はよく冴子から姉──朧の実の母親の若い頃にそっくりだといわれる。冴子の鼻先が朧から漂うアルコール臭を敏感にキャッチした。
「もしかして朧ちゃん、お酒飲んでない?」
「だから水欲しいんだよ。それよりもなんでおにぎり盛った皿持ってるの?」
「あ、これね、朧ちゃんと一緒に食べようと思って」
「……ありがとう」
突然、礼の言葉を朧の口から述べられて冴子はドキマギしそうになった。心なしか胸の辺りが暖かくなる。
「あの、どういたしまして」
やや千鳥足気味の朧を倒れないように支えてやりながらキッチンテーブルのイスに座らせた。冷たいレモンティーをクリスタル・ドゥ・ノーブルのタンブラーに注いだ。
朧はレモンティーを一息で飲み干すともう一杯をおかわりする。それからふたりで冴子の作ってくれたおにぎりを食べた。
食べ終わると朧が立ち上がった。ダイニングルームから出る。冴子が後ろから声をかけた。
「もう寝るの?」
「ん、シャワー浴びたい」
「そっか、そうだね。汗でベトベトだもんね」

脱衣所の籠に脱ぎ捨てた服を入れた。洗面台の前にある鏡に映る自分の姿を見ながら朧は自嘲した。身体の線が細かった。まるで、少女のように細かった。
後ろを振り返って自分の臀部を鏡に映す。透けるように白かった尻肌はまだくっきりと赤みを残していた。朧が尻を撫でながら独白する。
「希のバカ……あんなにいっぱい叩くから……」
朧は四日前の出来事を思い出しながらおかしそうにクスリと笑う。穏やかでどことなく少女めいた笑みだった。

──いつみても朧君のお尻って白くて素敵だね。先生憧れちゃうな、ふふ。
──……先生のスケベ。
──あ、いったなァ。お仕置きの数を増やしちゃうからねっ。
膝の上に朧を乗せた希が楽しそうにくりっとした小桃のような形よい肉丘を掌で揉んで味わう。尻肌と掌同士が互いの体温を相手に伝えた。
──じゃあ、いくよ。それっ、イチッ、ニッ、サンッ、ヨンッ!
勢いをつけた希の右手が剥き出しの朧の尻に打った。ぴしっ、ぴしっと尻を打ち鳴らす小気味良い音が閉め切った部屋を飛び回る。普段よりも痛い。
──、ちょ、ちょっと強すぎるよ……ッ。
腰をうちらしながら希に向かって朧が抗議した。痛みに尻をうちゆらす。それが更にお仕置きを誘っているかのように希には見えた。
──こら、それじゃお仕置きになんないでしょ。文句言う子はヘアブラシよ
──っっ、あれは絶対にいやだっ!
──じゃあ大人しくしなさいね。
強い打撃が尻肉に浴びせられ、朧がシーツを握って必死に声を押し殺す。尻タブの表面がジンジンと熱く煮えるようだ。
バシッ、バッシーン、希は額に汗を浮かばせながらも朧の尻を撲つ。
──ぐうゥゥ……ああっ
四十回を越す頃になると苦痛が更に増し、朧が喉から声を絞って呻いた。それでも希はお仕置きを止めない。ふたりとも室内にこもった熱気のせいで汗に濡れていた。
視界が涙でぼやけた。苦痛と屈辱に涙が勝手に流れる。所々赤黒い手形が目立ち始めた。痛いというよりも熱い。
尻打ちの回数はすでに百回を越えていた。自分の眼下に曝される朧のすっかり赤黒くなった尻をいたわるように撫でさすりながら希が朧の頤をぐっと曲げた。
唇に軽いキスをしながら首筋にも同じように接吻する。
──今日のお仕置きはこれでおしまい。今度からデートに遅れちゃだめよ。いい、タバコ吸うなとはいわないわ。吸うなっていっても朧君、吸っちゃうだろうし。
だけど今度から吸うなら先生の家だけにしなさいね。

タバコは希の家で吸う場合だけ公認された。それでも朧は外でも学校の校舎裏でもツレとよくタバコを吹かす。別に約束したわけでもない。
希が勝手にそう決めただけで、朧はうんとも言っていないし、首を縦に振ってもいない。
中途半端な年齢──この時期の少年はみんな宙ぶらりんだ。人並みの性欲と欲望だけはあるくせに、心も身体も未発達だ。
心に蓄積した鬱憤をどこにぶつけていいのかわからず、欲望のはけ口を求めて少年少女は歓楽街をあてもなく彷徨する。
だが、欲望を発散させる代償は決して安くはない。二週間ほど前か、十四歳の少年がリンチにあい、公園で殺されたのは。
タオルを持ってバスルームにはいった。浴槽にはすでにお湯が張られていた。お湯を汚したくないので最初はシャワーを浴びる事にした。
シャワーの温度を調整する。今日はぬるま湯じゃないと痛くて身体を洗えないだろう。
シャワーのコックをひねった。勢いよく湯が頭上から迸る。お湯で汗ごと心まで洗われるような気分だった。
排水溝に吸い込まれるしずかなお湯の音、爽快な感奮にひたりながら朧は吐息をもらした。湯気で曇った鏡にハートの絵を描く。
ハートの中に希と自分の名前を入れた。スポンジにソープを染み込ませて脇下で泡立たせる。髪から伝う湯の雫がタイルに落ちた。
最近、痛みについて考える。ピアスの痛み、スパンキングの痛み──人は痛みの中にすら快感を見出す。どんな痛みにも快楽が伴う事を朧は知った。
そして脳の片隅で深くまどろむ記憶──自分ですら取り出すことのできない記憶が希のスパンキングがきっかけで僅かに目を覚ました。
林檎のように赤い臀部を撫でさすった。尻朶の内部が熱に火照る。朧はシャワーを頭から浴びながら瞼を閉じた。

ブラジャーとショーツを脱いでバスタオルを胸に巻いた。髪をまとめる。バスルームではシャワーを浴びている朧の姿が曇りガラスから窺える。
シャワーの音でどうやらこっちには気づいていないようだ。もし、自分が突然入ってきたら朧はどんな顔をするのだろう。
毒気を抜かれて呆れ顔をするのか、それともクールを装うのか。冴子はこれまで浮世を流したも異性と付き合ったこともなかった。
少し大胆な自分の行動に冴子自身、内心では驚いていた。折り戸を開けてバスルームにはいる。
「朧ちゃん、背中流してあげるね」
冴子が笑いながら洗い場に足を踏み入れた。あわてた朧が後ろを振り返る。冴子の視界に入った朧の尻房──赤みがさしていた。眼が点になる。
あせった朧が咄嗟に浴槽に飛び込んだ。ズキンと尻朶に痛みが走る。お湯は熱めだった。冴子を睨んだ。睨まれた冴子がはっとなった。
数秒間ほど気まずい雰囲気がふたりを包み、それを打ち消すかのように朧が冴子に向かって「いきなり入ってくるなよ!」と怒鳴った。
バスルームに怒声が乱反射する。冴子の鼓膜がキーンとなった。
「ごめんなさい……それよりもお尻どうしたの?」
聞いた瞬間、冴子はしまったと心のなかで叫んだ。──あちゃー、朧ちゃん不機嫌になっちゃったかな。
年頃の少年に尋ねる事ではなかったかもしれない。眉をひそめて俯く少年に冴子は罪悪感を感じた。話題を変えなければ。
「えっとね、朧ちゃんの頭洗ってあげようか?」
「洗ってくれるの?」
「うん、洗ってあげる」
シャンプーの液体を掌にとり冴子が湯を桶に汲んだ。浴槽に浸かったままで朧が頭を差し出す。濡れ羽色の黒髪だ。
甥の髪の毛の匂いが冴子の鼻の奥を過敏に刺激した。
染み付いた身体の汚れとミルクの混ざったような体臭。冴子は言いようのない感慨を覚えた。それは母親が自分の子供を愛しいと感じる事と同じ感覚だ。
もしも自分に息子がいれば──冴子は朧を眺めながら時折、そんな物思いに耽る。ショートカットの髪の隙間に指を差し入れて頭髪をゆるやかに揉んでいく。
「朧ちゃん、痒い所ない?あったら叔母さんに教えてね」
「わかった」
全身を脱力させて快さげに身を任せる朧の姿に冴子は顔をほころばせた。まるで赤ん坊だ。赤ん坊のように無防備だ。
冴子は五分ほどかけて朧の髪の隅々まで洗ってあげた。真新しいピアスのついた左の耳朶に気をつけながらシャワーで髪についたシャンプーの泡を洗い流す。
口を半開きにさせて朧が喘ぐように一息ついた。眼の縁が染まっている。少々のぼせたようだ。
「次は背中流してあげるね」
「自分で洗うからいいよ」
「そんな事いわないで、スキンシップなんだから恥ずかしがっちゃだめよ」
叔母が諦めるまで風呂から出ようとしなかった朧だったが、二十分ほどの睨めっこでついに寝負けしてしまった。口を尖らせてお湯から出ると風呂イスに腰かける。
イスの縁から出た尻を冴子はマジマジと見た。やはり赤い。肌が色白なだけに少しの赤みでも目立つ。
それでも冴子は何も言わずにボディーソープを含ませたスポンジで黙って朧の背中をこすった。スポンジが少しずつ下降していく。赤い臀部にスポンジが触れた。
「……お尻、気になる?」
意表をつかれるように尋ねられ、冴子が慌てふためく。呼吸を整えようと息を深く吸った。
「──あ、えっ、えっと、その……うん……お尻も耳のピアスの事も、叔母さん気になる」
「ピアスは耳だけじゃないよ。臍にも乳首にもしてる」
「なんでそんなとこにピアスなんか……痛くないの?」
「ピアスするのはファッションだよ。痛いけど我慢できないわけじゃないし、かっこいいじゃん」
朧は開き直っていた。人生に置いて人は己の恥を他人に曝した時、二つの選択肢を突きつけられる。相手のいいなりになるか、それがどうしたと開き直るかのどちらかだ。
腫れた尻を見られたくらいでなんだと、朧は後者を選んだ。半ば自暴自棄の選択だった。
「お尻はなんで赤くなってるの、まさかイジメとかじゃないよね?」
「違うよ。希先生に叩かれたの」
「それって体罰じゃッ」
冴子が声を荒げた。希に対して例えようもない怒りが燃え上がった。眦が吊りあがる。我が子同然の朧に体罰を加えるなど許せなかった。
──可愛い甥のお尻を叩くなんて……あの教師絶対に許せないッ
「うーん、体罰とはちょっと違うかな。痛いし恥ずかしかったけど……死んだ母さんの事思い出したよ。あんまり記憶にないけど」
朧のその何気ない言葉が冴子の心に突き刺さる。希へ向けた怒りの炎は、いつしか嫉妬の炎へと変わった。
「お姉ちゃんが亡くなったのって朧ちゃんがまだ本当に小さい頃だもんね。あれからもう十年以上経つんだ。叔母さんね、朧ちゃんのオシメ交換したりミルク飲ませてあげたこともあるんだよ」
冴子は内心、穏やかではなかったが、それを悟られぬようにスポンジを朧の脇腹に当てて会話を続けた。
「じゃあ朧ちゃんは、その、お仕置きされても嫌じゃなかったの?」
「うん、嫌じゃなかった。それに少し嬉しかったかな。怒鳴られたり殴られたことはあっても、叱られた事って今までなかったから。もし本当に嫌だったら叩かせないし」
二度目の朧の台詞に冴子の心はさらに締め付けられた。血の繋がりもない女に朧を取られた──冴子の胸裏に不安がよぎった。涙腺が緩みだす。
「そっか……朧ちゃん、希先生にお仕置きされて……嬉しかったんだ」
朧が後ろを振り返って冴子の瞳を覗き見た。瞳が薄い露をはいたように潤んでいる。どこか哀しげだ。潤んでいるのは涙のせいなのだろうか。それならなんで泣くのだろう。
「叔母さん、泣いてるの?」
「な、泣いてるわけじゃないよ……」
なんとか涙を堪えて朧の問いかけに答える。あとほんの一刺しで泣き出してしまいそうだった。うっすらとした湯気の膜が張られた鏡──滲んでいるがそこには朧と担任の名前が読めた。
「だけど眼、潤んでるよ」
朧が冴子の頬に指先を這わせる。我慢の限界だった。表面張力を超えたコップの水がタラタラと伝うように、冴子の眼縁から涙がこぼれる。
愛息子を泥棒猫に横取りされたようなナーバスな気分に冴子は陥った。頬が涙でしとどに濡れる。
「何で泣くの?俺、叔母さんを傷つけるようなこといっちゃった?」
「お、朧ちゃんのせいじゃないの……せいじゃないけど……ううぅ……っ」
大きく開かれた朧の瞳が不思議そうに冴子の顔を窺う。冴子の流す涙を指ですくい、慰めるようにつぶやいた。ゆっくりと身体を向きを変えて冴子と真向かいあう。
「叔母さんが泣くなんておかしいよ。ねえ、泣きやんでよ」
朧が何度も冴子に慰めの言葉を吐いた。それでも冴子は涙を止めることが出来ない。

「お願いだから泣きやんでよ。叔母さんの顔、涙でベトベトだよ……ねえ、どうすれば泣くのやめるの?」
冴子が無言で朧の尻に手を回した。尻肉をもみしだきながらやや上擦った声で言う。希から朧を奪い返したかった。──あの女が叩いたら、私はその倍叩いて取り返してやる。
「朧ちゃんの……朧ちゃんのお尻……叔母さんに叩かせて……」
「……叔母さんはそれで泣くのやめてくれるの?」
「うん、朧ちゃんがお尻叩かせてくれるなら泣くのやめる……」
屈託のない笑顔を浮かべて朧が冴子の首筋に抱きついた。首筋からは柑橘系の甘酸っぱいコロンの淡い香りがした。
「いいよ。叔母さんがお尻叩きたいなら、ううん、叔母さんになら、オレもお尻ぶってほしい」
朧の言葉に冴子の血液が過熱する。胸と下腹部のあたりがじんわりと優しい温もりに包まれた。歓喜に身体が打ち震える。朧との間にあった垣根がはずれたのだ。
旗から見れば本当にささいなことだと思う。それでも、ほんのささないなきっかけに過ぎなくても、やっと本当の関わりが持てる。
悲しみの涙はいつしか嬉しさの涙へと変わっていた。
「叔母さん、また泣いてるよ」
「あ、これはつい嬉しくて……」
「それでどこでお尻叩くの、ここでする?」
風呂イスから立ち上がった朧がもう一度身体の向きを変えて前かがみになった。冴子の面前に臀部をぐいっと突き出す。途端に冴子が赤面した。
その様子に朧が愉快そうにくすくす笑う。どうやらからかわれているようだ。今までにない親しみの雰囲気を感じながら冴子はペシッと軽く朧の尻房をぶった、
いつのまにかふたりともすっかり打ち解けていた。互いにクスクス笑いあう。さきほどの嫉妬がバカらしくなった冴子は朧の尻に触れながら服を着替えるように優しく言った。

白い生地に柚子が刺繍された浴衣にベージュのエプロンをつけた冴子と一緒に奥の和室に入る。
同じように柚子の刺繍が施された紺色の浴衣に着替えた朧が、裾をまくりあげて臀部をさらけだすと畳に正座した冴子の太腿に腹ばいに乗った。僅かに尻を浮かす。
「ねえ、なんで浴衣なの?」
「叔母さん、朧ちゃんと一緒に浴衣を着てみたかったの。ふたりでお揃いの浴衣着て、お祭りとかにいって」
「来週に最後のお祭りあるね。今度一緒にいこうか。オレ、お祭りっていったことないんだ」
「うん、じゃあ今度のお祭りで一緒に金魚すくいしよう。じゃあお尻叩くけど頑張って我慢してね。平手で百回、しゃもじで五十回だからね」
「先生にだってそんなにお尻叩かれたことないよ。最後まで持つかな……」
「がんばれ、朧ちゃん。じゃあいくよ……それ、ひとつっ」
二つの柔らかい尻房に右手をふりかぶった。掌と尻肌がぶつかるバシーンッ、バシーンッという炸裂音が和室内に鳴り響く。強烈な平手打ちに朧は身体を子供のように縮こませた。
希の平手も痛かったが、冴子の平手はさらに強かった。掌が肌にくっついたと思うと臀部の肉にまで痺れるような衝撃が走る。右と左の尻房を規則正しく冴子は叩いていった。
「じゅうさんッ、じゅうよんッ、じゅうごっ」
なめらかな朧の尻の表面が衝撃に波打った。希の仕置きの痕が残る少年の肉の球体に掌をしたたかに打ち据えて冴子が自分の手形に塗り替えていく。
痛みの余韻が訪れるよりも早く、冴子の鋭い平手打ちがビシンっと尻肌を襲った。ついに朧が苦痛の呻きをあげ始めた。背筋を弓反らせて腰をひく。
「さんじゅうにっ、さんじゅうさんっ、ほらっ、お尻が逃げてるよ、朧ちゃんっ」
追い討ちをかけるように手首をスナップさせた冴子の打擲が左の尻房を連続して振り下ろされた。熱い痛みに朧が涙をこらえて煩悶する。
「う……あ、あっ」
「ごじゅうさんっ、ごじゅうしっ、あと半分だからねっ」
声を押し殺して朧は平手のお仕置きに懸命に耐えた。交互に繰り出される平手打ちはさらに激しさを増し、熱にうなされたかのように少年の肢体が苦悶する。
尻を打つ乾いた音がやむ事も泣く室内に反響しつづけた。
赤黒く腫れあがった朧の臀部は無数の冴子の手形にせでに覆われている。最後の一発が振りおろされた時、ふたりは汗を流しながら肩で息をしている状態だった。
「じゃあ十分くらい休憩しようか」
冴子は水差しでコップに水を汲んで朧の口元に水を含ませる。朧が喉を鳴らして水をゴクゴクと飲んだ。水を飲ませながら冴子は朧の尻と背中をさすってあげた。
「落ちついたかな?じゃあ次はおしゃもじの番ね」
「うん……」
痛みに意気消沈している朧に見ていると流石にもうこれ以上は叩けなかった。冴子がどうすればいいか迷っていると朧が蚊細い声で
「いいよ……お仕置きつづけて……」と声をかける。けなげだった。冴子の目頭が熱くなる。
「わかった。じゃあ二十回だけ叩くからね」
すでに腫れて過敏になっている尻に冴子は木製のしゃもじのヘラを打ち据えた。平手よりもひときわ強い痛みに朧は眼を見張った。
それでも容赦なくビシッ、ビシッと冴子がしゃもじを尻に浴びせ続ける。熱を帯びた双臀は痛みより痺れを感じていた。表面の皮膚感覚が鈍くなっている。
やがて二十回のしゃもじ打ちが終わった。仕置きの音が静まった和室でむせび泣くような朧の声だけが静かに流れる。
冴子は朧の上体を抱き起こした。頭と腫れた尻を撫でさすりながら朧の頬にも首筋にもキスの雨を降らす。
「ごめんね……痛かったでしょう。叔母さん、ちょっと手加減できなくて……」
「ん、平気……」
「……朧ちゃん、今日は一緒に寝よう……ううん、今日からずっと一緒に同じベッドで寝よう……ね?」
冴子が朧に慈愛に満ちた眼差しで微笑みかける。
「わかった……」
「ふふ、良い子、良い子。これからも朧ちゃんのお尻叩くからね。それともう一つ叔母さん、頼みがあるの」
「……何?」
「あのね……もし、いやじゃなかったら……叔母さんの……私の事、ママって呼んでほしいの……」

冴子の寝息が寝室に静かに流れた。窓ガラスから秋の仄かに休日の暖かい光が差し込んでいる。穏やかな時間だ。眼を細めながら朧は窓を見た。
秋の日差しの心地よさを味わい、欠伸をしながら眼をこすって冴子の横顔を覗いた。冴子の寝顔に朧は思った。このままずっと一緒にまどろんでいたいと。
「ねえ、朝だよ。起きて」
「うーん……」
冴子が寝返りを打つ。肩を揺らしてみるが一向に起きそうにない。少しだけ逡巡した朧が照れながらそっと冴子の耳元で囁いた。
「ねえ、ママ……起きてよ」
「うーん、おはようのキスして……」
薄目を開けながらもう冴子が一度寝返りを打った。朧に顔を向けて見つめる。唇からピンクの舌を出して、朧が冴子の頬をぺろりと舐めた。
「キスじゃないけど、まあいいわ」
冴子が布団をめくってベッドから起き上がる。髪を撫でながら間延びをする。
「朝ごはん作ろうよ。俺、腹減ったよ」
冴子を早く早くと何度も急かすと、だぶつくLサイズのパジャマをゆらして朧が寝室から飛び出す。朧は下着もズボンも身に着けていなかった。
お仕置きの時にわざわざ脱ぐのが面倒だからだ。太腿まで伸びた裾がふわりとめくれて白い臀部が露出する。ふたりで一緒に朝のシャワーを浴びた。
シャワーのお湯を頭から浴びながら冴子が朧の歯を丁寧にブラシで磨いてあげた。シャワーをすませると服を着替えて朝食の準備にとりかかる。
ベージュのエプロンをつけてガスコンロに点火し、冴子は油を引いたフライパンをのせた。朧がキッチンの食器棚から皿を取るとダイニングテーブルの上に並べ始める。
「何か他にも手伝える事ない?」
皿を並べ終わった朧が冴子に尋ねた。お湯で濡れた髪の毛を撫でながら冴子は「もう充分手伝ってもらったからいいよ。イスに座ってゆっくり休んでて」と柔らかい口調で答えた。
冴子が野菜をまな板の上に置く。朧が包丁を手に取った。器用に人参の皮を剥いていく。
「朧ちゃんはそんなことしなくてもいいのよ」
「だけどすこし手伝うくらいいいでしょ」
人参を星の形に削りながら朧が無邪気な笑みをこぼした。次々と野菜を切る。巧いものだなと冴子は朧の手先の動きを眺めていた。
「じゃあ、そっちはまかせるけど、怪我とかには注意してね」
「あれ」

朧が間の抜けた声を出した。会話に気をとられて左の親指を切ってしまったのだ。血が珠のように傷口からじわりと浮き上がった。当たり前だが血は赤かった。
表面の薄皮を切っただけなので出血は思ったより少ない。
「ああ、言ってる側からっ!」
あわてて冴子が朧の親指を口に含んだ。血が止まるまで親指を押さえる。冴子に指を舐められて不思議な高揚感が朧の腹の底から湧き上がった。
「もう、ママをヒヤヒヤさせないで、朧ちゃん……」
「……ごめんね」
「だめ、あやまっても許さないんだから」
救急箱から絆創膏を取り出して傷口にゆっくりと貼ってあげると、冴子は「ペンするからね」と朧に言った。それがふたりの決めたお仕置きの合図だった。
「……わかった」
朧がホットパンツと下着を踝まで下げた。冴子の座るイスの脇に脱いだ衣類を置いて、膝の上に腹ばいに身体を預ける。
「朧ちゃんのお尻、何回叩こうかな。ママをびっくりさせちゃう悪い子は何回叩けば良い子になるのかな」
「わざと指切ったわけじゃないよ」
「わかってるよ、だけど本当に心配しちゃったんだから」
お尻叩きのお仕置きはいつまで経っても恥ずかしい──だけど同時に嬉しくもあった。、朧が臀部を持ち上げてスパンクしやすい体位になる。
「ママ、心配かけちゃってごめん……俺の……ううん、僕のお尻いっぱい叩いて……」
冴子の右手が上に持ち上がる。腹部に太腿をぴったりと密着させて、朧が眼をつぶった。心臓がドクドクと高鳴る。
「ひとつっ」
かけ声とともに冴子は振りかざした手をなめらかな尻房の表面に打ちつけた。ビシッ、ビシッ、ビシッ、連続して強い衝撃と痛みが尻に走り、朧の目頭がじわっと熱くなる。
あやうく仰け反りそうになるのを朧は自分の手首を握りしめて堪えた。冴子が一時も休まずに掌を尻に浴びせ続ける。
「まだまだお仕置きは終わらせないわよ、よそ見して指を怪我しちゃうような子のお尻は厳しくしないとね。もう、よそ見したり気をとられたりしないって約束できる?」
「うん、約束する……ッ、ああ、痛いよッ」
二十回を超えた辺りで涙がにじみ出てきた。尻肌がジンジンとした感覚を朧に伝えてくる。
「ちゃんと約束できる?」
丸出しの臀部を牡丹杏のように腫らせて朧は呻きながら何度も頷いた。手を止めると冴子が頬を紅潮させて朧の額の汗をエプロンで拭う。
赤くなった朧の尻を調べるように撫でながら陶酔の面持ちで冴子は「じゃあ、あと十回ね」と囁いた。

「……うん」
「一つずつ叩かれる毎にママにごめんなさいってうのよ、ほらっ」
冴子に肩甲骨を抑えられたままパンと尻肉を張られて朧が言われたとおりに台詞を喋る。
「ぐうっ、ママごめんなさいっ」

希は鉄柵の前で一息つくと玄関横のインターホンを押した。赤いレンガの壁に覆われた瀟洒な造りの一軒家──希は抜き打ちの家庭訪問で今日は朧の叔母の自宅を尋ねていた。
敷地は結構広い。二百坪くらいはありそうだ。二分ほど時間が経過する。誰もでない。留守なのだろうかと希は思った。
「はい、もしもし」
インターホンのスピーカーから女性の声が聞こえてきた。どうやらちゃんと誰かいたようだ。
「あの、朧君の担任の塚本(つかもと)希です。朧君はそちらに居ますか?」
「ああ、ちょっと待ってください。いま開けますね」

お仕置きが終わると冴子は自分の膝の上に乗った白い尻を見ながら「可愛い……」と呟いた。尻から背中、背中から尻を猫の背を何度もさする。
急に恥ずかしくなった朧は身体をそろそろとひねって膝の上から降りようとした。冴子が「まだおりちゃ駄目よ」と朧を制止する。
「もう、お仕置き終わったんだからおりてもいいでしょ?」
「その前にお尻にお薬塗らないと」
冴子がエプロンのポケットからメンタムのチューブを開けて、朧の尻にゼリーをこぼした。尻の割れ目にまで指を這わせながら丹念に塗っていく。
ヒヤッとするゼリーの冷たい感触が火照った尻肉に心地よく沁み込む。冴子に薬を優しく塗布されると不思議と安らかな気持ちになる。
嬉しくて、恥ずかしくて、どこか切なくなってくる。
子供じみたお仕置きを膝の上で受けて子供のようにあやされて優しく慰められて──痛いのに、恥ずかしいのに──だけどどこか心地よくて、嬉しくなってしまう。
「どうかな。お薬スースーして気持ちいい、朧ちゃん?」
「うん、気持ちいいよ」
ジンジンとした熱い苦痛を訴えていた尻も薬のお陰でいくらかは落ち着いてきた。それでもまだ痛いことには変わらなかったが。
薬を万遍なく腫れた皮膚の表面に塗り終わると、何を思ったのか冴子が朧の尻や腰、そして脇腹をくすぐりはじめた。
「あははっ、く、くすぐったいからやめてよっ」

あまりのくすぐったさに朧が身をよじってクスクス笑い出した、叩かれた尻の痛みも忘れてクスクスと笑い出した。それを楽しそうに眺めながら冴子はさらにくすぐった。
まるで母猫が無邪気に仔猫をあやしているような、なんとも微笑ましい光景だ。否、馴れ合いだ。
そこには不思議な馴れ合いがあった。ふたりだけの空間、ふたりだけの時間──家の中では装わずに自由気ままに冴子と朧はじゃれ合う。
冴子はどんどん大胆になっていく自分に内心では驚いていた。あるいは朧だからこそ大胆になれるのか。どちらでもいいかと冴子は考えるのを切り上げた。
確実にはっきりしているのは「自分は今、限りない幸福感に包まれている」という確信と愛情を向けて、愛情を込めて叩ける朧という愛息子が出来たという事だ。
とにかく冴子は朧が可愛くて可愛くてたまらないのだ。だからこそ、冴子は朧を自分で産みたかった。冴子は朧を赤ん坊にして育ててみたかった。
夢ですらない虚しい空想──出来るわけがないのはわかっていても、冴子は心の底から願わずにはいられないのだ。
朧を産むという夢想は冴子本来の母性の強さの現れなのだろう。女の性とも業ともつかぬ切実な──それは痛切とも言える激しい欲求だった。
それならば──せめて、冴子は擬似的でもいいから雰囲気だけでもいいから味わいたかったのだ。
赤ん坊や幼児を育てる母親の喜び──ほんの少しだけでもいい知りたかった。だから朧は冴子に対して少しだけ演技をし、子供の振りをしてに甘えてみせる。
芝居気があるのだろう。冴子もそれには薄々気づいていた。気づいていたがそれだけだ。
朧の演技に嫌悪を抱いたり、怒りを覚えるような事はなかったし、冴子はむしろそんな少年の演技が好ましくも愛しかった。
本当は気恥ずかしくてしょうがないのに、自分に合わせてくれようとする朧の気遣いのように冴子には感じられるのだ。
演技ばかりではない。朧は演技だけではなく、本来の自分もさらけ出して甘えてくれる。甘えられると冴子の下腹部はジーンと熱くなり、母性の火が灯るのだ。
そうなると冴子はついつい我を忘れて、暴走してしまう。
朧のお尻を叩く掌に無意識に力が入ってしまうのは無理からぬことだだろう。もっとも、朧にとってはただの災難でしかないが。
「朧ちゃん、ママが抱っこしてあげるね」
冴子が朧の上体をあげさせてから、脇の下に両腕をいれて抱き上げた。ふたりが向かい合う形になる。そのまま冴子は朧の双腿を割り開いて自分の膝の上に座らせた。
「ママのお膝に座るの朧ちゃん、好き?」
「うん、大好きだよ。暖かくて気持ちいいから」

両脚を冴子の腰に絡ませながら、朧はすうっと眼を細めて眩しそうに冴子を見つめた。時折、冴子にだけ見せる朧の双眸だった。ねだるような、何かを挑発するような瞳。
朧のその視線を感じる度に、冴子は言いようのない甘い気分に包まれる。猫のようにくるくると表情が変わる瞳を見つめ返し、冴子は少年の発育途中の薄い胸板に顔を埋めた。
胸板からはほのかに日向の麦とミルクの香りがした。乳臭い。未熟な匂いだ。しかし、快よく冴子の心を平穏であたたかくなだめていく匂いだ。
柔らかい筋肉をした猫のように軽やかで伸びやかな朧の肢体を肌で感じ、冴子は自然と自分の頬が緩んでいくのがわかった。顔を上げて朧の頬にキスをする。
朧の両腕とふくらはぎが冴子の首と腰に回った。悪戯好きの仔猫のような笑みを浮かべて頬をすりよせてくる。冴子が朧の尻肉をやわやわと揉みしだきながら平手打ちを喰らわせた。
乾いた肉を打つ音がダイニングキッチンに高らかに鳴った。冴子が楽器でも叩くようにリズミカルにテンポよく打った。
痛ーい、朧が鼻を鳴らすように甘えた声で言うと冴子の背中をぎゅっと抱いた。
「お仕置き終わったんじゃないの……?」
「これはお仕置きじゃなくて朧ちゃんとママとのお尻のスキンシップよ。だけど本当に良い音だすね、朧ちゃんのお尻さんって。まるで太鼓みたい」
十五回ほど平手で朧の臀部を打ち鳴らし、もう一度お尻を揉みながら、よしよしと朧をあやす。
甘い、甘い、ふたりだけの蜜月──その時チャイムが鳴った。時を忘れていた冴子は突然のチャイムで現実に引き戻されてしまった。
無粋な訪問者に一瞬、冴子は柳眉を逆立てそうになった。深く息を吸って怒りを鎮める。折角の朧との休日が台無しだ。
「誰だろうね。こんな時間に」
「宅配か何かかしらね」
朧を膝からおろし、はい、もしもしと冴子がインターホンにでた。向こうから聞き覚えのある声──冴子が眉間に皺を寄せた。
(泥棒猫に邪魔されるとは思わなかったわ……)
「あの、朧君の担任の塚本(つかもと)希です。朧君はそちらに居ますか?」
「ああ、ちょっと待ってください。いま開けますね」
インターホン越しの希に穏やかな返事を返すと、ボタンを押して鉄柵を開けた。全自動の鉄柵だ。信号を送ると開く仕組みになっている。
サボテン君
2010年05月18日(火) 01時45分22秒 公開
■この作品の著作権はサボテン君 さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ヽ(・∀・)ノ前にえふすぱで投稿してたのを修正して投稿し直したよ。

この作品の感想をお寄せください。
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は
いかに久しき 物とかは知る
花林(復旧コメント) ■2010-09-15 14:53:09
ヽ(・∀・)ノはじめましての人もそうでない人もよろしくー。
えふすぱで削除した作品を手直しして投稿したよ。
続くかどうかはうーん。
サボテン君(復旧コメント) ■2010-09-15 14:52:58
こんちはーっ!こうやって感想書くのははじめましてーですよね。
これは…例のあれかっ!!
描写がきれいですげーって舌を巻いてますwwww
おしおきが厳しかったり甘々だったり…もうっ(何

続くのかっ!?続くんだなっ!!
よっしゃ生きる意味が増えたwwwwww
ウィツ(復旧コメント) ■2010-09-15 14:52:44
おぉっ、どこかで見た朧くんSSが!
っとと、挨拶を忘れてました、スパな絵とSSをこよなく愛すお茶Kです。はじめまして!
甘く蕩けそうなぺちムードの連続にしてやられました(笑)

文体とか情景描写のリズムというか、なんだか一昔前の正統派小説という感じが出てますね。
ラノベちっくなお話ばかりに傾倒しているお茶Kには逆に新鮮で楽しめましたっ。

ぺちシーンもほんのり甘くちょっぴり厳しめに、その後はべたべた甘々な展開に赤面しちゃいそうだったりでw
甘いひとときにスパ風景があって、という感じのこういう雰囲気は好きです♪
シーン中もところどころ細かい描写も入っていて読んでいて楽しかったです。

さてさて、恋敵(?)な希先生と冴子さんのお2人のご対面、一体どうなることでしょう。
続くのかな? 勝手ながら続編期待なお茶Kです!
お茶K(復旧コメント) ■2010-09-15 14:52:29
お、久しぶりー!
新作かと思ったら、モージョだったか!
ちゃんと比較して見直してはいないけど、それでもところどころを結構修正してあるのが分かった!
そこはかとなく、前よりも冴子さんのジェラシーが強めになってて、ぽえぽえしてるように見えた!
これは文体からそー感じただけか、それとも実際にそーなのか。どっちだ。

タイトル変わって、さらに「〜〜1」ってなってて、続きがあるみたいなんで、期待!
アカト(復旧コメント) ■2010-09-15 14:52:17