ぺちSS板
母の心子知らず、子の友は熟知?(F/m)
夏休み
この言葉を聞いて喜ばない子供はいないだろう。
7月最後の登校日の帰り、小学校から浮かれた少年少女がどどーっと校舎から飛び出し、明日からの休みに胸躍らせていた。さらには、ほとんどの学校で2学期制となってしまったため、この時期での子供達にとって喜怒哀楽の一因であった通信簿がないこともあり、安堵感が隠せない子供が多く見受けられる。
しかし、その中で幾分元気のない少年と、その様子を不思議そうに見ながら横に並んで一緒に歩いている少年の姿があった。
「団馬くん。」
「・・・・。」
「と、ん、ま、くんってば!」
「・・・あっ!あれ、平ちゃん?いつのまに。」
「さっきから呼んでたよ。何か元気ないけど、どうしたの?」
「え、ああ、うん。実は、これなんだけど・・・。」
「ん?それってこの前やった学力テストだね。」
「平ちゃんは何点だった?」
「僕は65点。そんなに良くも悪くもなかったよ。」
「いいなぁ、まあ見てよ。何で今日返すんだろうな、先生のやつ。」
団馬は、ぼやきながら1枚の紙を平助に渡す。
「・・・0点。」
平助は愕然とする。
「ハハ、素晴らしいだろ。何も書かないんならともかく、全部埋めてそれだぜ。」
「うへー、〇×問題まで・・・。」
「もはや自分で言うのも何だけど、神業だね。10問あってパーフェクトさ。」
「・・・すごいや。」
「いやぁー、そんなにほめるなって。照れちゃうよ、ハハハハ・・・ふぅー。」
そう言いながら、団馬はその場にうな垂れ、頭を抱える。
「・・・団馬くん?」
「あー!どうしよう、こんなの母ちゃんに見つかったら・・・。」
心配げに平助が声を掛けると、団馬は急に声を荒げる。
「でも、団馬くん。いつも10点や20点のテストの時なんか、堂々としてるじゃない。舞子おばさんは呆れてたけど・・・。」
「うー、でも今日はタイミングが悪いのよ。前に平ちゃんにも言ったけど、俺、明日からサッカークラブでキャンプがあってさ。」
「あ、確かそう言ってたね。僕もクラブに入れって誘われたけど、運動苦手だって断った・・・。」
「そうそう。それで、前に母ちゃんに言われてんだ。「サッカーもいいけど、少しは勉強しろ。万一、テストで0点なんか取ったら、夏休みはサッカーも遊びも一切禁止。家でみっしり勉強だ」って・・・。」
「どひゃー、舞子おばさん厳しー・・・って、よく考えたら条件かなり甘いよね。それだと、1点でも取ればOKだもんね。」
「それができなかったのが俺だ!えっへん。」
「・・・威張るところじゃないと思うよ。」
「・・・そうだよ。何、言わすんだよ平ちゃん!このままじゃ、キャンプ行けねえよー。あー、どうしよう、どうしよう、おー、パッキョロパッキョロパオパオプププ・・・。」
(本当に悩んでるのかなぁ・・・?)
挙句に意味不明の奇声をあげ、その場をウロウロする団馬。そして、もはや冷ややかな目でその様子を眺める平助。すると、団馬の頭の中で、ある名案?を思いつく。
「平ちゃん!」
「な、何なの?いきなり大声出して。」
「一生のお願いだ!これをしばらく預かってくれ!」
そう言うと、団馬は0点のテストを平助に手渡す。
「えー!それは困るよー、団馬くーん。」
「頼む!俺と平ちゃんは友達だろ?もう平ちゃんだけが頼りなんだ!」
「でも・・・。」
「はっ、もうこんな時間だ。俺は明日の準備があるのでこれから姿を消す。では、くれぐれも母ちゃんに見つからないように。では、さらばだ!とぉー!」
団馬はこう言い残し、疾風の如く走り去っていった。
「あーあ、行っちゃった。けど、姿を消すって多分家に帰っただけだろうな。一体、何を考えているんだか僕にはわからないや。前から思ってたけど、やっぱり団馬くんって・・・アホだな。このテスト・・・どうしよっか?面倒くさいから、舞子おばさんに渡しちゃおっかな。」
平助は一人残され、ただただ団馬に振り回されるばかりであった。





翌日。
結局、ああは言ったものの、団馬がかわいそうと思い直し、団馬のテストは平助の元にあった。そんな平助の気遣いも知らず、団馬は朝から父親と共に元気よく出かけて行った。
こうして、平助は気を取り直して早速、部屋で宿題に手を掛ける。平助の成績はずば抜けて良くも悪くもない。ただ、計画性はあり、毎年夏休みの半分を過ぎたあたりで、毎日やるもの(日記等)以外は全て終らせていた。
ゆっくりとコツコツやり、わからない所はすぐには手をつけずに後でじっくりと調べる。そんなペースで午前、そして昼過ぎまで一人で黙々と宿題を進めていた。
「ふぅ、今日はこれぐらいにしとこっと。」
平助は目処がいいとこまできたのか、ここで鉛筆を置く。そして昼食後、ふと廊下を歩いていると、玄関先であるものを目にする。
「あれ?回覧版・・・もう、パパったらあれほどお仕事行く時、隣に持っていってって言ったのにぃ。忘れんぼなんだから!」
平助は、やれやれといった顔をして玄関を出ると、そのまま隣の家へと向かう。
ピンポーン
「はーい。」
「回覧版でーす。」
「あっ、その声は平助くんね。ちょっと待ってて。」
ガチャ
「こんにちはー。」
「あらあら、ご苦労様。平助くん。」
ドアが開き、舞子がにこにこしながら平助を出迎えた。
「はい、回覧版。」
「はいどうも、今日も暑いわねぇ。ところで、今日は何してたの?」
「うん、さっきまで宿題してたよ。ドリル10ページくらい。」
「まあっ、今日から夏休みなのにもうお勉強?偉いわぁ・・・うちの団馬なんか、早速サッカーしに父ちゃんとお出掛け。明後日まで雲隠れよ。」
「うん、知ってる。」
「全く、あの子はいつ勉強するのかしら。また終わり頃にギャーギャー言って、パニックになるのが目に見えるわ。」
「なぜだろう、僕の目にも見えてきた・・・。」
「プッ、笑わせないでよ。だからね、もし団馬が宿題見せてって言ってきても絶対に断ってね。あの子のためになんないから。」
「は、はぁ・・・。」
「はぁじゃないの、とにかくお願いねっ!時々痛い目にあわせないとすぐ調子に乗るんだから。」
舞子は語気を強めると、もう平助はタジタジである。
「あ、ごめんごめん、変な話になっちゃって。ところで、平助くんはどこかに行く予定でもあるの?」
ここで舞子は少し冷静になり、平助に尋ねる。
「当分はプールか図書館かなぁ。ママはお盆休みまで帰ってこないし、パパもそれまで長いお休みがとれないって・・・今日もお泊りで帰ってこないし。」
「ふーん、パパはお仕事、ママは単身赴任で大変ね。何か専業主婦のおばさんがちょっと恥ずかしいわ。」
「そんなことないよ、主婦だってすごく大変だよ。」
「フフッ、ありがとう。そう言ってくれるのは平助くんだけよ。」
「エへへ。」
平助の言葉に思わず笑顔になった舞子は、中腰になって平助と目線を合わせると、その平助の頭を優しく撫でる。そして平助もまた、少し横を向いて照れていた。
「じゃ、こうしましょうよ。平助くん。」
「へ?」
「今日の夕方から、おばさんの家でお泊り会をやりましょう。」
「お泊り会?」
「そっ、ごはん食べて、遊んで、お風呂入って、寝る。それだけだけど、お互い一人でいるより楽しいでしょ。」
「うん、そう言われると何だか楽しそう。」
「なら決まりね。夕方になって準備ができたら、平助くんに電話するわ。食べ物はこっちで全部準備するから、平助くんが準備するのは、着替えとパジャマと洗面道具・・・あっ、勉強道具はもう勉強したからいらないわね。思いつくのはそんなところかな。」
「うわぁ、何だかワクワクしてきた。」
「よーし、おばさんこれから買い物行ってくるから、いい子にしておうちで待っているように。」
「はーい!」
「うん、いい返事。それじゃ、後でね。」
そう言いながら、舞子は家の中へと入っていくと、平助も小走りで自分の家へと駆けていった。





そして、夕方。
「じゃーん。」
「わー、すごーい!」
舞子の家のダイニングルーム。平助は、たくさんのご馳走に目を奪われる。
カレーライス、ハンバーグ、ケーキ・・・子供の大好きなメニューのフルコースだ。
「美味しそうでしょう。平助くんのために腕をふるったんだから。」
「これ、食べていいの?」
「当たり前でしょ。おかわりもあるから、いっぱい食べてね。」
「わーい!」
急遽開催されたお泊り会。平助は正に夢見心地であった。
美味しいごはんとお菓子。
食後のトランプやゲームなどのレクリェーション。
リフォームされて一新したという、ゆったりとしたユニットバスでのお風呂。
その間、平助から笑顔が絶えることがなく、舞子もまたその笑顔に喜びを感じるのであった。
それから平助は、プリント柄のパジャマに着替えた後、舞子に導かれて和室の方へ行くと、そこには布団が2組敷かれていた。
「おばさんと団馬の部屋にはベッドがあるけど・・・こっちの方が広々としていいと思ってね。でも、もしベッドの方がよければ、おばさんのベッドで一緒に寝る?」
「いっ!いや、いいですっ。ぼ、僕、布団でも大丈夫だから・・・。」
平助は顔を少し赤らめて照れながらそう言うと、舞子は笑いを堪えながらさらに、
「そう。じゃあ、おばさんはこれからお風呂でも入ってくるかな。なるべく早く戻ってくるから、それまで一人で遊んでてね。何だったら、もう一度おばさんと一緒にお風呂入る?」
「もう!舞子おばさんの意地悪!!」
顔を最大限に紅潮させ、平助は布団に潜り込んだ。
(フフッ、可愛い子。)
舞子はほくそ笑みながら、リビングを後にした。
その後、約30分ぐらい過ぎただろうか。お風呂に入り、花柄イエローのネグリジェに着替え、自室で濡れた長い黒髪をドライヤーで乾かし、お肌の手入れを済ませると、舞子はいそいそと和室へと歩く。すると、
「あ、そうそう。」
何かを思い出したかのように、舞子は脱衣所へと入っていく。
「平助くんの服、明日までに綺麗に洗わなくちゃ。しっかし、このズボンは昨日もはいてなかったっけ?団馬もそうだけど、男の子はファッションには鈍感なものね。」
そう言いながら、舞子は平助の衣服を次々に洗濯機に入れていくと、
ガサッ
「あれ?ポケットに何か入ってるわね。」
平助のズボンのポケットに手を入れると、舞子はいくつかに折られた紙切れのようなものを取り出す。そして、それをゆっくりと開くと・・・
「・・・えっ!!」





「平助くん、待たせたわね。退屈だったでしょ?」
「ううん、全然。団馬くんの部屋から本持ってきて見てたし。」
舞子が和室へと戻ってくると、平助は布団の中で寝そべって本を読んでいた。
「そう、ならいいけど・・・。」
平助は舞子の顔を見上げると、なぜか元気のないような表情をしており、不思議に感じていた。そして、平助の隣に敷かれた布団の上に舞子が正座すると、
「・・・平助くん。ちょっと起きて、ここに座りなさい。」
「は、はい!」
明らかに態度が急変した舞子の命令に、平助の体は素早く反応し、舞子の目の前に正座した。
「まずは、これを見て。」
そう言って、舞子は平助の目の前に1枚の紙を差し出した。
「げっ!!」
平助は超敏感に反応し、思わず大声を出し、目をそむける。そう、紛れもない。あの団馬の0点のテストだった。
「しまった」、「すっかり忘れてた」なども口に出しそうだったが、それはなんとか食い止めてみせる。しかし、体は緊張で硬直状態となった。
「その様子だと、色々知っているようね。さあ、ちゃんと説明してもらおうかしら。どうして、団馬のテストを平助くんが持っているの?」
「・・・・。」
「平助くん。黙ってないで、お願いだから正直に言いなさい。」
もう逃げられない。最初は黙っていたが、舞子の言葉に優しさが少しでも残っている間に白状しようと考え、平助は昨日あった事を全て話した。
「はぁ、全くあの子はどれだけ人に迷惑掛ければ気がすむのかしら。平助くんを使ってこんな事をしでかすなんて・・・もう怒ったわっ!」
舞子は顔を紅潮させ、怒声を発し、片膝をたててその場を立とうとする。
「ど、何処へ行くの?」
「これから父ちゃんのとこに電話して、明日の朝になったら団馬を家に連れ戻してもらうの。もう夏休み中は一歩も外に出しません!毎日、部屋に閉じ込めて勉強漬けにしてやるわ!そうすれば、あの子の頭も少しはまともになるんじゃないかしら?」
「そんな・・・。」
「さてと、携帯はどこに置いたっけ?」
舞子は携帯電話の置き場所を思い出そうと片膝のまま少し動きを止める。
その間、なぜか平助は団馬の笑顔が自然と頭に浮かび、そしてついには思い切った行動に出てしまうのだった。
ガシッ
平助は立ち上がり、舞子の腕を両手で掴み、精一杯の力で握りしめる。
「ちょっと、ど、どうしたの?平助くん。」
「舞子おばさんっ、団馬くんを許してあげて!」
「え?そ、それは駄目よ。平助くんにも迷惑掛けたし、今回の事はちょっと許しがたいわ。」
「だって、団馬くんのテストを隠してたのは僕だもん!正直に舞子おばさんに渡せって団馬くんに言えばよかったんだもん!そうすれば、僕が知ってる優しい舞子おばさんだったら許してくれるはずだもん!ううぅ、ううぅ、ぐす、ぐすん・・・。」
「平助くん・・・。」
ここで平助が泣き出してしまい、舞子はうろたえる。
「うぇーん、ぐすん、ぐすん。」
だんだんと大きな声で泣き出す平助。それをじっと見て、舞子は一つ大きな息を吐き、
「はい、いい子だから泣かなーい。」
「・・・・。」
舞子に笑顔が戻り、平助の頭を撫でる。
「わかったわ。今回は平助くんに免じて、あのバカ息子の事は大目に見てあげる。」
「え!本当?」
「ただし、条件があるわ。」
「条件?」
「それは、こういうことよ。」
グイッ
「わっ!」
舞子は平助の腕を引張ると、正座し直した自分の膝の上に軽々と平助をうつ伏せにした。そして、間髪入れずにパジャマのズボンに手を掛け、そのままブリーフごとずり下ろす。
ペロン
「ひぃっ!」
まだ風呂上りのほかほかしたお尻が顔を出し、脱がされた服が足に絡みつく。もう自分が次に何をされるのかは、膝に乗せられた時点で感づいてはいたが、
平助は思わず悲鳴をあげてしまう。
「はい、静かにー。これから平助くんには団馬の代わりに罰を受けてもらうわよ。お尻ペンペン30回、泣かずに頑張って耐えたら団馬を許してあげる。もし少しでも泣いたら、この夏休み中は団馬と遊べなくなるからね。」
「・・・・。」
「わかった?」
舞子は淡々と説明し、最後に平助に返事を聞く。すると、平助は黙ってコクリとうなずき、パジャマの袖で目に溜まっていた涙を急いで拭いた。
そして平助がうなずくのを見て、舞子は平助の体を押えながら、手をさっと振上げる。
「それじゃ、いくわよ。覚悟しなさいっ!」
ビシッ!バシン!バシッ!バシッ!バチーン!
「あっ!あっ!いひっ!ひひん!びぃっ!」
いかにも痛そうな音が次から次へと平助のお尻から飛び出し、平助の声と共に
和室に大きく響く。
バシッ!ビシン!ビシッ!バシッ!バシーン!
「ひぃー!びぇぇー!痛いー!痛いー!痛いー!」
さらに舞子の力強い平手打ちが続き、平助は痛い痛いと叫び続け、足をバタバタさせる。すると、舞子は一旦手を止め、平助のお尻にそっと手を置き、
「こらっ!お仕置きなんだから痛いのは当たり前です!痛くないお仕置きが
ありますかっ!」
こう大声で怒鳴ると、平助はびくっと体を震わせ、おとなしくなる。そんな即座の平助の反応に少し口元が緩みそうになった舞子であったが何とかこらえ、一つ大きく深呼吸をする。そして再び、
バシッ!ビシッ!ビシッ!バシン!バシーン!
ビシッ!バシッ!ビシッ!バシッ!バチーン!
「うああぁー!ああぁー!ひいぃぃーっ!ひいぃぃーっ!ごめんなさーいっ!」
舞子から与えられる鋭い痛みの連続に、平助は声を張り上げて何とか泣かないよう必死に耐える。そして、その様子をずっと観察し、厳しく平助のお尻を叩き続けた舞子は、ここでまた手を止め、舞子はもう一度、平助のお尻に手を置く。
「さあ、あと10回よ。もう少しだから、頑張りなさい!」
「ふ、ふぁい!」
今度は一転して優しい言葉を掛けてやると、平助は大きな声で返事をした。すでにお尻は赤く染まっており、平助が泣いてしまうのも間近だと思わせるほどだった。
だが、何とかして団馬を許してもらおうと頑張る平助。そしてそれを後押しするかのように、舞子は厳しいお仕置きをしながらも、10回ごとにさりげなく休憩をいれてあげるという、小さな心配りを見せ、平助もそれを薄々と感じていた。
ビシッ!
「ひぃっ!」
バシッ!
「びぃっ!」
ビシッ!
「ぎいっ!」
バシン!
「ぴぃっ!」
バチン!
「ぎぇっ!」
バチッ!
「びぃぃ!」
バシッ!
「うぎぃー!」
バシッ!
「ぴぎぃー!」
バシッ!
「うぎゃん!」
1回ごとに短く叫びながら、痛みをこらえる平助。そして、最後の1回・・・。
バチーン!
「ぎゃぴぃー!」
きっかり30回。平助の小さなお尻を叩き終えて舞子は、
「平助くん、こっちを向きなさい。」
そう言うと、平助はゆっくりと振り向いて舞子の顔を見上げた。すると、
「うん・・・ギリギリだけど、合格!よく頑張ったね、よしよし。」
舞子は満面の笑みを浮かべながら、平助の頭を愛情をこめてくしゃくしゃに撫でる。
「うわーん、舞子おばさーん!うえぇぇーん!」
平助は我慢していたものを一気に吐き出すかのように、大声で泣き出すと舞子はうんうんとうなづき、
「こんなにお尻真っ赤になって痛かったよね。今日は平助くんが眠るまで、おばさんがお尻撫でてあげるから、いい子にねんねしましょうね。」
最後に赤ちゃん言葉も交えてささやきながら、平助のお尻を優しく撫でてやると、平助は次第に泣き止んで、気持ちよさそうにゆっくりと目をつぶった。





それから少したって、外はもう真っ暗になっていた。
「平助くん、寝た?」
「・・・寝た。」
「こら、まだ寝てないじゃない。フフフ。」
「ククククッ。」
和室で舞子と平助の笑い声が聞こえてくる。
「今日は散々だったね。」
舞子は、自分の膝の上にちょこんと乗っかっている平助の赤くなった可愛いお尻を撫でながら言う。
「ううん、でも楽しかった。」
「お泊り会、またやりたい?」
「うん!今度は団馬くんも一緒に。」
「そうね、その方が賑やかで楽しくなるわ。また近いうちに3人でやりましょうか?」
「うん!」
平助は目をつぶりながら大きな声で返事をする。そして、
「平助くん。」
「何?」
「団馬をかばってくれてありがとうね。おばさん、すごく嬉しかった。」
「へ?い、いや、あの、その、つい・・・。」
「フフッ、照れることないじゃない。あの時、おばさん本当に頭に来てたからね。平助くんがああ言ってくれて、かなり冷静になれたわ。だけどまだ心がモヤモヤしてたもんだから、団馬の代わりに平助くんをお仕置きするなんて、つい言っちゃって・・・本当に情けないったらありゃしない。」
「ううん、違うよ。僕も悪かったもん。舞子おばさんは悪くないよ。」
「もう、平助くんたら・・・。」
平助の言葉に舞子はまたしても救われた気分になり、にっこりと微笑む。
「平助くん、もう一つ聞いていいかな?」
「うん。」
「今回のお礼っていうかおわびとして、平助くんに何かしてあげたいんだけど・・・。」
「え?」
「何でもいいわよ、おばさんができることなら。」
「うーん、いきなりそんなこと言われても思いつかないや。」
「そう言われるとそうかもねぇ、うーん・・・あ!いや、でもこりゃだめね。こんな事言ったら平助くん怒るわ。」
「えー、何々ー、教えてよー。気になっちゃうよー。僕、怒らないからー。」
「本当に怒らない?」
「うん!」
「じゃ、言うわ。あのね、もしこれから学校のテストで平助くんが50・・・いや30点以下だったときは、おばさんがお仕置きとしてお尻百叩きしてあげる。なーんてね。」
「いーっ!お尻百叩きー?」
「フフフ、前にテストで50点以下を取ったことないって平助くんが言ってたの覚えてたからね。だから、それ以下の点数を取ったらお仕置きされるって事になれば、もっと勉強頑張れるかなーと思ってね。でも50点以下はやっぱり厳しいから、ハードルを下げて30点以下にして、あとは単純に数字の語呂あわせで、100点取れるように勉強しなさいと叱咤激励の意味でお仕置きはお尻百叩き・・・って、あー、もう冗談冗談。言ってみただけだから忘れて忘れて!」
舞子は髪を振り乱しながら首をブンブン振ると、そこに平助から思わぬ言葉を聞く。
「・・・いいよ。」
「おいおい・・・平助くん。本気なの?」
「うん。何か欲しい物をもらうより、そっちの方が勉強を頑張れる気になるからいいかなと思って。それに、僕、30点以下なんか絶対に取らないもん。」
「そうよね、平助くんだったら絵に描いた餅になりそうだし、大丈夫だよね。でも本当にいいの?」
「うん。」
「平助くんがそう言うならおばさんは構わないけど・・・もし万一そんな事になったら、おばさん容赦しないわよ!このお尻、これぐらいじゃすまなくなるんだから。」
「うっ!今ごろ後悔してきたかも・・・。」
「アハハ、でも仮に団馬だったら、テストが返ってくる度にお仕置きだわ。おばさんの手が腫れちゃう。」
「それよりも・・・団馬くんのお尻の方が大変だよ。」
「それもそうね、フフフ。」
「ハハハハ。」
どっぷり暮れた夜の時間、しばらく舞子の家では笑いの絶えることはなかった。





そして、2日後。
「たっだいまー!」
「おかえり、団馬。楽しかった?」
「うん!」
「あなたもお疲れ様。」
「ああ、シャワーでも浴びて、しばらく寝かせてもらうよ。明日は仕事だしな。」
「ええ、わかったわ。」
団馬の父親は、そのまま家の中へと消えていった。
「母ちゃん、おやつー!」
「・・・そこに貼ってあるわよ。」
「へ?何、貼ってるって・・・あ、あ、あー!!!」
壁には何とあの団馬の0点のテストがしっかりと貼ってあった。
「ご、ごめんなさいっ!」
そして、すぐさま危険を察した団馬は玄関で大人顔負けの土下座をしてみせる。すると舞子はすました顔でこう言い放つ。
「もういいわよ、今回は許してあげる。」
「え!マジで?」
舞子からの意外な言葉に、団馬は目をパチクリさせる。
「平助くんに深く感謝することね。じゃ、母ちゃんはこれから出掛けるから。」
「は?平ちゃんがどうかしたの。それに、出掛けるってどこに?」
「お隣さん。アップルパイが美味しく焼けたから、平助くんにおすそわけしに行くの。」
「俺の分は?」
「ないわよ。」
「う、うっそー!」
「あんたには冷蔵庫に梅干と麦茶があるから、それ食べながら家でゴロゴロしてなさい。」
そう言いながら、舞子はスタスタと家の前の道まで歩いていく。
「ちょ、ちょっと待ってよー、母ちゃ、いやお母様ー。怒らないでよー、次のテストは頑張るからさー。」
「こら、そんなに服を引張るな・・・。で、頑張るってどれだけ頑張るつもり?」
「目標30点!ブイ。」
「・・・話にならないわね。」
「えー、でも俺、テストで30点以上取ったことねーし。絶対取ってみせるからさ、ねっ、ねっ、ねっ!」
「あー、うるさい!ついてきたきゃついてくればいいでしょ。」
「え?いいの?」
「さっき平助くんに電話したら、「団馬くんも来るの?」って聞かれて、つい返事しちゃったからね。」
「エヘヘ、さすが平ちゃん。」
「ほら、平助くんにお土産買ってきたんでしょ?早く持ってきなさい。」
「イエッサー!ビューティフルマザー!」
団馬は嬉しそうな顔をしながらサムズアップをすると、全速力で家に戻っていく。
「・・・やれやれ。」
舞子の力なき声は、そよ風にかき消されていった。















それから約2ヶ月後、平助の部屋
「これ、もし何も言わずに見せたらどうなるかな・・・。」
平助は「30点」と書かれた自分のテストを少し震えた手で持ちながら、一人じっと見つめていた。
夏休み後に行われた50点満点のテストを・・・。
ヴァルマー
2010年07月10日(土) 07時43分04秒 公開
■この作品の著作権はヴァルマーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
せんえつながら続編連投。
前作を読んで頂いた上で、読んでもらえれば
何よりです。

この作品の感想をお寄せください。
>お茶Kさん
気になさらないで下さい。感想をもらえるだけでありがたいです。

おっしゃるとおり、叩かれたのは平助くんだけで主犯はぺち逃れしており、
理不尽さは満載です。でも、ぺちられた分それ以上のほどこしを実の息子の
団馬が足蹴にされるくらい受けてますので結果オーライと思われます。

噂によると、団馬の該当テストの結果は5点だとか・・・。舞子ママンは
呆れて怒る気力を失い、何点満点どうとかは全く触れなかったらしい。
さあ、平助くんの運命は・・・妄想補完全開との事でこれ以上はやめます。

ではでは、ありがとうございました!
ヴァルマー(復旧コメント) ■2010-09-15 14:56:24
すみません、感想遅れましたっ!
早くも続編ですね。なんとなーく前作をほのめかせる題名で、目に入った途端に「これは舞子さん×平助くんの続きかも?」とピンと来てしまいましたw

お仕置きの前も後もほのぼのゆったりな雰囲気がいい感じです♪ もう二人ともすっかりスパな関係になっちゃったみたいですねw
今回は良い子くんだけお仕置きされて、トンマな悪企みしてたどっかの子は無事なんて。平助くんがキーくんじゃなかったらなんと理不尽なことやら(笑)
もう舞子さんのお膝は平助くん専用なのかも?w

最後の平助くんの答案は‥‥団馬くんが先に渡してるから大丈夫かも!
‥‥いや、万年0点の答案じゃ、何点満点かなんて気にしないからやっぱりお尻百ペンの刑に‥。
以上、妄想補完全開なお茶Kでしたっ!
お茶K(復旧コメント) ■2010-09-15 14:56:16
>アカトさん
いえいえとんでもない。こちらこそ調子にのって連投しちゃってすいません。
良し悪し関係なく、書ける内に書きたいと思いまして・・・。

平助くんはただ団馬を叱らないでほしかっただけなのに、結局、舞子ママンのお膝の上に乗せられてしまいました。恐らく無意識に「ぺちられオーラ」が出ていたのかもしれません。
余談ですが子供の頃、ぜひ自由自在に出したかったオーラですね。

そして、テストは黙って見せたのか否か・・・もしアカトさんの予想が外れたら、私のお尻が大変!って言うか誰にぺちられるの?ぶるぶる。
卑怯ながらも、ここは言及せずこの場を立ち去りませう。
ではでは、また宜しくお願いしまーす!
ヴァルマー(復旧コメント) ■2010-09-15 14:56:00
地味に忙しくて感想むっちゃ遅れました…すまぬ、すまぬ…!

んで今回も平助くんが妙な理由でぺちられとるw
てかぺち理由の大半が団馬が原因な気がしてならぬw
でも平助くんもぺちられたがり(?)なところもあるから、持ちつ持たれつ?

50点満点のテストで30…めっちゃ平均的なのに、100点満点で考えたら大変な感じになるな!
「何も言わずに見せて平助くんぺちられて、んで『ホントは100点満点のテスト』とバレて舞子ママンは謝りつつ、でも嘘ついたからとさらに追加でぺちる」に花京院…もとい、ヴァルマーさんのお尻を賭けるぜ!
負けてもぺちられるのはヴァルマーさんだ!(えー

今回も投稿ありがとでしたー!
アカト(復旧コメント) ■2010-09-15 14:55:44
感想どうもありがとうございます!

>しるくさん
はじめまして!読んで頂きありがとうございます。
色々と想像して楽しんで貰えたようで何よりです。
また機会があれば読んでやって下さい。
>ウィツ様
毎度どうもです。今回は、思いがけない所でお仕置きされてしまう平助くん。
もし、ここでお仕置きされなければ、またお家でセルフスパだったかも・・。
教員へのツッコミはごもっともです。昔、自分の学校でも適当にテストを
作ってやらせた先生がいました。50点満点はまだましで110点満点とか。
(配点が100で収まらず、なげやりになったらしい)

ではではー!
ヴァルマー(復旧コメント) ■2010-09-15 14:55:34
こんにちはですっ!!
なんというか平助くんは損な役回りですなwww
そして頑張ってこらえるところがなんともけなげwwwww
そしてラストは…どうして教員はこんな問題を作ったんだっ!!
ウィツ(復旧コメント) ■2010-09-15 14:55:18
いつも楽しく読ませてもらってます☆
平助くんがぺんぺんされるなんて災難ですねwww
泣かないように頑張っている姿を想像するとかなり可愛いですっ!www
しるく(復旧コメント) ■2010-09-15 14:54:59