「さなちゃん、イタイッ! もうやだぁ!」
「だーめっ。ちゃーんとお部屋片付けておかない陽ちゃんが悪いんでしょ?」
ぴしゃんと薄紅色になった陽一のお尻の真ん中に、早苗は勢いよく手を振りおろした。
今でこそ部屋は片付いているものの、つい1時間前は床に漫画や雑誌やらが散乱しており、足の踏み場がなかった。
早苗は陽一の幼馴染でありながら、陽一の姉のような女性でもあった。小さなころから陽一より背が高く大人びていて、しっかりものだった。そして自分にも他人(特に陽一)に厳しい人であった。
小さな頃から、陽一が悪いことをしたり、あまりにもだらしなかったりすると、そのたびに陽一のお尻を叩いてきた。今もだ。
陽一は、この子供がされるみたいなお仕置きがとても恥ずかしかった。小さな時から「このお仕置きはやめて…」とお願いしていたが、そのたびに「じゃあ、1ヵ月間、思いっきり叱られるようなことがなかったら、やめてあげる」と約束をして――――3週間、早くて3日で叱られるようなことをしでかし、今の今までこの「お尻ぺんぺん」のお仕置きが続いてしまっている。
なので、ものすごく恥ずかしいとは思いながらも、今の今まで「おしりぺんぺん」されてしまっている責は自分にあるので、しぶしぶながらもちゃんとお仕置きを受けている。
しかし悪いことばかりではなかった。お尻ぺんぺんが終わった後、早苗は陽一をやさしく抱き上げ、泣きじゃくる陽一が泣きやむまであやしてくれている。とんとんと背中を叩いて、ギュッと抱きしめてくれて、ひりひりして火照ったお尻をやさしくなでてくれて…。
もちろん、恥ずかしいのもあった。でもそれ以上にあったかな気持ちになった。
ぱちぃん!
力いっぱいお尻に振り下ろされた手が、ひときわ大きな音を響かせた。赤みを帯びた陽一のお尻が波打ち、その痛みで陽一は声にならない悲鳴をあげて背中をそりかえらせ、そして早苗の膝の上でくったりしてしまった。
ひんひんとしゃっくりをあげ、ぐすぐすと洟をすすってしゃっくりをあげていた。
「はい、お仕置きおしまい。最後まで抵抗したりしないでちゃーんとお尻ぺんぺん受けられて、偉かったよ♪
さ、おいで」
陽一の両脇に手を差し込んで、ひょいと抱き上げ、お尻が膝に乗っかってしまわないように上手に膝の上に座らせて、ぎゅーっと力いっぱい抱きしめた。
「今度からは、注意されたらすぐにお片付けしよーね? すぐやればこんな風にぺんぺんされないし、それに頼んでくれれば私だって手伝うんだから、ね?」
抱えあげるように抱き上げられ、耳元でささやかれた。耳元でささやかれた時、耳にかかる吐息で背中にゾクゾクと電流が走った。
陽一は嗚咽を漏らしながらコクンとうなづき、ギュッと早苗に力いっぱいしがみついた。