打楽教育3楽章<
作:お茶Kさん



「こら、誰がお尻かばっていいなんて言ったの」
「だ、だって痛くてっ‥‥あぁっ、やめて先生!」

 痛くて思わずお尻を守ってしまった手が先生に掴まえられた。そのまま先生はボクの右手をぐいっと背中の方へ捻じ曲げて押さえつけてしまう。慣れない姿勢に怖くなってちょっと暴れちゃうけど、先生はボクがたいして抵抗できないとわかると、その体勢のまま木の定規をお尻に振り下ろし始めた。

「いっ‥‥! いたっ、痛いよっ! もう許してせんせぇ!」
「‥‥はい、遅刻の罰はこれでおしまい。次、宿題忘れのお仕置き。今週4回忘れたから、お尻40回ね」
「そんなぁっ! お願い先生待って、痛くて死んじゃう‥‥っ!」
「だめよ。ほら、お尻ちゃんと突き出して。ゆっくりにしてあげるから頑張りなさい」

 ちっとも待ってくれない先生は、再びボクのお尻に定規を当てて狙いを定めてきた。お尻に冷たい定規の感触がして、そのまま表面をなでたり、ぺち、ぺちと軽く叩いたりしてくる。すっごく恥ずかしくて逃げ出したくなるけれど、お仕置き中はお尻を突き出すこと以外は禁止されてるから動けない。破ると余計お尻が痛くなるだけだから、恥ずかしくてもじっと我慢するしかないんだ。

 あぁ、どうしてこうなっちゃったんだろう。痛みと恥ずかしさと情けない気持ちがごちゃ混ぜになって、涙がぽろぽろこぼれてきた。

 先生とは初めて会ったその日に即座にお仕置きされた。遅刻に忘れ物に無断欠席の三冠王というあまりにだらしないボクを見かねて、養護担当の先生をボクの個人指導にあてる、なんてことになったのが始まりなんだけど。先生はボクの生活態度に応じて罰を与えますって言って、まず初日にお尻を酷い目に遭わされ、次からは遅刻とかするとその分だけお尻を叩かれる決まりになっちゃった。
 毎週、週末になると誰もいない音楽室に呼び出されて一週間ぶんのお仕置きをされる。お尻を叩かれない週なんてなくて、手で叩かれたり、遅刻とかがあんまり酷いと今日みたいにお道具を使って叩かれたりして、大きな声で泣き出しちゃうこともあった。泣いても「ここ防音だから。好きなだけ泣きなさい」って、先生は冷たく言って手加減なんてしてくれなくて、いつも週末はお尻を何度もさすってもらわないと、痛くて家にも帰れないくらいまで叩かれた。

「いたぁ! あぁぁ、許して先生。ごめんなさい、ごめんなさい‥‥」
「もう、泣いて謝るくらいなら、なんで真面目に授業受けないのよ。ちゃんとしてればお尻出さなくて済むでしょう」
「だって‥っ、聞いても知らないことばっかりで‥‥全然わかんないし‥っ‥‥たぁぃ!」
「今まで怠けてたからそうなるんでしょ、もう‥‥。わからないところは先生に聞きに来なさいよ。先生もできるだけ協力してあげるから、いいわね?」
「は、はい‥‥」
「よろしい。それじゃ最後に5時間の欠席のぶん、お尻50回ね。頑張って耐えなさい」

 泣きそうな宣告を受けて、ボクはお尻を堅くして身構えるしかなかった。とっくに真っ赤になったお尻に、さらに続けて定規が何度も何度も振り落とされる。今日も、先生になでてもらわないと帰れないお尻にされてしまいそうだった。