継母(ままはは)との絆(F/m)
「大吾。突然で驚くかもしれんが、お前もよく知っているこのセレン・ブロッサムさんと結婚することになった。彼女はここ最近、毎日のように家にきて食事を作ってくれたり、身の回りの世話をしてくれていたこともあってお前も薄々は感じていたかもしれんが・・・まあそういうことになったから、よろしく頼む。」
父親のこの言葉に、その一人息子の本村大吾の頭の中は真っ白になった。
「よろしくね、大吾。」
玄関先で大吾の父親に紹介され、にっこりと微笑みながら大吾に声を掛けるこの女性がセレンである。名前でもわかるとおり、彼女は外国人であり、背が高く、腰まで届くくらいの金髪をなびかせ、着ている黒のスーツがはちきれんばかりの胸とお尻を持ち、道を通りすがる男性が思わず振り返ってしまうくらいの魅力あふれる女性で、とても大吾の父親と同い年である36歳には見えない。同じ会社に所属する二人であるが、2年前にセレンが卓越した語学力が認められ、母国の支店から大吾の父親が勤務する本店へと転勤され、同じ部署で働くこととなったのがきっかけとなり、次第に惹かれあっていった。
それから出会ってから一ヶ月後、会社の同僚としてセレンを大吾に紹介し、最初は外国人ということや決して背は低くない大吾の父親(175cm)より少なくとも10cmは高いと思われるセレンの体格に圧倒され、自分からは近づいたり話そうとはせずに警戒していたが、セレンのフレンドリーで子供好きな性格に除々に打解け、ついには大人と小学4年生という年齢差があるにも関わらず、「大吾」、「セレン」と呼びあうくらいの仲の良い間柄になっていった。
ちなみに大吾は小学校に入学する直前に母親を病気で亡くしているため、父親との二人家族である。一方、セレンは未婚であり、こんな美しい女性がこの歳までなぜ結婚していなかったのかと職場では誰もが不思議がっていた。
そんなセレンに声を掛けられ、しばらくぼう然としていた大吾であったが、突然、せきをきったように叫ぶ。
「僕、絶対やだよ!パパはもう死んだママなんてどうでもよくなったの?」
「大吾!そういうわけじゃない!俺はお前のためを思ってだな・・・。」
「嘘だ!嘘だ!パパはセレンと結婚したいだけなんだ。僕やママなんてどうでもいいんだ。」
「大吾!!」
「ふんだ!僕のママはママだけだもん!!パパのバカー!!!」
「待て!大吾!」
ダダダダダッ
大吾は父親の制止を聞かず、自分の部屋へと一目散に走って行った。
「・・・あなた。」
セレンは心配そうに声を掛ける。
「・・・ふう。やっぱり、一筋縄ではいかなかったか・・・あいつももう10歳だし自分で理解してくれると思ってたんだがな・・・それに、セレンとはあれだけなついていたから大丈夫だと少し軽く考えていた。」
「私も悪いのよ。あんな軽々しくよろしくなんて言って・・・あの子の母親への気持ちを考えずに・・・。」
「いや、君が気にすることはない。全ては俺の責任だ。とにかく、時間を掛けて大吾を納得させるしかないと思う。それまでは君に大きな負担をかけてしまうが・・・。」
「私は大丈夫よ。それに大吾は優しい子だもの。きっとわかってくれるわよ。」
「・・・そうだな。」
こうして、セレンを含めた三人の生活が始まった。
それから一週間が過ぎた。セレンは会社を辞め、専業主婦として、精一杯家事をこなし、すっかり本村家の一員となっていた。しかしながら、大吾とセレンの関係は、いまだに修復されていない。大吾から声を掛けることはほとんどなく、掛けるとしても決まりきった挨拶だけであった。
「おはよう」、「いってきます」、「ただいま」、「いただきます」、「ごちそうさま」、「おやすみなさい」、それにセレンの呼びかけに対する「うん」の生返事ぐらいしか言葉を発しない。さらに悪い事に、セレンが会社を辞めたため、大吾の父親の仕事がさらに忙しさが増し、帰りは大吾が就寝後、朝は大吾が起床する前に家を出るというサイクルとなり、大吾と話す時間がほとんどない。休日も出勤しており、休む暇がないとはこのことだとの見本となってしまっていた。しかし、セレンの方は夜中に帰ってくる大吾の父親に様子を聞かれても、
そんな大吾の冷たい態度については一切話さず、なんとかうまくやってるからと健気に笑って見せていた。
だが、さらに一週間が過ぎても、これまでと少しも変わらず心を開いてくれない大吾に対してセレンはある決断をする。その日の夜、ベージュの長袖、紺のロングスカートに花柄のエプロンをした姿のセレンが大吾の部屋へと向かう。
コンコン
「大吾、入るわよ。」
ガチャ
セレンは大吾の部屋をノックすると、すぐさまドアを開ける。ノックをしても返事をしてくれないため、最近はこうやってノックしたらすぐに開けてしまうようになっていた。
「あら、お勉強かな?」
「うん・・・。」
部屋は勉強机に椅子、ベッド、本棚などが置かれている洋室であり、大吾は宿題をしていたのかグリーン系のパジャマ姿で机に向かっていた。
「勉強しながらでいいから、ちょっと私の話を聞いてくれないかな?ね?」
「うん・・・。」
セレンは笑顔でそうお願いすると、大吾はセレンを見ずに素っ気ない返事する。その声を聞くと、セレンは大吾のベッドの縁にそっと腰掛け、ゆっくりと話しはじめる。
「あのね、私・・・パパとの結婚をやめようと思うの。」
「・・・・!」
セレンの言葉を聞き、大吾は驚いて思わずセレンの方を振り向く。
「私は・・・パパはもちろん好きだけど、大吾のことも好き。だけど、このままその好きな子に嫌われ続けるのは、とっても悲しいから・・・。」
「・・・・。」
「私ね、10年前に病気になって・・・子供が産めない体になっちゃったの。すごいショックで、それ以来結婚なんて全く考えられなかった。好きな人と結婚してもその人の子供が産めないなら、そんな結婚なんて意味がないってね。でも、パパと出会って、その話を聞いてもらったらすごく親身になって励ましてくれて、そしたら、「俺も妻に先だたれて独り身だ。子供が一人いるんだが、よかったら一目会ってくれないか」って言われて、この家に来たのが大吾との最初の出会い。シャイだけど元気で明るい子だなって、すぐ好きになっちゃった。」
「・・・・。」
「それから、何度もこの家に来させてもらっているうちに「この子のママになりたい」って考えるようになった矢先にパパからプロポーズされて・・・私、涙が出るほど嬉しかった。」
「・・・・。」
セレンの目を見ながら黙って話を聞く大吾。さらに話は続く。
「でも、やっぱり本物のお母さんには勝てないなって実感しちゃった。大吾・・・短い間だったけどあなたのママになれて嬉しかったわ。パパには申し訳ないけど、帰ってきたらこのことを伝えるから・・・。」
そう言い終えて、立ち上がろうとするセレン。すると、
「待ってー!」
「・・・・!」
ドサッ
大吾は叫びながら勢いよくセレンに飛びかかり、ベッドの上にそのまま押し倒す。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさーい!」
ベッドに仰向けになったセレンの胸に顔を埋めるように抱きつきながら泣き叫ぶ。
「・・・大吾。」
「僕・・・本当はセレンがママになるって聞いてすごく嬉しかった・・・でも、そうなると、僕のママが姿だけじゃなくてパパや僕の中からも本当にいなくなっちゃう気がしたから・・・だから・・・。」
「・・・・。」
ようやく聞けた大吾の本音にセレンは感動し、ギュッと大吾を強く抱きしめる。大吾はしばらく泣き続け、セレンの胸元を覆っているエプロンに涙がどんどん染みこんでいく。
「ありがとう、大吾。あなたのお母さんに対する気持ち、そして私への気持ち、とてもよくわかったわ。」
「・・・えっ?」
「さっき言った言葉は全部取消し。私、天国にいる大吾のお母さんに負けない立派なママになって見せるから。」
「ほ、本当に?」
大吾は目を擦って泣き止もうとしながら、セレンにたずねる。
「もちろん。それに、大吾がお母さん思いの優しい子だって改めてわかったしね。こんないい子のママになるチャンスを誰が手放すもんですか。」
セレンはそう言いながら起き上がり、再びベッドの縁に腰掛けて、まだ背が135cmぐらいの小さな大吾を自分の膝の上に横抱きにする。
「わーい!」
大吾は喜び、再びセレンに抱きつく。
「もう、甘えん坊なんだから。ウフフフフ。」
セレンは満面の笑みを浮かべ、まるで赤ちゃんをあやすように大吾を胸の中に優しく抱きしめるのだった。
あれから、二人はすっかり仲直りして、これまでとうって変わって楽しくおしゃべりをしていた。その中で、セレンから「大吾のお母さんとの思い出を教えてほしい」という要望に対し、大吾は喜んで自分のママとの幼い頃の思い出を次から次へと話し出した。
すると、その思い出の一つとして「耳掃除」の話題が出てきたので、セレンは「私で良ければ、今してあげようか?」と一言言うと大吾はうれしそうにうなずいて、すぐさま耳かきを取りに行き、ベッドの縁に座っているセレンの膝を枕にするように横になるのだった。
「どう、大吾?」
「うん。くすぐったくて、気持ちいい。」
「よかった。私、人に耳掃除するの初めてだから、痛かったらごめんね。」
「うん。平気だよ。」
こんな会話の中、セレンはゆっくりと丁寧に大吾の左耳そして右耳とにっこりしながら耳掃除をし、大吾もまた、その気持ちよさにすっかりと癒されていた。そして、耳掃除が終わってからも大吾はセレンの膝枕から起きようとはせず、セレンもそんな大吾をいとおしく思い、大吾の頭を撫でながらさらに話を続ける。
「ねえ、大吾。」
「何?」
「他には何か思い出はないの?こんなこともしてもらったっていう事とかさ。」
「え、あ、うーん。」
しばらく大吾は思い出そうと真剣に考える。すると、
「あ!あー、いや、これは・・・。」
大吾は何かを思い出した。しかし、なぜか急にモジモジして恥ずかしそうな表情を浮かべている。
「どうしたの?何か思い出した?」
「うん・・・。でも・・・。」
「もう、なに恥ずかしがってるのよー。」
「えっと、これはね、ママにしてもらったというより・・・されちゃったことなんだけど。」
「え、何なのそれ?教えてよ、大吾。」
「えー、でも・・・。」
「こら。この期に及んで私に隠し事をする気なの?いいわよ、別に。もう絶対、大吾に耳掃除なんかしてあげないから。」
そう言うとセレンは大吾の頭を撫でるのをやめ、そっぽを向いてしまう。
「あー!言うよ。言いますからー!」
大吾は、セレンの機嫌を直そうと慌ててこう言うと、セレンに再び笑顔が戻る。
「はい、素直でよろしい。さあ、言ってごらんなさい。」
「うん。あのね、僕が幼稚園の頃、ママは僕が言うこと聞かなかったりして悪い子になると・・・お尻ペンペンされた。」
「お尻ペンペン?ああ、「スパンキング」の事ね。へぇー、この国でも子供のお仕置きにそうしてる家庭があるのね。」
「それでね、ママは普段はすごく優しいのに怒るとすごく怖くて、そのときは膝の上に乗せられてお尻丸出しにされて、何回も何回も叩かれて・・・すっごく痛くて泣いて謝ってもなかなか許してくれなかった。」
「ふうん。大吾のママって結構厳しかったんだね。」
「でもね、お尻ペンペンが終わると今度はいつも以上に優しくなるの。赤くなったお尻をずっと撫でてくれたり、だっこしてくれたり、一緒にお風呂に入って僕のお尻を痛くしないように洗ってくれたり・・・。」
「・・・・。」
セレンは決して楽しい思い出という訳ではない母親からのお尻ペンペンの思い出を恥ずかしく思う気持ちがありながらも嬉しそうに話す大吾の顔をじっと見つめている。
「だからね、僕は普段のママも好きだったけど、怒って僕にお尻ペンペンするママも怖かったけど好き。結局、どっちも優しいママだったから・・・。」
「フフフ。天国にいるお母さんも大吾にそんなに言われてさぞかし喜んでる
でしょうね。うらやましいわ。」
「うん・・・でも・・・。」
セレンの言葉を聞き、大吾の表情が突然暗くなり、言葉が詰まる。
「どうしたの?私、何か悪いことでも言った?」
セレンは心配そうな顔をして話し掛けると、大吾は再び話を続ける。
「ううん。あのね、もしママが生きていたらね・・・今日までのセレンへの僕の態度を絶対許してくれなかったと思う。セレンがあんなに一生懸命になってパパや僕のために色々としてくれたのに、僕はずっと無視してたし・・・。」
「もう。そんなことはいいのよ。大吾が気にすることじゃないわよ。」
「それでね、もしママがこの部屋にいたら、僕はすぐ捕まえられて・・・お尻ペンペンされたと思う。「新しくママになる人に対してあの態度は何なの」ってね。」
「・・・・。」
大吾の言葉にしばらく無言になるセレン。すると突然、
「ごめんなさい、ママ!」
「えっ!?」
大吾はセレンの膝枕から起き上がり、そう叫びながらセレンに抱きついた。
セレンは驚いて思わず声をあげながらも大吾の小さい体をしっかりと受け止める。
「もう、あんな悪い子にはならないから・・・許してよ、ママ。」
「大吾・・・。」
大吾はギュッとセレンを抱きしめると、セレンもまたそんな大吾を再び横抱きにして、優しく自分の胸に抱きしめた。そして、しばらくたってからセレンが大吾に話し掛ける。
「大吾、ありがとう。」
「え、何が?」
「私のことを「ママ」って言ってくれて。」
「へ?そんなこと言ったっけ。」
「そうよー。だって、パパと結婚してから今日までほとんどお話しなかったんだから。」
「・・・ごめんなさい、ママ。」
「あ、また言ってくれた。フフフ。」
「へへへへ。」
セレンが微笑むと大吾は自分の頭をかきながら照れ笑いを浮かべる。そして、
セレンは横抱きにしている大吾の頭をしばらく撫でた後、大吾に衝撃的な言葉を伝える。
「じゃ、改めてよろしくねと言いたいところだけど、これから私はしなければいけないことがあるわ。」
「え、何を?」
「それはね、大吾にお尻ペンペンするの。」
「い、い、いーっ!」
大吾は目が飛び出るくらいの驚きの表情をしながら、思わず大声をあげる。
「そんなに驚くことないでしょ。大吾も言ってたじゃない。さっきまで悪い子だったから、もしママが生きていたらお尻ペンペンされてたって。」
「・・・・。」
「でも勘違いしないでね。私自身はさっきまでの大吾のとっていた態度や行動については全く怒ってないし、お仕置きして懲らしめようなんて全然思っていないわ。だけど、天国にいる大吾のお母さんの意思を継ぐために、私が大吾のお母さんの代わりとなって大吾をお仕置きすることで、私が真の大吾のママになる第一歩を踏み出そうと思うの。」
「・・・・。」
「大吾ならわかってくれるよね。素直にお仕置きを受けられる?」
「・・・うん。」
じっと黙って話を聞いていた大吾はセレンの言葉に納得してコクリとうなずくと、セレンの胸の中で横抱きにされた状態からするりと体を抜け出し、そのままベッドの縁に座ったままでいるセレンの膝の上に自分からうつ伏せになった。頭はセレンの左、お尻は右側にある体勢となっている。そして、セレンは左手を大吾の背中にそっと添える。すると、心なしか大吾の体が震えているのが、その左手と膝に伝わってくる。そんな大吾にセレンはフッと笑みを浮かべて、
「大丈夫。心配しないで・・・。」
そう優しく言うと、右手でパジャマのズボンと白いブリーフに手を掛け、ゆっくりとずり下ろす。そこには、まだお風呂に入ってそれほど時間はたっていない小さくて可愛いお尻がひょっこりと顔を出す。ちなみにセレンはこれまで何度か本村家を訪ねて家事等の世話を行ってきたが、大吾と一緒に風呂に入ったことはおろか、裸も見たことがない。よって、今回初めてセレンは大吾の裸のお尻を見ることとなる。
そして、太ももの途中までずり下ろすと、セレンは右手を高々と振り上げる。もうその表情には先程までの笑みはすっかりと消えていた。
「大吾。天国のお母さんが私に「もういい」って言うまで、お尻ペンペンするからね。しっかり反省しなさい。」
穏やかな口調の中での厳しい言葉。いったい何回叩かれるんだろうという恐怖から、大吾はベッドの上に敷いてある布団を両手でぐっと握り締める。そして、大吾の母親の魂が乗りうつったセレンからの未知なるお尻ペンペンのお仕置きが幕をあける。
バシン!ビシィ!バチン!バシィ!バシーン!
ビシッ!バチッ!バシン!ベシン!バチーン!
「・・・ぎゃぴー!・・・うぎぃー!・・・い、痛い!・・・痛いよぅ!・・・ひぃぃー!」
セレンの力強い平手打ちが大吾のお尻に炸裂し、大きな音が何度も何度も部屋中に響き渡る。大吾は数年ぶりのお尻ペンペンのお仕置きに目に大粒の涙を浮かべながら叫び続ける。しかし、そんな大吾を全く気にする素振りも見せず、セレンは平然とした顔でお尻を叩いている。これも外国人のパワーか、それとも母国がお尻ペンペンの本場ならではのものなのか、大吾は叫び続けている中で、「昔のママのお尻ペンペンとは比べ物にならないほど痛い」と思いながら、足をバタバタさせながら必死になって耐えている。
ビシィ!バチィ!バシッ!ベチン!バチーン!
バシィ!ビシッ!バチッ!バシン!ベチーン!
そして、お尻ペンペンの数が20回に達したところで、セレンの手が一旦止まり、大吾に問い掛ける。
「さあ、大吾。あと10回で許してあげるってお母さんは言ってるけど、ちゃんと反省してる?もしまだ反省してないんだったら、まだまだお尻ペンペンを続けてあげてとも言ってるけどどうする?もっともっと叩いたほうがいい?」
その言葉を聞き、ブンブンと首を振る大吾。それにあわせて、すでに真っ赤に染まったお尻も左右に振っている。
「そう。じゃああと10回、きちんとお仕置きを受けられる?」
再度、セレンはこう問いかけると、大吾はコクコクとうなずく。すると、その大吾の様子を確認したセレンは再び右手を振り上げる。
バチン!バシン!バチッ!バシーン!バチィーン!
ビシッ!バシッ!バチィ!バチーン!バッシーン!
「・・・びぇぇ!・・・ぎぃぃ!・・・うぎゃ!・・・うわっ・・・うわぁぁぁーん!」
とびきり強烈な10連打により、ついに大吾は大声で泣き出した。そして、真っ赤になっていたお尻がさらに色濃く染まり、腫れ上がっていく。そして、最後の一打を終えるとセレンは叩く手を止め、大吾を膝の上から持ち上げ、先程と同じく自分の胸の中に横抱きにする。
「大吾!よくがんばったね!天国のお母さんもすっごく誉めてるよ!いい子いい子、本当にいい子!」
セレンはそう言って大吾を強く抱きしめ、目には涙が浮かんでいる。
「うわぁぁーん。ごめんなさーい!ママ、ごめんなさーい!」
大吾もまたセレンの胸の中で大声で泣き、再びエプロンに涙を染み込ませる。
こうして、このお尻ペンペンのお仕置きによりセレンと大吾の親子としての絆がより一層深まったのであった。
それから、一ヵ月後。
「ただいまー!」
「おかえり−。」
学校から帰ってきた大吾が元気よく叫ぶと、玄関で靴を脱ぎ、そのまま出迎えたセレンに飛びついた。そして、セレンはそれをしっかりと受け止め、自分の頭くらいの高さまで抱き上げて大吾のほっぺに軽くキスをする。
「今日も学校、楽しかった?」
「うん!」
「そっ。よかったわね。」
誰が聞いてもわかる仲の良い親子の会話。いや、むしろ仲が良すぎるというべきかもしれない。
一方、大吾の父親はというと、海外への10年間の期限付きの転勤(栄転)が決まり、すでにこの家にはいない。そして、その転勤先はくしくもセレンの母国である。再婚後すぐでの転勤は非情ともみられるが、大吾の父親はすでに覚悟していたらしく、セレンと大吾に見送られ、笑顔で旅立っていった。そして、セレンはというと夫が側にいなくて寂しい気持ちはあるものの、定期的に会うことや電話をすることを約束し、そして何より大吾の存在が、寂しさを吹き飛ばす大きな要因となっていた。
「さっ、行こうか。」
「え、行こうってどこに?」
「ママの部屋よ。」
「え、何で?」
「いいから一緒にくるの。」
「うん、わかったからもう降ろしてよ。自分で歩くから。」
「いいの。このまま連れてってあげる。」
「・・・・?」
セレンは首をかしげている大吾をだっこしたまま、スタスタとスリッパから音を鳴らしながら、家の奥に向かって歩いていった。
「ねえ・・・ママ。」
「何かしら?」
「どういうこと?これ?」
一階の突きあたりにあるセレンの部屋。そしてその部屋には脚の長い木製の椅子に座る白いシャツにGパンそして黄色のエプロン姿のセレンとその膝の上には水色のTシャツを着て、黒の半ズボンと白ブリーフを膝の上まで脱がされてお尻丸出しの状態でうつ伏せにされている大吾の姿があった。
「決まってるでしょ。お仕置きよ。」
「えー!!お仕置きって何で?僕、何も悪いことしてないのに。」
「もう!ママと交わした約束を破っておいてとぼけるなんて・・・ママ悲しいわ。」
「???」
「一ヶ月前にちゃんと約束したでしょ、ママとのお約束3ヶ条。言ってごらんなさい。」
「えーと、ママに嘘をついたり隠し事をしてはいけない、夜7時前には家に帰ること、えっと、あと1つは・・・。」
「学校に行く前にママのほっぺに「いってきます」のチュ−をする、でしょ。」
「・・・うん。だけど僕、全然わからないよ。別にママに嘘ついたり隠し事なんてしてないし、家には暗くなる前に帰ってきてるし、それに・・・ちゃんと学校に行く前に・・・ママにチュ−してるし・・・。」
大吾はセレンの膝の上で少し顔を赤らめて恥ずかしそうに話す。そして、心なしかお尻も紅潮しているように見える。
「こら!何言ってるの!ママはちゃんと覚えているのよ。大吾が日直のときや寝坊して遅刻しそうなときには朝食もとらずにママが見送る前に学校へ行っちゃってたでしょ。それもこの一ヶ月の間に5回も!」
「えー。でも、それ以外はちゃんとやってたしぃー、たった5回しなかったくらいで・・・。」
「たった5回ですって!大吾が学校から帰ってきたときは、ママは欠かさずチュ−してあげてるのに・・・。」
セレンはだんだん涙目になり、その表情をじっと見ていた大吾は即座にやばいと感じた。
「もう許しません!今日は「代わり」じゃなくママとしての初めてのお仕置きだから、この前より少し厳しめにして1回のチュー忘れにつき10回の計50回お尻ペンペンしようかと思ったけど・・・全然反省の色が見えないから、さらにうーんと厳しくしてその倍の100回にするわ!!」
「いー!!!そんなぁ・・・。」
「大吾が悪いんでしょ!ママはこんなに大吾のことを思っているのに、それを裏切るようなこと言って!」
「でも・・・。」
「言い訳は聞きません!ママの愛のムチ、たっぷりと思い知りなさい!!」
セレンは今まで発したことのない怒声を上げながら、右手を振り上げる。
「ひぃー!ママ、ごめんなさーい。許してぇー!」
大吾はそう叫んで許しを求めながら、手足をバタバタさせて必死にもがくが、セレンの男顔負けの力によりがっちりと膝の上に固定され、非力な小学4年生ではなす術もなく、もはや小さなお尻をセレンの強力な平手打ちの的として差出すしかなかった。
バッチーン!バッシーン!バッチィィーン!バッシィィーン!ヴァッチィィィーン!
「びええぇぇぇーーーん!!!」
数分間、いや、大吾にとっては何時間にも感じただろう。きっかり100回の乾いた音がセレンの部屋に大きく響き渡り、それに負けないくらいの大吾の泣き叫び声もまた響き続けた。そして、音からもわかるようにセレンのお尻ペンペンの威力は前回と比べてより凄まじいものになっていた。
お仕置きが終わった直後、大吾は泣き疲れたのかセレンの膝の上で手足を微動だにせずにぐったりとし、散々叩かれたお尻は、どう表現していいかわからないくらいの赤色に腫れあがり、そのお尻だけが唯一ピクピクと波打つように動いていた。
しかしながら、セレンからの大吾のママとして実質初めてのお尻ペンペンのお仕置き、いわゆる愛の「ムチ」は確かに超強力であったが、その後に大吾に与えられた「アメ」はそれを遥かに凌駕するものであった。
お仕置きされる体勢のままお尻を冷やされること1時間、お尻なでなで1時間、その後には薬が優しく丁寧に塗られた。
また、食事のときも椅子の上に羽毛のクッションが置かれ、大吾はその椅子に座るだけで、ただ好きな時に口をあければ、食べ物や飲み物をセレンが食べさせてくれた。しかもその日の食卓は大吾の大好物のハンバーグとナポリタンが並べられた。
さらに、お風呂もセレンと一緒に入り、柔らかいスポンジで痛むお尻を優しく洗ってもらい、再度薬を塗り直された後、お尻をなでてもらいながら添い寝をしてもらうという正に至れり尽せりであった。まあしかし、これらはセレンの「少しやりすぎちゃったかな」という反省を込めた行動でもあったのだが・・・。
こうして添い寝をしてもらいながら大吾は、
(毎日は嫌だけど・・・月1回だったらお仕置きされてもいいかも・・・)
と思いながら、お尻が痛いのを忘れているような穏やかな表情で気持ちよく眠りについたのだった。
それからは、今回ほど厳しくはないものの毎月1回のペースでセレンから大吾へのお尻ペンペンのお仕置きは続けられた。そして、その度に与えられるあまりの「アメ」の強力さに天国にいる大吾の母親が嫉妬したとかしないとか・・・。