ペンペン会B(22ndペンペン会:ゲーム勝負編)
梅雨も明け、いよいよ夏本番を迎えたある7月の土曜日の午後。
涼平は友人の武彦の部屋にいた。
午前中に一人で外出し、ファーストフード店で軽い昼食をすませたあと、ふとした思い付きで友人の武彦の家へ遊びに来た。しかしながら、事前に連絡していたわけではないこともあり、武彦は朝早くから父親と共に遊園地に出かけていた。一人で留守番をしていた武彦の母親である久子の話によると、夜も父親の実家に泊まり、帰りは明日の夕方くらいになりそうとのことであった。
それを聞いて少しがっかりした表情をして帰ろうとする涼平に対し、
「涼平くん、よかったら家で少し休んでいかない?おばさんも正直退屈してたから、話し相手がほしかったところなのよ。」
「えっ?でも・・・。」
「さあさあ、遠慮しないで家にあがって。」
こうして涼平は、半ば強引に家の中へと引きずり込まれてしまったのであった。
「おまたせ、涼平くん。」
しばらくして、久子が部屋に入ってきた。
片手には折りたたみ式の小さなテーブル、もう片方の手には冷たいジュースの入ったグラスが2つとお菓子がのせられているお盆を持ち、武彦のベッドの上にちょこんと腰掛けていた涼平を見てにっこりと笑う。
早速、久子はそのテーブルの上に持ってきたジュースとお菓子を並べると、涼平はベッドの上に腰掛けた状態のまま「いただきます」と言ってお菓子を食べだした。そして久子は、武彦の椅子に座って同じようにお菓子を食べながら涼平と楽しく話を始めた。
もう夏ということもあり、涼平はグリーン系の半袖Tシャツにグレーの半ズボンの子供らしい元気のよさが表立っている格好であり、一方、久子はいつもと変わらない長い茶髪をなびかせ、純白のブラウスにデニムのホットパンツ、それにカーキー色のエプロンをしている。胸元からははちきれんばかりの胸の谷間、それにほとんど露になっている太ももは、まだ小学5年生の涼平でさえもドキドキさせてしまうほどであり、とても30代後半には見えない魅力的な女性である。
そしてしばらくの間、久子と涼平が談笑していると、久子の方からふとある話題へと話が及ぶ。
「ねえ、涼平くん。こうしておばさんと2人になるのは約1ヶ月ぶりかしらね。」
「え?あ、そ・・そうだっけ。もうそんな前になっちゃうんだ・・・。」
久子のこの言葉にさっきまで笑顔だった涼平の表情が急に真顔になる。そして、涼平の手は自然と自分の体のある部分をさする。
「でさ、そこで相談なんだけど・・・やらない?」
「い!や、やるって・・・何を?」
涼平はおそるおそる久子に尋ねる。しかし、涼平は久子が何を考えているのかはすでに想像できていた。
「もう、わかってるくせに!「ペンペン会」よ。」
「・・・・!」
ペンペン会・・・もう説明はいらないかもしれないが、久子が子供の頃から持ち続けていた「お尻ペンペンのお仕置き」をされたいという願望を、ひょんなことから涼平だけに知られてしまい、涼平とそのことについて色々と話をしていく中で思いついたのが「ペンペン会」である。それは、お仕置きという名目でお互いのお尻を叩き叩かれる会であり、久子もそうであったが、涼平もまた両親からお尻ペンペンはおろか叱られたことがほとんどなく、今もまた父親は多忙で平日はおろか休日も家にいることが少ないし、母親に至っては海外転勤中で年に数える程しか会えない状態である。そして、そんな境遇の涼平に対して久子は、
「子供は悪いことしたら叱られなきゃだめ。涼平くんだって今まで少なからず悪い子になったことがあるでしょ?だから、涼平くんにもその反省したいときにできる環境をこの機会につくってあげたいのよ。」
と言うような感じでかなり強引に涼平を説得し、納得?させて「ペンペン会」を承諾させたのだった。それが昨年の5月のことである。
それから約1年と2ヶ月がたち、その「ペンペン会」も延べ21回も行なわれ、おおよそ月1〜2回という計算となる。ちなみに、この春休みとGWにおいてはそれぞれ2回ずつと超ハイペースで行われ、始業式や休み明けの登校日の教室にはまわりに気付かれないようにお尻に残っている痛みに健気に耐える涼平の姿があった。毎月そして休みの期間に恒例と化した久子からの「ペンペン会」の誘いの電話やメールに対し、人のいい涼平はよほどの用事がない限り了承し、当日は子供なりに気合を入れて挑むのであるが、最終的には久子の膝の上で裸のお尻が真っ赤に腫れあがるほど厳しく叩かれて、久子に甘えるようにすすり泣いてしまうのが通常パターンとなっている。また、久子は涼平をお仕置きする前に涼平から近況を聞き出し、その内容からお仕置き理由を洗い出すことで、
より感情を込めて涼平にお尻ペンペンのお仕置きをするように心掛けている。
普通であればお仕置きするに至らない事項であったとしても、あるときは母親、またあるときは学校の先生、そのまたあるときはそのまま友人の母親としてその都度、お仕置きすべき人物になりかわり、厳しい叱責をはさみながら心を込めて力一杯お仕置きをするのである。
ちなみに涼平が久子のお尻を叩く場合はそのようなシチュエーションを整えることはほとんどない。それは、非力な涼平が久子の大きなお尻を叩くだけで精一杯であり、余裕がひとかけらもないためである。
そんな涼平は、毎度「ペンペン会」が終わるたびに痛むお尻をなでながら少し後悔をするのであるが、お仕置き後に久子に抱きしめられるときの温もりや優しい言葉が、普段は一人で生活していることが多い涼平にとって、激しい痛みは伴うものの一時の安らぎの場ともなる「ペンペン会」についつい満足もしてしまうのであった。そして今、久子はその「ペンペン会」の誘いをいきなり涼平に突きつける。
「今日は・・・ダメ。」
「えー!どうしてぇー。」
「だって・・・いきなりで全然心の準備ができてないし・・・。」
涼平はモジモジしながらそう答えると、
「・・・・そっか。そうよね、いつもは前日までに連絡してるからねぇ。無理もないか。」
「・・・・ごめんなさい。」
「あ、そんな・・・涼平くんは全然悪くないから気にしなくていいのよ!前回から間隔が大分あいたもんだからつい言ってみただけよ。」
「・・・・。」
「はいはい、今日はその話はなし。だから今日はおばさんと楽しく遊びましょ!」
「うん!」
涼平は再び笑顔になって元気よく返事をした。
「よし!じゃあねぇ・・・これ、やってみない?」
そう言って久子はテレビの方を指差す。
「え?これって、テレビゲーム?」
「そう。これ、すごく人気あるみたいね。武彦も夢中になってやってるわ。」
「うん、知ってる。僕も同じの持ってるし。」
「私もたまにやらせてもらってるんだけど、格闘ゲームってすごく面白いわね。相手を殴る蹴るなんて普段なかなかできないから、スカッとするわ。」
久子の言葉に涼平もコクコクとうなずく。
「というわけで、涼平くん。私と勝負しましょう。」
「!?」
涼平は思いがけない久子の言葉に驚く。
「勝負・・・?」
「なにその顔は?さてはおばさんじゃ相手にならないと思ってるんでしょ?ウフフ、こうみえても武彦にはちょくちょく勝っているんだから。」
「えー!本当?武彦くん、かなり強いはずだけど・・・。」
「本当よ。だから遠慮や手加減なんかいらないわよー。」
やる気満々の久子。そして、
「・・・いいよ。でも僕負けないからね。」
「そうこなくっちゃ!じゃあ早速勝負よ。先に2勝した方が勝ちだからね!」
「うん!」
「でも、ただ普通に勝負じゃつまらないから・・・商品でもつけよっか。」
「商品?」
「この前お中元で大きなメロンを2個頂いたのよ。1個は昨日パパと武彦で半分こずつ食べちゃったけど、もう1個は冷蔵庫に冷やしてあるから・・・それにしましょう。」
「え?ということは勝ったら1個丸々。」
「イエース!独り占めってわけね。」
「わぁー。メロンなんて久しぶりだなぁ・・・。」
「こらこら、もう勝った気になってるの?おばさんを甘く見ると痛い目にあうわよ。」
「それじゃ、お手並み拝見ということで・・・。」
「言ったわね!終わった後、ポカーンとするくらい驚かしてやるんだから!」
こうして、武彦のいない武彦の部屋で二人の熱い戦い(ゲーム)が始まった。
ドカ、バキ!ベキ!!ドカーン!!!
RYOUHEI WIN!
3分もしないうちに勝負がついた。あまりの速さでの出来事にポカーンと口を開ける久子。そしてさらにぼう然とする涼平。
(よ、よ、弱い・・・弱すぎる・・・)
しばし部屋は静まった空気に包まれるが、久子はすぐさま我に返る。
「あっちゃー、負けちゃったわねー。いやー強いわ涼平くん。武彦とは大違いね。」
そう久子は笑顔で涼平をほめるが、悔しさからか顔が引きつっている。
「え、あ、うん。でも、久子おばさんも強かったよ。」
涼平は状況を察知して久子をフォローする言葉を掛けるが、久子はそれを聞くや否や椅子から立ち上がり、スタスタと部屋を出て行った。
「・・・・。」
一人きりになり無言の涼平。しかしすぐさま部屋のドアが開き、
「どうぞ、召し上がれ。」
久子は平静を装いながら、二つに切った大きなメロンをのせたお皿とスプーンを涼平に差し出した。
「・・・いただきます。」
涼平は久子の顔色を気にしながらも、スプーンを手に取ってメロンを食べ出した。
「どう、美味しい?」
「う、うん。あ、甘くて美味しい・・・。」
「そう、よかったわね。」
言葉は優しいが、いつのまにかすっかり笑顔が消えている久子。本人は気付いていないが、もうその表情には悔しさがありありとにじみ出ていた。
そんな雰囲気の中、涼平はメロンをほとんど味わうことなく流し込むように食べ終わるのだった。
「・・・ごちそうさまでした。」
涼平は一言そう言うと、その場にスクッと立ち上がろうとした。すると、
「あれ、どこへいくの涼平くん?」
「え、いや、そろそろ帰ろうかなぁ・・・と。」
「なに言ってるの、まだ3時を過ぎたばっかりじゃない。何か用事でもあるの?」
「別に・・・用事はないけど・・・。」
「なら、おばさんともう少しゲームしましょうよ。まだ1回しかやってないじゃない。」
「・・・・。」
「おばさん、さっきは力を全然発揮できなかったから・・・今度は負けないわよ。だから、ねっ!」
恐らく心では笑っていないであろう満面の笑みで涼平にそう言うと、
「うん・・・。」
涼平はただうなずくしかなかった。
「よーし!勝負勝負!今度は負けない今度は負けない!」
久子は自分に言い聞かせるような言葉を連呼し、再びコントローラを握り体勢を整えると、涼平もまたベッドの上に再び座ってコントローラを持つ。
そして勝負が再開される。
バシ、ドカ!バキ!!チュドーン!!!
それから約1時間半が過ぎた。
「RYOUHEI WIN!」
その間、これ以外の勝者を示す言葉が画面に映ることはなかった。
最初の勝負も含めて脅威の69連敗・・・。久子はどうしても涼平に勝てない。
涼平は勝負の途中で察していた。武彦はわざと久子に負けていた・・・と。武彦は久子の負けず嫌いの性格を周知し、3回もしくは4回に1回感づかれないように接戦を装って負けていたのである。久子は「ペンペン会」でもそうであるように遠慮や手加減をするのもされるのも大嫌いであり、涼平に対しても何事も全力でやれとお尻ペンペンを通して体に教え込んでいる。だからこそ、涼平はここまでボロ勝ちしても手加減は一切しないのであった。
「涼平くん・・・あと1回、あと1回だけ・・・。」
「久子おばさん・・・もうそろそろ5時になるからそろそろ・・・。」
「まだ外は明るいじゃない。だからお願い、涼平くん。今度はまたごほうびもつけるから。」
「ごほうび?」
「今度おばさんに勝ったら・・・涼平くんの言う事をひとつだけ聞いて上げる。もちろん、おばさんのできる範囲内だけどね。でも基本的には何でもしてあげるつもりよ。あ、でもおばさんが勝った場合は特に何もしないからね。これだけ付き合ってもらっただけで十分満足だから・・・。ねっ!いいでしょ?」
久子は少し疲れきったような笑顔で涼平にそうお願いすると、
「うん・・・いいよ。」
「よーし、今度こそ!」
涼平が複雑な表情を浮かべながらも了解すると、久子は再度気合を入れ直し、最終勝負に挑むのだった。そして・・・
ドッカーン!!!!
・・・RYOUHEI WIN!
その瞬間、コントローラーを床に落としガックリと椅子に座ったままうなだれる久子。所詮、この大きな力の差は数時間で詰まるはずもなかった。
「あ、あの・・・久子おばさん・・・。」
そんな久子の姿を見て、涼平は少し怖がりながら声を掛ける。すると、久子が顔を上げ、
「ありがとう、涼平くん。」
「えっ?」
「ただのゲームとはいえ、手加減せずにちゃんと勝負してくれたね。おばさん凄く悔しいけど、とても満足してるから。」
「・・・・。」
「それにしても武彦のやつ・・・あの子ずっとママに手加減してたのね。明日、帰ってきたら懲らしめてやるわ。」
久子はそう言って両手の指の骨をポキポキと鳴らす。
「え、えーと・・・あまり武彦くんを叱らないでほしいんだけど。」
「大丈夫よ、優しいわね涼平くんは・・・ほんの一時間ほどお説教するだけにしとくから。ウフフ。」
「あ、あははは・・・。」
(武彦くん・・・ごめん・・・)
久子に対して愛想笑いをしながら心の中で武彦に謝る涼平。
「さてと。最後も負けちゃったから、涼平くんの言う事をひとつ聞かないとね。」
「あっ!」
「さあ、おばさんに何をしてほしいかなー?何でもいいわよ。例えば耳掃除とか、マッサージとか、はたまた武彦には内緒になるけどおもちゃを買ってほしいとか、ね。こんな機会ほとんどないでしょうからじっくり考えていいからね。」
「うん・・・。」
久子の言葉に涼平は返事をすると、ベッドの上に腰掛けた状態で下を向き、腕を組みながら色々考えようとする。しかし、涼平の頭の中にはどうしてもひとつの事しか思い浮かばなかった。お願いを聞いてもらえるのになぜか少し暗い顔をしている涼平。そして考えた末、ついに決断する。
(・・・よし!)
涼平は立ち上がり、数歩歩いて椅子に座っている久子の右側にピタッと立ち止まる。
「涼平くん?」
久子は不思議そうに涼平を見つめると、突然・・・
「えい!」
ドサッ
「えっ!!」
久子は思わず声をあげる。久子の膝の上に涼平がまるでプールにでも飛び込むかのようにうつ伏せに体を預けてきた。そのとき涼平の足は床から離れ、少しバランスを崩して落ちそうになりかけたが、久子が即座に左手で涼平の背中を抱えるように押さえ、体勢を整える。すると、涼平のお腹のあたりには久子のエプロンだけに覆われた太ももの温もりが伝わっており、涼平を心地よい気分にさせる。そして、久子が少し落ち着くのを待って涼平が口を開く。
「ペンペン会・・・しよう。」
「・・・・!!」
久子は涼平から全く想定していなかった言葉を聞き、驚きを隠せないでいた。
「だって久子おばさん言ってたじゃない。今日、ペンペン会したいって。」
「え?でも・・・それは今日のところはやめようって・・・。」
「今日は久子おばさんにいっぱい遊んでもらって楽しかった。でも久子おばさんはゲームに負けてばっかりで悲しそうな顔してたから、多分そんなに楽しくなかったんじゃないかなって・・・だから、最後は久子おばさんからのお願いを聞こうかなと思って・・・。」
「涼平くん・・・。」
「僕、心の準備はできてるよ。僕のしたいことは久子おばさんのしたいこと・・・なんちゃって。」
「・・・・。」
涼平の言葉に久子は思わず絶句する。
(だめよ久子!こんないい子に絶対お仕置きなんかしちゃいけないわ!)
しばらく久子の心の中でこんな葛藤が繰り広げられる。そしてその間、すでに覚悟を決めて久子の膝の上でうつ伏せのままじっと待っている涼平。だがしかし、大方の予想どおりそんな葛藤は久子が持つ強固な願望により、すぐさま消えてしまうのであった。
ズルッ
「いっ!」
久子は予告なしに涼平の半ズボンに手を掛けると、そのまま勢いよく白ブリーフと一緒に膝上あたりまで引き下ろす。すると、むき出しになった小さなお尻に部屋のエアコンの冷風が当たり、涼平は思わずぶるっと体を震えさせる。もう何度も経験していることもあり、恐怖で震えることは少なくなったもののお仕置きの痛みには慣れたわけではないので恐怖自体はずっと持ち続け、胸の高鳴りはだんだんと大きくなっている。久子はそんな涼平のお尻をしばらく優しくなで続ける。これも毎回必ず久子が行なう事であり、涼平だけでなく自分自身も落ち着かせるためのものである。そして、久子はお尻をなでる手を止めると涼平に向かってこう言い放つ。
「涼平!」
「・・・・!」
突然の怒声に対し、思わず体をビクッとさせる涼平。
「あれだけ女の子をいじめちゃダメだって言ったのに・・・この前反省したって言ったのは嘘だったのね!」
「へ?」
「懲りもせず今日もまたこんなか弱い女の子をいじめて・・・あの時のお仕置きじゃ全然足りなかったのかしら!」
(ん?か弱い女の子って・・・誰?)
「どうなの?黙ってないで何か言いなさい!」
度重なる久子の叱責のさなか、涼平はじっと考えていると突然、頭の中でピーンときた。
「ウプププ・・・。」
何がわかったのか突然口を押さえて笑い出す涼平。そう、か弱い女の子の正体はまさに久子そのものであり、それがわかった途端、涼平は笑いを堪えることができなかったのである。
「こら!この状況で何笑っているの!全然、反省してないようね・・・わかったわ、今日は回数の制限はしません!涼平がきちんと反省するまでたっぷりお尻ペンペンして、うーんとうーんと懲らしめてあげます!覚悟しなさい!!」
「わー、ごめんなさーい!笑ってません!反省します・・・反省するからぁ!」
久子はそう厳しく叱りつけると、あわてる涼平の弁解を聞くこともなく、涼平のお尻にのせていた右手をゆっくりと振り上げた。そして、間髪いれず・・・
バッシィィィィン!
「・・・っ!!」
涼平のお尻に久子の平手が勢いよく落ちる。これまでと同じ、いやそれ以上の痛さが涼平のお尻を襲う。
バシッ!バチッ!バシン!ビシッ!バシン!
ベシン!バチン!ビシッ!バシーン!
「・・・あっ、・・・うっ、・・・つっ、・・・ひいっ、・・・うっ。」
涼平に痛がる間をあげずに力強くお尻を叩き続ける久子。涼平は叩かれるたび体をエビのように反りあげ、足をバタバタさせる。
「こら、何暴れてるの!お仕置きはまだ始まったばかりよ!」
しかし、久子は冷静に涼平を左手でしっかりと押さえつけ、さらに右手を振り上げる。
バシッ!ビシッ!バチィ!ベシッ!バシン!
バシィ!バチッ!バシッ!バチン!バシーン!
「・・・びいっ、・・・ううっ、・・・いっ、・・・ぶひっ・・・ぎひっ。」
「全く、本当にしょうがない子なんだから!」
涼平は久子の叱責を浴びながら、何度もお尻に落ちてくる痛みに必死に耐える。一方、久子はそんな涼平の様子を厳しい目で見ながら、き然とした態度でお仕置きをしている。
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチン!
バシッ!バシン!バチッ!バチン!バシン!
バシッ!バシン!バシィ!バチッ!バシーン!
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチーン!
「・・・ぴいっ、・・・びいい、・・・ううっ、・・・うぇぇーん!!」
ここでとうとう涼平が大声で泣き出した。最初の頃は涼平の泣き声に一瞬お仕置きを躊躇したことが度々あった久子であったが、
「泣くぐらいだったらどうしてこんな事したの!まだまだ許しませんよ!!」
今ではこんな手厳しい言葉で叱りながら、全く力を緩めることなく涼平のお尻を叩くようになっていた。そしてこの時点でお尻はかわいそうなくらい真っ赤に腫れあがっており、仮に誰かがこのお尻を見た場合、子供のお仕置きとしてはもう十分すぎるのではないかと思わせるほどのものであった。しかし、久子はそれでも涼平へのお仕置きをここでやめるつもりは毛頭ない。
バシッ!バシン!バシィ!バチッ!バシーン!
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチーン!
「びえぇーん!もう許してぇー!!」
ここで涼平は痛みに耐えきれずに右手でお尻をかばおうとする。すると久子はそのかばおうとする手を左手でつかみ、涼平の背中と一緒に押さえつけ戒める。
「涼平!きちんとお仕置きを受けなさいって言ってるでしょ!そういう子はこうです!!」
久子は今日一番の怒声をあげると、手のひらをおもむろに広げて大きく振り上げる。
バシーン!バチーン!バシーン!バチーン!バッシーン!
バチーン!ベチーン!バチーン!ベシーン!バッチーン!
バシーン!バチーン!ベチーン!べシーン!べッチーン!
バチーン!ベシーン!バシーン!ベチーン!バッチーン!
「ひぃぃぃーっ!うえぇぇぇーん!びえぇぇぇーん!ごめんなさーい!!」
とびきり強烈な平手打ちの連打が容赦なく涼平のお尻に炸裂すると、涼平は声にならない声をあげ、部屋が壊れるくらいの大声で泣き叫んだ。そしてその大きな泣き声の中、久子は急に手を止めると涼平の火照っているお尻にそっと手を置いた。
「涼平!」
久子は呼びかける。しかし、涼平はまだ大声で泣き叫んでいる。すると、
バシィーン!
「ひいっ!!」
「聞きなさい、涼平!」
ここで久子は再び1回涼平のお尻を叩くと涼平は痛みと驚きでピタリと泣き止んだ。そして涼平が落ち着くのをしばらく待ってから、久子は涼平に話しかける。
「きちんと反省できた?」
「え?」
「きちんと反省できたかって聞いてるの!」
バチィーン!バシィーン!
「ぎぇぇー!」
久子は声を荒げ、さらに涼平のお尻を叩く。突然の衝撃に再び声をあげる涼平。
「もう一度聞くわ。きちんと反省できた?」
「・・・うん。」
「聞こえないわ!」
バチィーン!バシィーン!
またさらに涼平のお尻に久子の右手が飛ぶ。
「びぇぇー!反省しました!すごく反省しました!!」
「本当かしら?」
久子の聞き直しに涼平はまるで鳩みたいにコクコクとうなずく。
「そう。それだったら許してあげようかな。」
久子のこの一言により、涼平の顔に安堵の表情が浮かぶ。ところが、
「・・・あと5回でね。」
「・・・・!!」
久子がさらにこういい加えると、涼平の顔が一転して青ざめる。そしてすぐさま、
バシィーン!バチィーン!バシィィーン!バチィィーン!バッチィィーンッ!
「うぎぃぃぃぃーーっ!!!」
最後に油断していた涼平のお尻に超強力なお尻ペンペンが与えられ、涼平の口とお尻から大きな声と音が飛び出した。そして久子は、最後の一発を涼平のお尻に叩き込むとすぐに涼平を抱き上げる。
「涼平くん。よくがんばったねー。よしよし、いい子いい子。」
久子は涼平をギュッと抱きしめる。久子の顔はいつもの優しい表情に戻っていた。
「うわーん!。久子おばさーん!ごめんなさい、ごめんなさーい!!」
涼平は久子の大きな胸に顔をうずめながら泣き叫んだ。そんな涼平を久子は膝の上に抱きながら、風が当たっても痛そうなくらい真っ赤に腫れあがったお尻をしばらくの間、優しくなでた。
ちなみに今日、涼平が久子にお尻を叩かれた回数は奇しくも久子がゲームに負けた回数と同じ(70回)であった。
あれから約1時間、午後6時をすでに過ぎていた。
先ほどまでは久子の叱責に加え、お尻を叩く音と涼平の泣き叫び声が飛び交っていた武彦の部屋から二人の声が聞こえてくる。
「今日はまた一段と真っ赤っ赤になっちゃったね、お尻。」
「もー。だって久子おばさん、あんなに厳しく叩くんだもん。それにいつもより怖かったし・・・。」
「・・・ごめんね。でも、可愛い涼平くんにああ言われたら、おばさんもう嬉しくなっちゃって・・・いつも以上に力が入っちゃったわ。」
こんな会話をしている久子と涼平であったが、その二人の姿はなんとも滑稽であった。椅子に座る久子の膝の上に涼平がお尻を出してうつぶせになっている。まさに、1時間前と同じ体勢であるが、さっきと異なるのは久子が涼平のお尻を優しくなで続けていること。その前には、久子は涼平のお尻を氷水で濡らしたタオルでしばらく冷やした後、お尻に薬を塗ってあげた。そんな感じで、お尻をなでられている涼平は気持ちよさそうな顔をしながら久子と楽しそうに話をしている。
「あっ。もうこんな時間。夕飯の準備をしなくちゃ。」
「本当だ。外も暗くなってきてる。」
「じゃあ、そろそろいいかな。涼平くん、パンツはける?」
「え、うん・・なんとかはけ・・・イタタタ!」
涼平はぎこちない姿で下着をはこうとするが、当然ながらお尻はまだ腫れているのでなかなかうまくはけない。
「あらあら、まだちょっと早かったかな?ウフフフ。」
「へへへへ。」
また二人で笑いだす。
「ねえ、涼平くん。よかったら今日は泊まっていかない?」
久子は思いついたかのようにたずねる。
「えっ。いいの?」
「いいのいいの。今日はどうせ私一人なんだし。それに涼平くんのパパだって今日は仕事で帰ってこないんでしょ?」
「うん、そうだけど・・・。」
「なら決まり!着替えは少し大きいけどうちの武彦のを使ってね。明日までにはちゃんと洗濯しておくから。」
「うん!」
涼平は嬉しそうに微笑む。すると、その微笑んだ涼平をまじまじと久子が見つめる。
「涼平くんって、本当にかわいいわね。武彦もかわいいけど、涼平くんも私の子供だったらどんなに よかっただろうなぁ・・・。」
久子はしみじみと語る。それを聞いて照れる涼平。
「涼平くんが私の子供だったら・・・毎日思いっきりかわいがってあげるのになぁ。それに・・・。」
「それに?」
「それに・・・毎日思いっきりお尻ペンペンしてあげるのにねぇ・・・。」
「えっ!!」
一瞬青ざめる涼平。思わず両手でお尻を押さえる。
「いやねえ、冗談よ、冗談。プププ。」
久子はそんな涼平の姿を見て思わずふきだす。
「・・・・久子おばさんの子じゃなくてよかった。」
「涼平くん!今、何か言った?」
「ううん、なんでもありませーん。」
涼平はとぼけてそう答える。
「それじゃ、夕飯はオムライスにしようかな。」
「わーい。オムライス大好きー。」
「あらあら、そんなに喜んでくれると嬉しいわ。あ、そうそう、涼平くん。今日明日はおばさんに何でも命令していいからね。」
「へ?」
「まだお尻が痛いでしょうから、家中だったらどこでも抱っこして連れてってあげる。それに、寝る前にはもう一度お尻を冷やしてお薬を塗り直さないといけないしね。あと、寝るときはおばさんが側にいて涼平くんがぐっすり眠れるようにお尻なでなでしてあげるからね。」
「え、そんな!それじゃ久子おばさんに悪いし・・・。」
「いいのよ。これが本当の私にゲームに勝ったごほうびだから。」
「・・・エへへへ、そういうことか。でも、ちょっと恥ずかしいなぁ・・・。」
「そういうことよ。それに、涼平くんにはお尻の具合をできるだけよくして、明日の朝は頑張ってもらわないといけないしね。」
「明日の朝?僕が何をするの?」
「もう、とぼけて。今度は涼平くんがおばさんのお尻をペンペンするんでしょ!」
「・・・・!!」
涼平は思い出したかのようにハッとした表情を浮かべる。
「今日のお仕置きは「ペンペン会」なんだからね。忘れちゃダメよ。」
「でも・・・僕、お尻痛いし・・・。」
「だから今日じゃなく明日って言ってるの。そのために涼平くんに泊まってもらうんだから。」
「・・・・。」
「さあ、おばさん明日が楽しみで今日は眠れないかも・・・それじゃ、夕飯の支度するからそれまでこの部屋でお尻を安静にしてて待っててね。」
久子は笑顔でそう言うと、いそいそと部屋から出て台所へ向かった。
そんな久子の後姿を見て涼平は、
(あんなでっかいお尻、布団叩きで叩いても僕が負けちゃうかも・・・)
ふとこんなことを思いながら、深いため息をつくのであった。
涼平はもうすぐ夏休み。はたして今年の夏は何回、普通日焼けすることがないお尻をヒリヒリさせるのだろうか・・・。