ペンペン会E(30thペンペン会:10万円プレイヤーの悲劇編)
(うぅ・・・なんでいつもこうなるんだろう・・・)
1月3日快晴、涼平は親友である武彦の部屋にいた。
「・・・涼平!覚悟しなさい!!」
そこに一緒にいるのは武彦の母親の久子である。
白のセーターに白のロングスカート、さらには純白のエプロン。
意図的に合わせた訳ではないが、まさに雪の季節を感じさせるファッションといえよう。
そして部屋の中では、椅子に座っている久子とその膝の上にうつ伏せになってお尻丸出しになっている涼平の姿があった。脱がされたズボンとブリーフを膝のあたりに絡ませながら、少し足をバタバタさせている涼平を久子は自分の膝の上にしっかりと押さえつけている。
(・・・正月早々、ついてないよ・・・僕のバカバカバカー)
心の中で自分を責める涼平を尻目に久子は右手を振り上げた。
ここで話は昨日に戻る。1月2日くもり、帰省していた海外転勤中の涼平の母親が再び仕事のため海外に戻り、父親もまた急な仕事により会社に行ったため、いつもの独りぼっちの生活に戻った涼平。しかし、特に寂しそうな様子は見せず両親を笑顔で見送った。そしてその夜のこと、
「うわぁ、今年はいっぱいもらえたなぁー。」
涼平は自分の部屋で今日までもらったお年玉を数えていた。その金額はなんと9万円に達していた。両親が多忙のため、涼平の家に年始で訪れる客は例年少ないのであるが、今年は母親の帰省期間がはっきりしていたため、親戚がどっとやってきたことがその一因である。さらには、いつも涼平に寂しい思いをさせてすまないと思っていた父親と母親が両親名義のお年玉の他にお互い内緒でお年玉を涼平にあげていたのであった。
プルルルル♪プルルルル♪
すると、そんな喜びをかみしめている涼平の携帯から着信音が鳴った。
「誰からだろ?」
どうやらメールではないため、涼平は携帯を手にして着信ボタンを押す。
「もしもし。」
「はーい!涼平くん。」
「え?もしかして、久子おばさん?」
「ピンポーン!正解でーす。涼平くん、あけましておめでとー。」
「あ、あけましておめでとうございます・・・。」
「うんうん、いい挨拶でよろしい!」
「あ、あははは・・・。(久子おばさん、もしかしてお酒飲んでるのかな?)」
「じゃあ、早速用件だけ言うわね。明日、おばさんの家に来なさい!」
「へ?」
「「へ?」じゃないの。いい物あげるから来なさいって言ってるの!お正月に大人が子供にあげるものなんて決まっているでしょ?」
「あっ、それってもしかして・・・。」
「わかった?それじゃ、明日待ってるから、バイバーイ!」
「あ、ちょっと待ってよ久子おば・・・。」
ツーツーツー
涼平が返事をしようとした途端に電話がプツリと切れてしまった。しかし、
「久子おばさんが言ってたのって・・・多分、お年玉だよね。そういえば、去年も武彦くんの家に遊びに行った時に二人揃って貰ったっけ、へへへ。」
さらなる上積みが見込めるチャンスがやってきたと笑みを浮かべる涼平。この時点で何の疑いもなく明日の予定を決めてしまったのであった。
そして今、武彦の家に行って久子からお年玉をもらおうと考えていた涼平はなぜか久子の膝の上にいる。この体勢はもはや見慣れた光景だと言っていい・・・そう、「ペンペン会」だ。涼平が久子に、そして久子が涼平に理由はどうであれ、「お尻ペンペンのお仕置き」をする二人だけの秘密の会である。
涼平は久子の家に早々と訪れ、久子が温かく出迎えた。すると、武彦やその父親の姿がないのに気付く。涼平はハッとする。冬休み前に学校で武彦が言っていた言葉を思い出す。
「正月はみんなでパパのおばあちゃんの家に行くんだ。」
ああ、そうだと一人で納得する涼平。しかし、それならばなぜ久子がここにいるのか?更なる疑問に対し、何気なく久子に聞いてみると、
「昨日、中学校の同窓会だったのよね。だから、おばさんだけ先に帰ってきたの。武彦たちは明日の晩には帰ってくるけどね。」
ここで昨日、久子がハイテンションだった理由が解明する。おそらく同窓会から帰った後にお酒が残ったまま電話してきたのだろう。そして、だんだん涼平が冷静になる。久子と二人きり・・・この状況はかなりやばいと思うと同時に自分の軽率な行動に後悔するのだった。
しかし、そんな涼平を久子は武彦の部屋に案内する。そして、しばらくの間、涼平は久子とおしゃべりやTVゲームなどを楽しんでいた。だが、涼平の警戒心は笑顔をみせながらも緩むことはなかった。そして、
「はい、涼平くん。お・と・し・だ・ま。」
久子はエプロンのポケットからポチ袋を取り出して涼平に渡す。
「あ、ありがとう。」
涼平は少し緊張した面持ちでそれを受取る。
「今年も武彦と仲良くしてね。」
「は、はい。」
満面の笑顔を見せる久子に涼平はきちんと返事をすると、
「じゃあ、僕、これで・・・。」
そう言って部屋から出ようとした。このまま外に出られれば・・・と思いながらゆっくりと歩く涼平。しかし、
「涼平くーん。」
ビクッ
久子に呼び止められ、涼平の足は止まる。そして久子はその涼平の思惑を打ち砕く一言を放つのだった。
「あのね、おばさんも涼平くんからお年玉ほしいなー、なんてね。」
「・・・!!!」
もう逃げられない・・・涼平は覚悟を決めた。
そして、予想通り久子の望む「お年玉」とは「お金」ではなく「ペンペン会」であり、すでにお年玉をもらっている涼平に断ることはできなかった。そして、すぐさま今年初となる「ペンペン会」が行われた。さらに今年からお仕置きの回数が大台の百回と決められたこともあり、叩く側も叩かれる側も一層厳しいもの(特に涼平)となっている。
最初は久子へのお尻ペンペンであり、涼平は小さい手で久子の剥き出しの大きなお尻を必死で叩き続ける。久子のお尻を叩くのもこれでちょうど30回目。だんだんとコツも掴み、力も強くなってきた涼平の平手打ちはいつしかペチ、ペチ、ペチンからパァーン、バシッ、バシッと痛そうな音へと変化していった。しかしながら、体力はまだまだという感じであり、百回叩き終わった時にはもうヘトヘトの状態であった。だが、久子の方もお尻がかなり真っ赤に染め上げられ、目には涙を浮かべていた。痛みによる涙でもあり、涼平の成長を喜ぶ涙でもあった。久子は最初の「ペンペン会」で非力ながらも一生懸命お尻を叩いてくれた涼平の姿をふと思い出していた。
結局、久子のお尻の痛みが一段落するまで30分を要した。ついこの間までは10〜15分程度の休憩で涼平へのお尻ペンペンを始めたものだが、やはり「お尻百叩き」は相手が小学5年生でも少しきつかったと見える。涼平も久子のお尻を冷やすのを手伝いながら心配そうな表情をすると、久子は大丈夫だと笑顔でウインクした。そして、しばらくすると久子は態度を一変させ、
「さてと、今度はおばさんが冬休みでダラダラしてる怠けっ子をたっぷり懲らしめてあげる。さあ、いらっしゃい!」
久子はそっと椅子に腰掛け、涼平をじっと見つめながら叱責すると自分の膝の上を指差した。
バチィーン!バシィーン!ビシィーン!ベチィーン!バッチィーン!
「びぇぇぇーん!うぇぇぇーん!!ご、ごめんなしゃーい!!!」
「冬休みで宿題が少ないからって、いつまでも怠けちゃだめ!もうすぐ学校も始まるのよ!」
バッシーン!バチィーン!べシィーン!ビチィーン!バッシィーン!
「うぎぇぇぇーん!ぶぇぇぇーん!!も、もうゆ、許ちてぇー!!!」
「いいこと?今日からちゃんと勉強して、いつものいい子の涼平でいるのよ。わかった?」
バッチィーン!バッシィーン!ビッシィーン!ベッチィーン!バッチィィーン!
「うぇぇぇーん!!びぇぇぇーん!!ふぁ、ふぁ、ふぁい・・・っ。」
「返事が小さいっ!」
バッシィーン!バッチィーン!べッシィーン!ビッチィーン!バッシィィーン!
「ふぁ、ふぁ、ふぁいっ!!!びえぇぇぇーーん!!!」
初体験のお尻百叩き。時には無言で時には叱りつけながら力強く涼平のお尻を叩く久子。椅子に座る久子のお尻はまだ多少痛いはずであるが、涼平の体重により負担がかかっているのにもかかわらず、何事も無かったような態度でお仕置きを続けている。
涼平は途中までじっと耐えてきたが、お仕置きの半分が過ぎた辺りで堪えきれずに大声で泣き出した。お尻はみるみる赤くなり腫れ上がっていく。それでも久子はもちろん手を休めない。涼平の泣き叫び声が少しずつかすれていき、それとは反比例するかの如くお尻を叩く音はだんだんと大きくなっていった。
ヴァッチィィーン!
そして、そんな厳しすぎると言っていいお尻ペンペンのお仕置きも、百回目の久子の平手打ちが涼平のお尻に炸裂したところで久子はピタリと手を止めた。
「うわぁぁぁーん、あぁぁーん、あぁぁぁぁーん!!」
もう叩かれない・・・そう察した涼平は一度かすれた声を振り絞り、さらに大きな声で泣いた。そして、その泣き声に反応して久子はすっかり真っ赤に腫れ上がった涼平のお尻を懸命に撫でてやった。
「こんなにいっぱい叩かれて痛かったでしょう?よく頑張ったね、ごめんね、涼平くんっ!!」
こう何度も叫びながら・・・。
それから2日後の1月5日腫れもとい晴れ。涼平は再び武彦の部屋にいた。
「さてと、これで終わり。涼平くんは?」
「こっちも終わったよ、武彦くん。」
「よーし、じゃあ答え合わせしよう。」
「うん!」
どうやら冬休みの宿題を武彦と一緒にやっているようだ。
「ハハハ、どうやらみんな同じ答えだね。」
「へへへ、これで宿題は全部終わりっと。でも計算ドリル5ページだから大した事ないけどね。」
「うん。だから僕、冬休みはほとんど勉強しなかったんだよね。」
「僕も。遊んでばかりいたよ、ハハッ。」
「でも・・・明日から学校だから僕、一昨日から少し勉強してるんだよね。漢字の書き取りとか・・・。」
「へえー、真面目だね涼平くん。でも僕も明日からはちゃんと毎日勉強しないとなぁ。塾もあるし。」
「そうそう、それがいいよ。久子おばさんに怒られる前にね。」
「え?涼平くん、何言って・・・。」
ガチャ
「おっ、ちゃんと勉強してるみたいね。よしよし。」
ここで部屋のドアを開けて、久子がお菓子を持って入ってきた。
「あ、ママ。ちょうど終ったから休憩したかったんだよ。早く早く。」
「はいはい、あわてないの。涼平くんもどんどん食べてね。」
「はーい、いただきまーす。」
そしてしばらく武彦母子と涼平の会話が続く。
「武彦。明日で冬休みも終わりなんだから、ちゃんと勉強しなくちゃだめよ。昨日まで遊びほうけてたんだから。」
「わかってるよ、うるさいなぁ。涼平くんの言うとおりになっちゃったよ。」
「え、それってどういう事かしら?」
「昨日まで怠けてたから、ママに怒られるってさっき涼平くんに言われたんだよ。」
「フフッ、それは当たり前よ。でも涼平くんは違うよね。一昨日からちゃんと勉強してるんだよね。」
「え!あ、う、うん。」
涼平は少し気まずそうに返事をする。
「あれ?どうしてママその事知ってるの?さっき僕だって聞いたばっかりなのに。」
「そんなことより本当に一生懸命勉強しなくちゃだめよ。いつまでもクラスや塾で一番のままでいられるなんて大間違い・・・。」
「あー、わー、わかったってば!と、ところでさ涼平くん、お年玉いくら貰った?」
「お年玉?」
「何よ、武彦。やぶから棒に。」
「僕さ、今年全部で5万円貰ったんだよね。すごいでしょ。」
「ふ、ふーん、そうなんだ武彦くん。すごいねえ。」
「あ、あれ?もっと驚くと思ったんだけどなあ、去年まで3万円ぐらいだからすっごく嬉しいんだけど・・・。」
「はいはい、わかったからそれは全部ママに預けなさい。ちゃんと貯金してあげるから。」
「えー、毎年貯金だなんてやだー、たまには使わせてくれても・・・。」
「だーめ!子供にはそんなにお金は必要ありません。」
「ふんだ・・・鬼ババ。」
「何か言った?」
「な、何でもありません。あ、ちょっとトイレいってくるね。」
そう言って武彦は急いで部屋を出ていった。
「全く、あの子ったら・・・。」
「ハハハハ。」
相変わらずの母子喧嘩に苦笑いする涼平。すると、
「ところで、どうなの?」
「へ?」
「涼平くんはいくらもらったの?」
今度は久子から質問される涼平。涼平は少し戸惑いながらも、
「・・・誰にも言わない?」
「ははーん、その口ぶりだと武彦より貰ってるみたいね。いいわ、武彦にも内緒にしてあげるから。で?」
「うん、えっとね・・・。」
「それじゃ、武彦くん。明日、学校でね。」
「うん、バイバイ涼平くん。」
夕方になり、涼平は家に帰ろうと武彦の部屋から出る。そして玄関先で、
「あれ、もう帰るの?」
久子が見送りにやってきた。
「うん、ごちそうさまでした。」
「はい、こちらこそ。それにしても悪かったわね。」
「え?」
「お年玉、武彦と同じくらい貰ったって言ってくれて。おかげで武彦を落ち込ませないですんだわ。」
「ハハハハ。」
「ところで・・・お尻、まだ痛い?」
「・・・少し、まだちょっと腫れてる。久子おばさんは?」
「とっくに全快。また近いうちに叩いてもらいたいくらい、フフフ。」
「と、と、当分叩くのも叩かれるのもいやだからねっ!」
自分のお尻を押さえながら激しく動揺する涼平を見て、久子はにっこりと笑う。
「じゃあまたね、10万円プレイヤーくん。」
「もー、その呼び方やめて!恥ずかしいから・・・。」
「ウフフフ、おばさんもその中の1万円分貢献してるんだから、しっかりと今年も頑張りなさい。勉強と運動、あとはもちろん・・・「ペンペン会」もね。いつでもおばさんのお尻とお膝の上は涼平くんを待ってるからね。」
「・・・・。」
今年で小学6年生になる和久井涼平11歳。この小さい体に与えられる「ペンペン会」での久子からの愛のお尻ペンペンは、もうしばらく終わりそうにない。