ペンペン会A(13thペンペン会:バレンタイン編)


立春が過ぎたものの、まだまだ春には程遠い2月の中旬。
辺りには少ないながらも雪が積もっているのが見受けられるある日の午後。
外には上下水色のウインドブレーカーを着て歩いている涼平の姿があった。
涼平は同じ小学校の同級生の女の子の家へと向かっている途中である。
しかし、その足取りは重く、目は下を向いていた。
(どうしよう・・・)
そう悩みながら歩いている涼平に、一人の女性が声を掛ける。
「あれ?涼平くんじゃない。」
「あ、久子おばさん・・・。こんにちは。」
それは涼平の同級生である武彦の母親の久子だった。セミロングの茶色に染めた髪をなびかせ、背が高く、スタイルも申し分がない綺麗な女性。ファッションはというと紫のタートルネックのシャツにグレーのスカート、その上に白のトレンチコートを着こなしている。またストッキングを履いている脚もスラッとしていて子供でも思わず見とれてしまうほどである。
「今日はどうしたの?その歩いている方向・・・まさか武彦のとこに遊びに行くつもりだったの?」
久子はたずねる。偶然にも武彦の家も同じ方角にあるからだ。
「え・・?あ、いや、今日は・・・違うんだけど。」
「そうなの?武彦は今日、パパと外出していていないから・・・それなら別によかったわね。」
「あ・・・そうなんだ・・・ははは・・。」
この心なしか元気のない涼平の受け答えに久子は不思議に思い、さらに問い掛ける。
「ねえ、それなら何でここにいるの?涼平くんのおうちは逆方向だし、何か他に用事でもあったのかな?」
「・・・えっ?・・・あの・・・えっと・・・。」
明らかに様子がおかしい涼平に久子は何かあると感じ取った。
「涼平くん。何か考え事してるでしょ?だって、顔に書いてあるんだもの。もしよかったら、おばさんに話してみない?隠さなくてもいいのよ。私と涼平くんの仲じゃないの。」
そんな優しい久子の言葉に対し、涼平は少し迷ったものの少しずつその訳を久子に話していく。
先日のバレンタインデーで女の子からチョコをもらった事。それをクラスの男子にからかわれた事。恥ずかしくなって女の子に「いらないよ!」と心無い言葉を言ってチョコを突き返した事。それにより、女の子を泣かせた事。そして今、その女の子の家に行って謝ろうかどうか迷っている事。
涼平の話を全て聞き終わった久子は、すぐさまこう言った。
「涼平くん。それはやっぱり謝った方がいいんじゃないかな。まわりにからかわれたからとはいえ、女の子を傷つけたのは良くない事だし。それに涼平くんは、その子のこと嫌いじゃないんでしょ?」
「・・・うん。」
コクリと大きくうなずく涼平。
「だったら、これから謝りに行きましょ。大丈夫、おばさんも近くまで行ってあげるから。」
「え・・・。でも・・・。」
「男の子でしょ?さあ、行きましょう。」
「・・・う、うん。」
半ば、強引ではあったが、涼平は久子と一緒にその女の子の家へと向かった。


しばらくして、その女の子の家の側にある大きな木の陰には久子の姿があった。どうやら涼平は、すでに家に入って女の子と話をしているようだ。
すると、ドアが開き、そこから笑顔の涼平が出て来た。そして、玄関から見送りにきた女の子に対し、
「バイバイ、またね。」
「うん。また学校でね、涼平くん。」
子供2人がお互い言葉を交わす姿を見て、久子は笑みを浮かべる。
そして、涼平の手にはこの前突き返してしまったチョコが今度はしっかりと握られていた。
「どうやら、仲直りしたようね。」
「うん。ありがとう、久子おばさん。」
「どういたしまして。ところで、せっかくだから家にきておやつでも食べていかない?それに、おばさんからも涼平くんに渡したいものがあるから。ねっ。」
「え・・。あ、うん。」
こうして、涼平と久子は並んで歩きながら、久子の家へと向かった。
ところが、なぜか涼平の表情は久子に会う前とほとんど変わらず元気のないままであった。どうやら、まだ何かを思いつめているらしく、隣でにこにこして歩いている久子とは対称的である。そうこうしているうちに、二人は久子の家に到着した。
「じゃあ入って、涼平くん。」
久子はそう言うと、家のドアを開けようとドアノブに手を掛ける。すると、
グイッ
久子は何かに引張られる感じがしたため、その場に立ち止まる。そして後ろを振り向くと自分の着ているコートの裾を握って立っている涼平がいた。
「どうしたの?」
久子は腰を屈め、自分の顔を涼平の顔に近づけてまじまじと見つめながら問い掛ける。
「えっと、あの・・・その・・・。」
すると、涼平はなぜかモジモジしてなかなか話そうとしない。
「・・・・?」
久子は黙って笑顔を見せながらも、そんな涼平の態度を不思議に思っていた。
そして、ようやく涼平が口を開く。
「今・・・おうちにおじさんも武彦くんもいないんだよね?」
「ええ、そうよ。あの2人は外出してて当分帰ってこないけど、それがどうしたの?」
「えーっと。あのね、久子おばさん・・・。」
「んー。何かなー?」
「これから・・・・ペンペン会・・・・しない?」
「・・・・!!」
小声ながらも思いもよらない涼平の言葉に、久子は驚きを隠せなかった。
「涼平くん。どうしたのかな?急にそんなこと言って・・・。」
「・・・・。」
久子がそう問いかけると、涼平は顔を紅潮させて恥ずかしそうにうつむく。
ペンペン会・・・それは久子と涼平だけが知る秘密の会。去年の5月、ひょんなことから涼平は久子が子供の頃の話を久子自身から聞き、その中で2人の兄が母親から何度も受けたお尻ペンペンのお仕置きの話が出たことがきっかけとなった。久子は末っ子であったため甘やかされていたのか、久子自身が親にお尻ペンペンのお仕置きはおろか、厳しく叱られることがほとんどなかった。そんな中で、久子は兄達がお仕置きされ、その後母親に泣きながらいつも以上に甘えるのを見て、子供心にうらやましさを感じていた。
(自分もお尻ペンペンのお仕置きをされてみたい・・・)
そんな思いを子供の頃からずっと持っていたことを涼平に告白し、涼平もまた、自分も両親が多忙でほとんど家にいないため、親に叱られたことがないことを久子に伝えた。
そんな二人の似た境遇から、久子が提案したのがこのペンペン会である。
お互いにお尻ペンペンのお仕置きをして、過去にした悪い事に対して反省をすることにより、よりすばらしい人間になるというのが久子が掲げるこの会の表向きの目的である。とはいえ、元は久子の切なる願望から一方的に提案され、涼平はその強引な流れに乗っかってしまった形でつくられた会ともいえるのだが・・・。
会の日程は全て久子により調整され、武彦のパパと武彦が家に長時間不在になる日、かつ、涼平に他ならぬ用事がない日をもくろんで実施される。お尻ペンペンされるのは久子→涼平の順番であり、回数も50回と決められている。また、お尻を叩くときは手加減は厳禁のため、最初は戸惑っていた涼平だが、会を重ねるごとに自分なりに精一杯の力を込めて久子のお尻を叩けるようになり、ついには、「久子おばさんを本気で泣かせる」という自分の中に目標を立てるようになった。しかしながら、所詮小学4年生で体格が学年平均を下回っている非力な涼平にとって、久子の大きなお尻は脅威であり、涼平の手がそのお尻に叩くたびに弾きとばされ、お尻自体は一面赤く染まるもののダメージはむしろ涼平の手の方がはるかに大きいのであった。
さらに、その後にはお返しとばかりに涼平は久子の膝の上でお尻を丸出しにされて容赦のない平手打ちが何度も何度も振り下ろされ、お尻が可愛そうになるほど真っ赤に腫れ上がり、わんわんと大泣きする展開が毎度繰り返されているのであった。
そして、これまでペンペン会は述べ12回行われ、およそ月1回のペースである。よって、涼平のお尻には計600回の久子からのお尻ペンペンが刻みこまれた計算となる。特に学校が夏休みの時には約2週間に1回のハイペースで行われており、その間涼平のお尻が休まる日はほとんどなかったという・・・。
そして今、そんなペンペン会をなんと涼平の方から久子にお願いしてきたのである。
「一体どういう風の吹きまわしなの。初めてよね?涼平くんの方から言ってくるなんてね。」
「・・・・。」
依然としてうつむいている涼平に対し、久子は涼平の頭を優しくなでる。
「もう、涼平くんたら。黙ってちゃ何もわからな・・・あ!」
久子は突然ハッとする。
(そうか。この子、もしかして・・・)
久子は涼平の今の心情を推定し、しばらく涼平の頭をなでながら、こう問い掛ける。
「涼平くんは、まだあの女の子を泣かしたことを気にしているんでしょ?」
「・・・・!!」
「女の子の家に行って、涼平くんは女の子に謝った。女の子は許してくれた。だけど・・・涼平くん自身、自分をまだ許せない。そうでしょ?」
「・・・・。」
「だから・・・涼平くんの方からおばさんにお仕置きしてほしいって言ったのよね?」
「・・・うん。」
涼平は久子に図星をつかれたのか、コクリと大きくうなずく。
「・・・・。」
「・・・・。」
しばらく二人無言になり、久子はずっと涼平の頭をなでている。
(フフフ。涼平くんはとても優しい子ね。うちの武彦も少しは見習ってほしいくらいだわ。こんないい子に、本当だったらお仕置きなんかいらないんだけど・・・)
心の中で久子はこんなことを思っていたが、当然、久子の答えは一つであった。
「いいわ、涼平くん。」
「え?」
「お望み通りやりましょ、ペンペン会。」
「え?あ、は、はい・・・。」
「何よ、そんなにかしこまっちゃって。いつもと同じ気持ちでいればいいんだから。ねっ。」
「・・・うん。」
久子の優しい言葉に涼平の顔から少し笑みがこぼれる。
「そうと決まれば早速、家に入りましょ。あ、そうそう、今回は先におばさんが涼平くんにお仕置きしてあげる。そもそも言ってきたのは涼平くんだしね。」
「・・・うん。」
「じゃ、行こっか!涼平くんの心のモヤモヤを吹き飛ばせるように、おばさん頑張るからね!」
久子は笑顔をふりまきながらそう言うと、右手で涼平の手を握り、そのまま家のドアを開ける。その自分の手を握る久子の手を見ながら涼平は、
(あぁ、これからまた、このあったかくてきれいな手で・・・いっぱいお尻ペンペンされるんだなぁ)
こんなことを思いながら久子と家の中へ入っていった。


バシッ!バシッ!バチン!バチン!バシィ!
久子と涼平が家に入ってから数分後、1階のつきあたりにある久子の部屋から連続して乾いた音が聞こえだす。部屋の中では、ソファーに座る久子の膝の上に、ズボンとパンツを下ろされてお尻がむき出しになっている涼平の姿があった。久子はコートを脱ぎ、水玉のエプロンをつけて涼平にお仕置きする支度を整え、顔の表情も先程とはうって変わり、これまでのペンペン会同様、険しい顔つきへと変貌している。そして、その膝の上にある涼平の小さなお尻めがけて、力強い平手打ちを休むことなく何度も振り下ろす。
「男の子が女の子を泣かすなんて・・・・とってもいけないことなんだからね!」
バシン!バチン!ビシッ!バシッ!バチーン!
「・・・いぎっ、・・・つっ、・・・ひいぃ、・・・うっ、・・・びぇっ。」
時折、叱責をいれながらお尻を叩く久子。あまりの痛みに涼平は悲鳴をあげる。今回は涼平の方からお仕置きを願い出たこともあり、力加減はこれまでとさほど変わらないものの、久子は涼平の反省したいという思いに応えるべく、いつも以上に気持ちを込めてお仕置きをする。
バシッ!バシン!バシィ!バチッ!バシーン!
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチーン!
「・・・あっ、・・・うっ、・・・っ、・・・ひっ・・・うっ。」
久子の厳しいお仕置きに、もがきながらも必死で耐える涼平。もうすでにお尻は真っ赤である。
「まったく、お尻を何回叩かれればいい子になるの?」
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチン!
バシッ!バシン!バチッ!バチン!バシン!
「女の子が受けた心の痛みはこんなものじゃないのよ!」
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチン!
バシッ!バシン!バチッ!バチン!バシン!
「・・・ひぎっ、・・・ひいっ、・・・っ、・・・ううう・・・うえぇぇーん!」
叩く回数が40回に達し、ついに涼平は泣き出した。しかし、泣き声を確認してからも久子はお尻を叩く力を緩める気配はない。
バシッ!バシン!バシィ!バチッ!バシーン!
ビシッ!バシッ!バシン!バシッ!バチーン!
「びえーん!ご、ごめんなさーい!!」
ここでちょうど50回叩かれ、良平は許しを求めて叫ぶ。ところが、いつものペンペン会ならこれでお仕置きは終わるのだが、久子はさらに手を振り上げ、
「今日の涼平は特別悪い子だったから、まだまだ許しません!もう10回お尻を叩いてうんと懲らしめますからね。」
あまりに残酷な久子の言葉。強烈なお尻の痛みのため、これまでの久子の叱責にはほとんど耳を傾けられなかったが、「もう10回」との言葉には敏感に反応し、思わず「え?そんな!」と言いたくなったその時・・・
バシーン!バチーン!バシーン!バチーン!バッチーン!
バシィーン!バチィーン!バシィィーン!バチィィーン!バッチィィーンッ!
非情にもこれまでにないだろうと思わせる超強力な10連打が、もうすでにドス赤く腫れあがっている涼平のお尻に叩きこまれる。
「ごめんなしゃーい!もうしないから許ちてよぉー!!うわぁぁぁぁーん!!!」
涼平もまたこれまでにないくらい大きな声で泣いた。久子はそんな涼平を見ると即座にお尻を叩く手を止め、涼平の体を起こすとギュッと自分の胸に涙でくしゃくしゃになった涼平の顔を埋めるように抱きしめる。
「・・・うええん、・・・ひっく、・・・うううっ、・・・ぐすっ・・・。」
涼平は久子の胸の中で鼻をすすりながら少しずつ泣き止もうとしている。
「今日はいっぱいお尻叩かれちゃったねー。でもきちんと反省できたよねー。よしよし。」
しばらくの間、久子は涼平を胸に抱きながら、涼平のお尻を優しくなで続け、涼平もまた久子の温もりに癒しのひとときを感じるのであった。


あれから30分が過ぎ、涼平は、お仕置き中と同じくソファーに座る久子の膝の上にうつ伏せになり、赤く腫れたお尻を冷たいタオルでずっと冷やしてもらっていた。そして、涼平は何かをポリポリと食べているようである。
「ウフフ。涼平くん、美味しい?」
「うん、美味しいよ。」
「パパや武彦にあげたものと同じだけど、今日涼平くんに渡せてよかったわ。
少し遅くなったけど、おばさんの愛情がたっぷりつまったチョコだからね。」
涼平の食べていたのは、久子からのバレンタインチョコであり、ハート型の手作りチョコレートであった。
「あっ、美味しいんだ・・・けど。」
「え?何か変なものでも入ってた?」
「最初にかじった時、少ししょっぱかった。」
「へ?あぁ、それは涼平くんがさっきすっごく泣いたから、涙の味じゃないかしら?」
「あ。確かにそうかも。」
「フフフフ。だから、女の子にもらったチョコは今食べちゃだめよ。ちゃんとおうちに帰ってから、味わって食べるのよ。」
「うん!」
涼平は元気よく返事をし、久子もにっこりしながらお尻の上のタオルにそっと優しく手を置いた。
「それから、ちゃんとホワイトデーにはお返ししなきゃだめよ。まあ、涼平くんは子供なんだから世間で言う「3倍返し」なんかは考えなくてもいいけどね。」
「お返しかぁ・・・。何をあげたらいいのかなぁ。」
「そうねえ・・・。」
二人はしばし考える。すると、久子がある提案をする。
「涼平くん。こんなのはどう?」
「え、なになに?」
「ウフフフ。写真よ。」
「写真?」
「そっ。定番のクッキーと一緒に涼平くんの写真を添えるの。」
「へ?何で?」
「写真といってもただの写真じゃないの映すのは涼平くんのコ・コ。」
久子はそう言いながら、タオルに包まれた涼平のお尻をポンポンと叩く。
「いーっ!」
涼平は驚きの声を上げる。しかし、それに構わず久子は説明を続ける。
「ほら、今の涼平くんのお尻は真っ赤でしょ。このお尻を赤いハート型になるようにいい角度からカメラで写真を撮れば、これぐらいあなたが好きですっていいアピールになると思うんだけど。どう?」
満足げに話す久子。しかし・・・
「やだよそんなの!まじめに聞いて損した!久子おばさんの意地悪!!」
涼平はあきれてソッポを向き、顔をプーッと膨らませる。
「ごめんごめん。冗談だから、許してよ涼平くーん。」
懸命に謝る久子。すると、今度は涼平の方からこう話をきりかえす。
「いいよもう。僕、久子おばさんにホワイトデーでお返しするものを
決めたから。」
「え?おばさんには何をくれるの?」
「お尻ペンペン3倍返し!」
「お尻ペンペン3倍返し?」
「そうだよ。ホワイトデーになったら僕が久子おばさんにお尻ペンペンするんだ。だけど、ホワイトデーだからいつもの3倍、つまりいつも叩く回数を60回とすればその3倍は180回!だってあんな意地悪なことを言う久子おばさんにはそれくらいお仕置きが必要だもん。」
涼平はこうまくしたてる。しかし、それを聞いた久子は目をうっとりさせ、
「嬉しいわ、涼平くん。おばさんのことをそこまで思ってくれて。」
「え?」
「それだけお仕置きされれば、さすがにおばさんも泣きわめいてしばらく椅子にも座れなくなっちゃいそうだから、すっごく反省できると思うわ。でも涼平くん・・・今の言葉は怒った勢いで言っちゃったんでしょ?何も考えないで。」
「・・・・!」
「よく考えればわかるけど、涼平くんの手じゃおばさんのお尻をそんなに叩けるとはとても思えないし、むしろ途中で涼平くんの方が疲れてギブアップするわ。まあ、仮に叩けたとしても、すなわちこれは「ペンペン会」となるわけだから、今度はおばさんが涼平くんのお尻を叩くことになるわ。それも180回もね。さすがにおばさんもそんなに叩くのは心苦しいけど、それが「ペンペン会」のきまりだから仕方ないわね。それじゃ、早速だけど日時を決めて・・・。」
「わー!わー!冗談です!冗談ですぅ!!」
久子の言葉に恐怖を抱き、あわてて叫ぶ涼平。
「アハハハ!これも、じょ・う・だ・ん・よ。ウフッ。」
久子は笑いながら言葉を返す。
「もう!知らない!!」
涼平は下を向きむくれると、そんな涼平を見て久子は口を押さえてクスクスと笑うのであった。
そして、さらに二人の話は続く。
「お尻、大分冷やしたけど具合はどう?」
「うん。やっぱりまだまだ痛いけど、結構楽になってきた・・・気がする。」
「そう。ところで、今日のお尻ペンペンはどうだった?初めて涼平くんからやろうって言ってきたペンペン会だったけど。」
「えーとね・・・今日は数が増えた分やっぱりいつもより痛かったんだけど・・・すごくスッキリした気分になったっていうか・・・これでようやく本当に反省できたかなって。」
「よかった。そう言ってくれるとおばさんもいつも以上に気合を入れてお仕置きした甲斐があったってものだわ。でも涼平くん、毎回言ってるけどおばさんが涼平くんをお仕置きするのは、涼平くんのことを真剣に思ってるからこそ厳しくお仕置きしてるんだからね。だから、おばさんのことを嫌いになっちゃいやだからね。」
「うん!わかってるもん。僕、久子おばさんのこと大好きだもん。」
涼平ははっきりと大きな声でそう答えると、
「もう!お・ま・せ・さん。」
久子は涼平の頭をくしゃくしゃになるほどなでまわし、涼平もおどけた笑顔を見せる。
(いっけない。一瞬、涼平くんが武彦より可愛いと思っちゃった。えへっ)
そんな和やかな空気の中、二人の談笑が続く。そして、
「さっ、涼平くん。忘れちゃいけない、今度はおばさんの番だからね。」
久子はそう言って、涼平のお尻を冷やしていたタオルをさっと取り除いた。
「いっ?」
「休憩はおしまい。さあ、始めるわよ。涼平くんも気合を入れておばさんにお仕置きしてね。」
「え、でも・・・僕、お尻が痛くて力が出な・・・。」
「だめよ!叩かれたら叩く、それがペンペン会の鉄則なんだから弱音を吐かない!」
「でも・・・。」
「でももいももないの!そんなことじゃ、あの女の子に嫌われるわよ。それでもいいの?」
たび重なる久子のゲキについに涼平は発奮する。
ガバッ
涼平は久子の膝から起き上がり、下ろされていたパンツとズボンをすばやく履いた。しかし、腫れたお尻に服の生地がこすれたため、痛みで顔が引きつっている。
「よ、ようし。き、今日こそは、久子おばさんをほ、本気で泣かせてみせるもーんだ!」
意気揚々と久子にそう宣言する涼平。だが、やはりお尻が痛いのか声がうわずっている。
「うん、その意気よ。頼むわよ、涼平くん。」
こんな調子の中、ようやく第13回ペンペン会の第二幕が始まるのであった。


「・・・ゼエ、・・・ゼエ、・・・ゼエ。」
「さっ、あと1回で60回よ。涼平くん!」
大方の予想通り、涼平はお尻の痛みにより思うような力が出せず、へとへとになって久子のお尻を叩いている。久子のお尻もこれまでのペンペン会の時よりも明らかにお尻の赤みが薄く、痛みもほとんどない。けれども、涼平は根性を出してついに最後の1回にたどりつく。
「えーーい!!」
涼平は大きく手を振り上げ、最後の力を振り絞り、久子のお尻めがけて思い切り手を振り下ろす。
ピシャーン!
「痛ぁーい!」
「うわぁっ!」
こん身の一撃が久子のお尻に炸裂し、大声で叫ぶ久子。しかし、涼平もまた
その衝撃にはね返されるかたちでバランスを崩し、床に全体重を乗せた
尻もちをついてしまう。
ドスーン
「ぎえぇぇぇぇ−−−!!!」
涼平の生まれてから一度も出した事がないであろう大きな悲鳴が久子の部屋中にこだました。