まほーのランプ(運動しましょう!!)下


運動会なんか嫌いだ・・
いや、それ以上にルナさんとの練習が嫌いだ・・
理由?
決まったようなもんだろ?
そう・・
ルナさんとの練習にはペナルティ(おしおき)が付くからだ・・

最初は「4分切れなかったらおしおき」とかそんなモンだった・・
だが、その程度で満足するルナさんではないのだ・・
「しっかりとした呼吸をしないとおしおき」とか、
「足をちゃんと上げないとおしおき」とかちょっとハードルが上がり、
挙句の果てに出てきたのは
「ルナさんの独断でちゃんとやってなかったらおしおき」だ・・。
まず第一に最初の「4分切れなかったら」が出来ていないので走るたびに
おしおきをくらっているわけで、そこに色々とプラスされている・・
全く・・俺が何をしたって言うんだ・・
まあ、ルナさん本人には言えないけどな・・。









「マスター、やる気あるんですか?」
パチィン!
「ありますよぉ・・」
残念な事に俺はおしおきをうけていた・・
というかルナさん、優しいこえでずいぶんとキツイことを言ってくるなぁ・・
パチィン!
「うあっ・・」
「ちゃんとやってくださいね?」
パチィン!
「や・・やってますってぇ・・」
パチィン!
「くうぅ・・」
そういやここ、実は近所の公園、
俺は青空の下でルナさんに尻を叩かれているわけだ・・
一生トラウマになる・・
いやきっと来世でもこの公園に来るたびに尻がムズムズするはずだ!!
まぁ、今のとこ誰にも見られてないしまだ何とか許せるのだが・・
もし誰かに目撃されたらたとえルナさんだろうと許せねぇ・・
パチィィン!!
「うあぁぁっ!!」
い・・いつもより強い・・
「文句ありますか?」
「な・・ないです・・」
くそぉ・・まともにものを思うことも出来ないのか・・・
パチィィン!!
「「くそ」なんて下品なこと言っちゃいけません」
「言ってません!!・・思ったけど」
ウソはつかないほうが良いだろうな・・
パチィン!
「いまのは正直でよろしい♪」
正直なら少し手加減してくれても・・
パチイィィン!
「うああぁぁぁ!!」
なんすか今の!?すごく痛かったんですけど・・
「どうやらマスターが「手加減無しですっごーく痛いおしおきをしてほしい」
と思ったようなので・・」
「思ってないです!!」
ルナさんひどいルナさんひどいルナさんひどいルナさんひどい×1000000000000
「はい?4000000000000かいお尻ぺんぺんして欲しいです?」
「違います!!!!」
「あら、そうですか」
パチィン!
「ぐぎぎ・・」










「ではさっそくまた1000m走ってくださいマスター」
「おしおき」という名の「いじめ兼拷問兼取調べ」から開放されてすぐ
ルナさんが走れと言い出した・・
「ちょっと、お尻が痛いので・・休憩を・・」
「言う事聞かない悪い子は・・」
ルナさんが腕を鳴らした・・
「おしおきですか・・」
「分かってますね・・なら・・よーい・・」
「まっ・・待って・・!!」
「どーん!!」
ルナさんがほぼ強制的に競技をスタートさせたので俺は渋々スタートした・・
くそぅ・・足が地面につくたびに尻がズキズキ痛い・・
息が上がるのがどーでも良く感じるな・・
「頑張ってください、マスター!」
「はぁ・・はぁ・・」
ありがとうございます、とくらい言いたかったのだが・・
もちろん言えるはずもない、
この想いはルナさんに通じてないのかね・・?
「大丈夫ですよ」
ん?今のは通じたということだろうか?
それとも頑張って走れという事なのだろうか?
ま、どっちでも良いか・・
「はぁ・・はぁ・・」
「ほら、呼吸はどうでしたっけ?」
あ、えーと・・「吸って吸って吐いて」か・・
「ひっひっふぅー・・」
「はい、上手ですよ」
どーもです・・



「はい、ゴールです♪」
タ・・タイムは?
「・・4分42秒ですね」
お・・遅くなってる!!!
「マスター・・」
お・・おしおきされる・・
「分かってますよね?」
分かってる・・分かってるけど・・
「来・て・く・だ・さ・い」
嫌ですっっっ!!!!
「早くしてください!!」
地獄だ・・どーしようも無いくらいの地獄が目の前にある・・
助けて欲しいもんだね・・・











その日の夜・・

「くぅぅ・・いたた・・」
俺はベッドの上にうつぶせに横たわっていた・・
「まーすーたぁー?」
「ル・・ルナさん・・」
「お尻におくすり塗ってあげましょうか?」
「いや・・いいです」
そんな恥ずかしい事されてたまるかっ!!
「あら、そうですか」
ぺちんっ
「うあっ・・」
ルナさんは俺の尻をかるーく叩いたらしいが今の俺には充分効いた・・
「フフッ♪」
ルナさんがいかにも楽しそうに笑った・・
つくづく俺のこといじめるの好きだなこの人・・
「マスター」
「はい?」
「頑張ってくださいね、運動会・・」
「ええ、もちろん・・」
頑張らないわけにもいかないだろう・・
ルナさんにおしおきされそうだし・・
なによりどんな形であれコーチになってくれたルナさんの期待に応えたい気も・・
「ルナさん・・」
「なんですか?」
「もし俺が・・まともに走れたら・・」
「走れた・・ら?」
「・・・・・・・・・」
「マスター?」
「くぅー・・くぅー・・」
「寝てしまいましたか・・
ちょっと厳しすぎましたか・・」
「・・がん・・ばる・・よ・・ルナさん・・」
「・・・頑張ってください」













運動会当日!

来た!!
ついに来てしまった!!!
大丈夫だ・・俺ならいけるはずだ・・絶対に・・。
やべ・・すっごく緊張する・・
こわいよ怖いよ恐いよ強いよコワイよコワイヨ・・・。
どーしようどーしよう・・・
「お・・おいカケル?」
「あ、ああ・・なんだ?」
「何って・・1000m、呼ばれてるぞ」
「え、まじ゜゛っで」
「大丈夫か?ろれつ回ってないぞ・・」
「あ・・ああ、大丈夫だ」
俺はスクッと立ち上がった・・がその時足がつった・・
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「大丈夫じゃなさそうだな・・」
「・・そうらしい・・・」







さあ、気を取り直して・・
俺は走り出した!!
いや、ただの入場行進だが・・
もうボケるのはやめよう・・そう、実はこうでもしてないとやってられないのだ、
緊張が・・本当に半端ない・・
ただ・・そうも言ってられない・・
いくぞ・・今度こそ本当にだ・・
俺は誘導員の指示どおりにスタートラインに立った・・
行くぞ・・・
行くぞ・・・・
行けるだろうか・・・
行けるはずだ・・・
いや・・・
「位置について・・」



行くんだ!!!

パァァン!

乾いたピストルの音と共に、
俺は走り出した・・
ふと隣を見ると客席でルナさんが優しく微笑んでいた・・













「頑張りましたね、マスター♪」
「とりあえず・・ですけどね」
3分53秒、それが俺のタイムだった、
後ろから4番目というなんとも情けない結果ではあるが・・
とにかく初めてルナさんにおしおきされないタイムをだせた訳だ!
「良い走りでしたよ、」
「・・初めてまともにほめてもらった気がします」
「あれ、そうでしたか?
アメとムチはちゃんと使い分けたつもりですが・・」
ムチのが明らかに多かったぞ!!!
「あら・・そんなこというんですね・・」
「あ、いや・・その・・」
「マスター・・」
「すみませんでしたあぁぁ、だからおしおきはっ」
俺は無我夢中で謝った・・
しかしルナさんは・・


ぎゅっ!

「!!!!!!」
ルナさんは思いっきり俺に抱きついた・・
とは言っても母親が子供を抱くような抱き方だ、
「じゃあ、たくさんアメをあげますね♪」
ルナさんは長身の女性のため、抱きつかれると彼女の胸が俺の顔に当たって
なんというか・・ねぇ・・すごく・・恥ずかしい・・
でも、今はなぜか・・このままでいたかった・・
いや別に変な意味じゃなくてだな!!!
ま、と・・とにかく・・一つこの状況で言うべきことは・・













「ありがとう・・ルナさん・・」