まほーのランプ(ルナ+リオ=無限)


夏だ・・・、皆様はいかがお過ごしだろうか?
多分暑さでうだっていることだろうが・・・俺は違う・・・、
むしろ酷い悪寒に襲われている・・・。
理由?
実はな・・・ついに俺の家にリオさんが来る・・・!
え・・何がまずいかって・・・?
そんなの決まっている、
いわゆるあの下品なリオさんが、上品なルナさんと会って何もモメ事起こらないとは思えない・・・。
つまり確実に一騒動起こり、俺が巻き込まれるわけだ・・・。
はぁ・・・今まではいろいろ理由をつけて二人が対面する機会を取り上げてきたのだが・・・、
向こうから来るとなるともうしかたがない・・・、
どうぞ皆さん、是非自分の冥福を祈ってください・・・、

ピンポーン・・、
玄関のチャイムが鳴った・・・、
どうやら冥福を祈る暇もないらしい・・・。


「どうぞ入ってください・・・」
俺はドアを開けながらそういった、
予想通り目の前にはリオさんがニヤニヤ微笑んで立っていた・・・。
「よぉ、カケル、元気にしてたかぁ?」
「まぁ・・・とりあえず・・・」
あなたが来なければね・・・。
「そーかそーか!なら良いぜ、じゃあさっそく入らせてもらおうかね」
俺の返事も聞かずリオさんはズカズカ上がりこんできた、
ん・・そういえばいつもはリオさんにくっついている秀作の姿が見えない。
「秀作はどうしたんです?」
「ああ・・・シュウは家族で旅行に行った、幼稚園が夏休みと言うものに入ったからな」
「何で着いて行かなかったんですか?ランプの精なら宿泊費もタダでしょう?」
俺考えがセコイな・・・、
「もちろんお前のランプの精に会うためだ」
リオさんがやたらとニコニコ笑う、
あぁもう、行けばよかったのに行けばよかったのに行けばよかったのに・・・、
そしてルナさんのこと忘れてしまえば良かったのにっ!!
「で、そいつは何処に居るんだ?」
リオさんは俺の顔を覗き込んだ、
俺はリビングにリオさんを案内して、
「ここで待っててください、今連れてきますから・・・」
「お・・・おう・・・」
リオさんは少しぎこちなくイスに座った、
俺はリビングから出る。
・・・すると目の前にルナさんがいた・・・、
「うぁっびっくりした!!」
俺はつい後ろにのけぞった・・・、
それを見るとルナさんはくすくすと笑い、
「フフッ・・・何をそんなに驚いているのですか?」
「・・・ふざけないで下さいよ・・・」
「フフッ・・すみません♪」
「・・・はぁ・・・」
俺は肩をガクッと落とした・・・、
「で・・・あの方がそのリオ様ですか?
・・・たしかに少し下品で行動が図々しい・・・」
ルナさんが目を細めた、
「でも根はいい人ですから・・・くれぐれもケンカとかはよして下さいね?」
それが俺の唯一の願いだっ!!
「分かってますよ、私も大人です、数百年間生きてきたキャリアがあります」
それはリオさんにも言えることだが・・・、
まぁ、そうならありがたい・・・。
「じゃあ行きましょう・・・」
俺は頭を掻き、もう一度リビングに入った、
「紹介します、自分のランプの精のルナさんです」
俺はリオさんにルナさんの顔を見せた、
「どうぞよろしくお願い致します」
ルナさんは深々とお辞儀をした。
「おぉ、お前がルナかぁ・・・」
リオさんは珍しそうにルナさんを眺めた。
「とりあえず顔上げろよ」
リオさん、そんなえらそうなこと言っちゃダメです!!
しかしルナさんは顔色一つ変えず、
「ありがとうございます」
あぁ〜良かった・・・、
「お茶を用意いたしますね」
ルナさんはにっこり微笑んで台所へ向かった、
この笑顔が続きますように・・・!
「へぇ・・・感じのいい奴じゃねーか」
リオさんは満足そうに俺に言った、
「良かったですね、どーもです・・・」
とりあえずリオさんにとってルナさんの第一印象は悪くなかったようだ・・・、
「まぁ、しばらく待っていてください、ルナさんがお茶を出してくれるそうなので・・・」
俺はリオさんに微笑みかけた。
しばらくすると辺りに紅茶の香りが漂ってきた、
「お待たせいたしました」
そしてルナさんが入ってくる。
紅茶を俺たちの前に置き、ルナさんはイスに座った、
「どうぞ・・・」
ルナさんは俺たちに微笑みかける、
「いただきます・・・」
「どーも」
俺とリオさんは同時にその温かい紅茶をすすった、
口に入った紅茶の温かさと優しげな香りは、俺の緊張を少しやわらげてくれた。
「ふぅ・・」
俺は紅茶をテーブルに置きなおした、
俺はふとリオさんを見る、
リオさんはズズズッと汚らしい音をたて、それを一気に飲み干していた・・・。
「うん・・・美味かったぞ・・・。
でさ、お前、コイツの精ってことで良いんだよな?」
リオさんはガチャンとカップを置き、ルナさんに聞いた、
「ええ・・、私がマスター、いえ・・カケル様のランプの精でございます」
「へぇ・・・しかしずいぶんかしこまった奴だな・・めんどくさくないか?」
リオさんはルナさんに顔を近づけた、
「何がでしょうか?」
「何ガって・・・そのしゃべり方だよ」
「いえ・・・特に考えた事はありません」
ルナさんは微笑みの表情を崩すことなく答えた、
「へぇ・・・俺には信じられねぇな・・・」
リオさんはテーブルにひじをついた・・・、
「しかし、自らの主人ぐらいには・・・」
「俺はタメ口・・・」
リオさん・・・話は最後まで聞きましょうよっ!!
「はぁ・・・」
まずい・・・ルナさんが困っている・・・、
「じゃあ逆に、お前がめんどくさいと思うことは?」
リオさんは何処から引っ張り出してきたのか、そんなことを聞く、
「そうですねぇ・・・、まぁ誰かに喜んでいただけるのならばめんどうな事など特にありません・・・かね」
いかにもルナさんらしい優等生やな答えだ・・・。
「・・・・・・・・・」
あれ、リオさん・・・?
「え、なんて言った・・・?」
聞いてなかったのかよっ!!
「で・・・では・・・リオ様にとっての面倒な事とは・・・?」
た・・・耐えた、リオさんの失礼な態度に耐えた!!
ルナさんすごいですっ!!!
「俺?俺は・・・とりあえず人の命令を聞くのは基本的に嫌いだな・・・」
それランプの精として終わりですっ!!!
「はぁ・・・てか今この状況がめんどくせぇ・・・」
じゃあ何でココに来たんだよぉぉぉっ!!!
これはダメだこれはダメだ・・・、
ルナさん絶対怒る・・・、
「マスター・・・ちょっと来ていただけますか・・・?
来た・・・恐れていた展開・・・。
NOとも言えないので俺はルナさんと共にリビングを出た。


「何なんですかあの人はぁ〜っ!!!」
怒ってる・・・明らかに怒ってる・・・、
「だからやだって言ったんですよ!!」
俺はとりあえず思っていたことを口に出した、
「でも・・・あんな態度ってありますか!?」
「分かってます、気持ちは分かりますけど・・・、今は落ち着いて・・・」
俺はなんとかルナさんをなだめようと試みた・・・、
「お願いです・・・」
「ま、たしかに・・・それに・・・マスターの命令とあれば・・・」
なんとか納得してくれたようだ・・・、
「ありがとうございます・・・」
俺たちはまたリオさんのいるリビングに入った。
「何してたんだ?」
「いえ・・・何も・・・」
これが妥当な答えだろう・・・、
「あ、そ・・・」
リオさんが何も疑わなかったため、俺はほっとした・・・、
しかし次の瞬間、俺は凍りついた・・・。



ブッ・・・、



え・・なに今の音・・・?
え・・・まさか・・・仮にも女の人だぜ・・・?
いや・・・え・・・で・・・でも・・・そんな訳・・・、
でも・・・リオさんのことだし・・・、
いや・・リオさんと言えども・・・、
でも信じるしかないのか・・・?
こ・・・この人・・・、
初めて来た人の家で・・・、
初対面の女性と・・・、
年下の異性の前で・・・、
屁こきやがったっ!!!!!
終わった・・・俺でさえもルナさんの前でそんなことしたらおしおきされるのに・・・、
俺はゆっくりルナさんを見た・・・、

ゴオオォォォォォォォォォォォオオオオオオオオッ!!!

萌えてる・・あ、いや燃えてる・・・、
明らかに危険なオーラが・・・、
「リオ様ッ!!あなたには羞恥心というものがないのですかっ!?」
「は?何が?」
「人の家に来てそんなことするって・・・っ」
「そんなこと・・・ああ、屁こいたことにいらだってんの?」
「そうですよ!!というよりその前にあなた女性でしょ!!
もう少し丁寧な言葉づかいができないのですかっ!!?」
「チッ・・・うるせぇな・・・なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだよっ!!」
「舌打ちやめなさいっ!!」
「知った事かっ!!」
・・・うわぁ・・・、
どうしよう・・・、
こんなときってどうするべきだ・・・、
そうだ・・・、













逃げちゃえ・・・・。

俺は気付かれないようにそそくさと家を出た・・・、
「はぁ・・・」
やっと開放された・・・。
やってられないぜ・・・本当・・・、
ああ・・・自由っていいなぁ・・・、
第一・・・確かにリオさんは下品すぎる、男とか女とか関係なく、
もっと上品になるべきだ・・・!
人の家来て屁こくなって!!
人間だったら絶対結婚できないな・・・あの人・・・。
ルナさんだってたしかにめんどくさい!!
口うるさいしいじめっ子だし・・・、
そんでもつてあそこまで怒らなくていいと思うっ!!
もっと普通にしててくださいよ!!
結論としてはどちらも結婚できないタイプだっ!!!
「へぇ〜・・・」
え・・・、
「フフッ・・そんなこと思ってたんですかぁ・・♪」
「悪かったな・・・結婚できないタイプで・・♪」
「あ、二人とも、どうしたんですかぁ?・・・はは・・」
空気が止まる、二人の笑顔が突き刺さる・・・、
・・・これ・・・まずくない・・・?
「リオ様・・・ここは一つ協力といきませんか・・・?」
「もちろん・・・俺も同じこと考えてた・・・」
二人はニコニコ笑いながら俺をつかんだ、
「あの・・・自分の予想が正しければ・・・」
「ええ・・・もちろん・・・」
「お尻ぺんぺんのおしおきだ・・・」
・・・これは予想外の悲劇だなぁ・・・、
はは・・・あはははははははははははははははは!!
って現実逃避している場合じゃない!!
俺は家の中へ連れ戻され、ソファーに並んで座る二人の膝の上に乗せられた!!
体制としては、ルナさん側に頭、リオさん側に足を伸ばしている状態だ・・・、
「ぼ・・・暴力反対です・・・」
「おしおきは暴力ではありませんよ♪」
「そーゆーことだ・・・」
そういうとリオさんは俺のズボンと下着をずるっと・・・、
「うあっ!!」
「フフッ・・おしおきの体形、完成ですね」
「へへへッ・・・二人ってことはいつもの二倍叩けるってことだよな?」
「ええ・・もちろん・・・」
に・・・二倍・・・にばい・・・、
にばいっていうのはぁ・・・にをかけるってことだからぁ・・・、
2×・・じゃあ3ってことにしてぇ・・・、
2×3=・・・・13486906578・・・・・・僕分かんない・・・、
でも・・・僕こんな方程式知ってるよ・・・、
ルナ+リオ=無限・・・。
・・・・・・・・もういっそ殺して・・・。
あ、でも皆さん、自殺はダメだよ・・・、
理由?
理由はまぁいろんな人が悲しむし、生きていればいろいろ・・・
ってもう一度言うぞ、現実逃避をするな俺ッ!!!
「二倍はさすがに・・・」
「私たちは結婚できない女なんで人のこと聞く気はありません♪」
「ウソです!あれウソです!!ユーモアのようなものです!!!」
「「ユーモアは人を傷つける事がある」って言葉があるからな・・・」
何であなたがそんな言葉知ってるんですかっ!?
「とにかく・・・許す気はありませんよ・・・」
「ああ・・・マスター・・・」
・・・もうだめか・・・、
「どうやらあきらめていただけましたね・・・では・・」
「いくぜっ!!!」
「いきますよっ!!!」
二人の声が響いた、
パチィィン!!
「うぁぁぁぁ!!」
いったた・・・今のどっちだ・・・?
パチィィン!!
「うぃぃぃっ!」
「フフッ・・・マスターが悪い子だからですよ・・・、
あ、ちなみに始めのが私で、次のがリオ様なので・・・」
そうですか・・・、でも違いが分からない・・・、
「分かりませんか?」
「じゃあ違いが分かるようになるまでぺんぺんだな・・」
「いぃぃっ!?」
珍しくリオさんがいじわるだ・・・、
「つべこべいうなっ!!」
パァァァン!!
「うぁぁっ!痛いですよぉ・・・リオさぁん、いや・・るなさ・・あ・・れ?」
「コイツは時間がかかるな・・」
パチィィン!!
二人が組むとここまで恐ろしいか・・・、
さっきの方程式は間違いじゃないな・・・、
多分交互であろう二人の攻撃は、確実に俺の尻を痛めつけていた・・、
パチィィン!!
「うぁぁ・・痛いよぉ・・もういやぁぁ・・」
それと同時に俺の精神も完全に壊していた・・まったく・・・、
「だーめですっ!」
パチィィン!!
「くああぁっ!・・やぁぁ・・」
「まったく・・そんなちっちゃい子みたいなこえだして恥ずかしくないのか?」
これはあなた達のせいですっ!!
「だ・・・だってぇ・・」
「くすっ・・ちょっとツボだな・・」
パチィィン!!
「いぁぁぁ!!」
パチィィン!!
「くぁぁぅ・・」
「どうです・・・違い分かりました?」
「うぅ・・・多分・・・今のがルナさんです・・」
「お、正解です、何でわかりました?」
「リオさんの方が少し強いです・・」
「へえ・・そうなのか・・・」
パァァン!!
「うぁぁぁぁ!」
「へへっ・・油断するなよ?」
「くぅぅぅ・・」
「なぁ、ルナ?とりあえず違いは分かったようだが・・・、
あと何回叩いてやったらいいと思うよ・・・?」
「そうですねぇ・・・」
「うぅ・・・もう痛いのやぁぁ・・」
「・・・こんな事いってるが?」
「仕方ありませんねぇ・・・じゃああと5回で許しましょう」
「というのは・・・」
「もちろん5回ずつで♪」
「だろうと思った・・・」
「うぅぅぅ・・・」
「じゃ、いきますよぉ〜」
パアァァン!!
「うぁぁぁっ・・」
「俺からもそれっ!」
パチィィィン!!
「いあぁぁぁっ!」
「ほら、あと8回、頑張って♪」
パチィィン!!
「くぁぁぁっ!」
「ファイトファイトー!」
ノリが軽い・・・、
パチィィン!!
「いたぁぁっ!!」
パチィィィン!!
パチィィィン!!
「ぬぁぁぁっ!!」
パチィィィン!!
パチィィィン!!
「いぁぁぁっ・・もうやぁ・・」
「ほら、大丈夫です、あと2回ですよ♪」
「・・・は・・はぃぃ・・」
「じゃ、いきますよ」
パチィィィン!!
「いやぁぁぁっ・・くくっ!」
「よーし、あと1回だぞぉ・・それっ!!」
パチィィィィン!!
「にゃああぁぁぁ!!」
最後に強烈な二発が来ておしおきが終わった・・。
「うぅぅぅ・・・」
「よくがんばりましたね♪いい子ですよ」
「痛かったよな・・わりぃわりぃ・・」
二人は俺の頭を撫で回した、
「・・・恥ずかしいです・・・やめてください・・・」
「あら・・・そうですか・・・、じゃあ・・ごほうびは何がいいですか?」
ごほうび?何がいい?
・・・特にほしいものなんてない・・・、
ただ一つ言うなら・・・、
「・・・二人とも・・・仲良くしてください・・・」
「え・・・」
「なるほど・・・ずいぶんな平和主義者だな・・」
「でも、もう既に私達仲良しですよね?」
「ああ、カケルの尻が生贄になったけどな・・・へへっ・・・」
リオさんは俺を見て笑った、
「・・・本当ですか?」
「ああ・・・たまにはこういうめんどくさい奴と付き合うのもいいだろ?」
「フフッ・・ちょっと礼儀作法というものを教えてあげたくなりましたので、
・・・おしおきつきでね・・・フフッ」
「お、やってみるか?」
「フフフッ・・いつでもやってあげます」
「おお、そいつは恐い」
・・・どうやら本気でケンカは終わったらしい・・、
そう考えると俺の尻すごいな・・・、
まぁ・・・仲良くしてくれるなら少しくらい捧げてもいいか・・・、
「生贄」をな・・・。