まほーのランプ×語尾アル〜あい・にーど・ゆー〜(m/F有



「ごめんね…私…馬鹿だから…」
「…良いよ、だから泣くなよ…」
「ごめんね、あなたのこと…何も考えてなかった…」
「良いって…早く行けよ、もう…二度と俺のことは思い出すなよ?」
「ごめんね…本当に…ごめんね…」
「大丈夫だから…「彼女」さんと幸せにな」
「あなたも、幸せにね…」
「あぁ、約束だ…」















前回、俺とカケルはまぁ一悶着…一悶着の使い方合ってるかな?
あー、とにかく色々あったわけで近くのファーストフード店に入ったのだが…、
そこにおられましたのが…、

「ロンロンさんっ!?」
「ナイト!奇遇アルね」
というところで前回は終わったと思う。
「…へ?」
カケルは何が起こったかさっぱりな顔をしていた、まぁそれが普通の反応だろう。
「あ、もしかしてカケル君アルか!?」
「えっ!?あの…なんで自分のことを…?」
「あ、私ナイトの恋人のイ・ロンロンアルっ!!ロンロンって呼んで欲しいアル」
…大声で恋人って公言しやがった。
「カケル君のことは聞いているアル、ナイトととっても仲良しらしいアルね?」
「え、ま、まぁ…そうです…ね」
といいながら俺をちらちら見るカケル。大丈夫、俺たちは親友さ!!www
「あ、そうそうそれと…」
そういってカケルの耳元に口を近づけるロンロンさん。
「あなたもお尻、叩かれるの好きらしいアルな」
カケルの顔が赤くなっていくのがわかる、すごくよくわかる。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!ナイトっ、なんでそれ言っちゃうんだよぉぉっ!!二人の秘密だったじゃないかっ!!」
「ま、まぁ…話は最後まで聞けよ…」
「…は?」
「えへへ♪実はあたしもその趣味アル」
「…なっ…えっ、ちょっ…うぇ…」
カケルは現実的にありえない勢いの驚き方をしていた。
「…そういうことだ」
「お、おまえら…パートナーから恋人に…?」
「そんなんじゃないっ!!」
「えへへ、でも…何度も叩いたアルけどね」
「ろ、ロンロンさん!!」
か、カケルの前でそんなこと言わないでくださいよ…、
カケルを見ると苦笑を浮かべていた。…うわぁ…死にてぇ。
と、まぁスパ系の話で盛り上がっていたとき。
「あ、あの〜お客様…ご注文は?」
という店員の声、俺たちの後ろには大行列。
「あ、あぁっ、すみません!!」
俺たちは急いで注文を取り立てた。











「うっ…くっ…」
「へっ、カケル、お前むかつくんだよ…」
ドカッ…!
「ぐぁ…、く…何が、何が気に入らないんだよ…」
「理由?そんなもんねーよ」
「「ケンタ」の言うことは絶対だ、悪く思うな、へへ」
ズガッ…!!
「う…あぁ…」
「へへっ、悲鳴あげないように我慢しちゃってよぉ…」
ガコンッ!!
「うぁっ…、く…はぁ…」
「へへっ、お前面白いなぁ…」
「おい、お前もやれよ…」
「…え?」
「お前も俺らの一員だろ?コイツぶん殴れよ…ナイト」













変わりましてカケルです、
俺たちはファーストフードで軽食を摂ると、ナイトの恋人、いわゆるエセ中国人語を使う中国人、ロンロンさんの家に呼ばれることとなった。
今はその道中ってわけだ。自転車を引きながら歩いている。
「しかしこうして変な趣味が共通の三人が並んで歩くなんて、めったにある事じゃないアルね」
「ほぼありえない話ですよ」
「はははっ…」
そんな他愛もない話をはずませていた、その時。
「だーれだ♪」
うぉっ、前が見えなっ!!
急な状況に驚きすぎて声も出ないまま俺はその場でコケた。
「だ、大丈夫か?」
「あ、ああ、平気平気」
俺は二人に苦笑して見せた。
「あ、すみませんマスター」
…ルナさん。俺は心の声を作動する。
《大丈夫じゃないですよっ!!》
「申し訳ございません、今からもう一度プリンを買いに行こうと思って、そしたらマスターがおられましたのでつい…」
《もう…こっちには人がいるんですから…》
「あぁ、お友達のナイト様と…こちらは?」
《その恋人のロンロンさんです》
「あら、可愛らしい方ですね♪」
《たしかに…顔立ちはすごく良いですよね、コイツにはもったいないくらい》
「あら?やきもちですか?」
《 ち が い ま す 》
「フフッ、わかりました」
俺はルナさんに目を合わすこともなく平然を装っていたつもりなのだが、
「あの…、カケル君?」
「あ、呼び捨てで良いですよ」
「あ、じゃあ…カケル、怖い話していいアルか?」
「え、いきなりなんですか?」
「いや、今なんか、カケルの隣に女の人が見えた気がするアル」
俺の隣に女の人…?
…この人しかいないよな。
…と、俺が頭の中を整理していたとき。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぉぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
もちろん俺にしか聞こえない大絶叫をルナさんがあげていた。
「な、なんで私が見えたんですかこの人!?」
《し、知りませんよ!!》
「ランプの精がついてるようではないですし…」
「多分見間違いですよ、ね?」
俺はルナさんとロンロンさん、二人に聞かせる意味で声を出してそういった。
「そうでしょうか…」
「そうアルかな…?」
するとナイトが、
「そうですよ、きっと」
よっ!!ナイスナイトっ!!
「そ、そうアルね」
《ね、そういうことですから…》
「は、はい…あ、じゃあ私プリン買ってきます」
《あ、はい》
そういうとルナさんは飛んでいった、空のかなたへ…。
…あの人は本当にプリンが好きなようだ。
「二人とも、着いたアルよ」
「いや、知ってますよ、自分ちですから」
「まぁ、自分も…友人の家なので」
「む〜、二人ともノリ悪いアル…」
ノリッてなんだよっ!?
ともかく俺たちはロンロンさんの家の階へ、同時にナイトの家の階でもあるんだが、
とにかくそこへエレベーターを動かした。













ドガッ、ズガッ、ガンッ…!!
「う…、ナイ…ト…」
「はぁ…はぁ…」
「う…うぅ…」
「消えろよ…俺の前から消えうせろよ!!」
「ナイト…」
「どっか行けよ!!うぜぇんだよっ!!」
「ナイ…ト…!!」













ロンロンさんの家、今日初めてあったのだ。もちろん初めて入るが、すごく綺麗に整頓されている。
いかにも女の人らしい清潔な家である。
漫画家のアシスタントと聞いていたから、先入観で汚いのかなって思っていたが…、
職業差別って騒がれちゃうな。
「まぁ、とりあえず座ってほしいアル、お茶出すから」
「あ、お構いなく…」
俺の声を聞いたかどうかは知らないが、ロンロンさんは返事もせずに台所へ歩いていった。
「ナイト、ロンロンさん綺麗な人だな」
「へへっ、だろ?」
「うわ…腹立つ…ただうらやましいのは確かだ」
「はいはいどーも…」
俺たちはお互いに微笑した。この光景を見て俺たちが仲良いと思える人はすくないかもしれない。
だってぱっと見変態だからな。
「はいはい二人ともお待たせアル、飲むヨロシ」
ロンロンさんは冷たい紅茶を出してくれた。
「あ、いただきます」
俺はそれに口をつけた。ふぅ…うま…。
「で、二人とも、お話があるアル」
あるアル…実に聞き取りにくい。
「え、お話…何ですか?」
俺より先にナイトが口を開いた。
「いや、ちょっとかわいそうアルけど…」
「かわいそうだけど…?」








「二人におしおきしようと思うアル」








「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぅぉぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」
二人分だ、さっきのルナさんの声には勝った気がする。
「な、なんでですか!?」
「二人とも、さっきお店で話しに夢中になって、他の人に迷惑かけたアル」
「いやいやいやいやいやいやいや!それは元々ロンロンさんが!!」
「だ・か・ら、あたしも叩かれるアル」
「…はぁ?」
「だから、私が二人のお尻をぺんぺんするから、二人もあたしのお尻をぺんぺんするアル」
「いやいやいやいやいやいやいやいや!!困ります困ります!!」
俺の発言に間違いはないはずだ。
「あきらめろカケル、この人こう言い出したら聞かない」
「ま、マジかよ…」
「フフ…ナイト良い子になったアルなぁ」
「でも…ふたりで叩かれるのは…」
「ダメアル、恥ずかしいのもおしおきになるアルよ」
「「マジかよ…」」
「さ、ということで、叩かれるのと叩くの、どっちが先が良いアルか?」
「どっちも嫌なんですけど…」
「カ・ケ・ル?」
うわぉ、ルナさん張りの威圧感っ!!
「すみません…」
「よしよし良い子アル♪」
うっ…可愛い、だめだぞー、なんてったって友人の恋人だからな。
「なぁ、どうするナイト…?」
「…俺は嫌いのものは先に食べる派なんだが」
「どっちが嫌なんだ?」
「どっちも嫌だ」
「答え出ないじゃないか」
「あーーーっじれったいアルなぁっ!!」
キレたロンロンさん。
「じゃんけんアルじゃんけん!!負けたほうが先にお尻ぺんぺんされるアル!!」
「は、はぁ…」
「じゃあカケル、頑張って来い」
「俺かよっ!!」
「どっち道やらなきゃいけないことは同じだ」
「なんか腹立つな…じゃあロンロンさん、いきましょう」
俺はやれやれと腕をまくるまねをした。
「よーし、じゃーんけーん」
は、はやっ!!いくぞ、この一瞬に全てをかける!!
「「ぽんっ」」
俺はグー、ロンロンはチョキだった。
「あぁぁっ!!負けたアルっ!!」
「ナイト…勝っちまいましたがー」
「よくやったよくやった」
「お前何様だよっ!!」
俺たちがそんな会話をしている中。
「ちぇー、じゃあ二人とも…叩いて欲しいアル」
といいながらロンロンさんはソファーにうつぶせになり、
いや…その…着ている着物のズボンのようなものと下着を…一気におろした。
「っっっっっっ!!!!何してるんすか!?」
「お尻ぺんぺんの時は…お尻、出すものアル」
「これがこの人の持論だ…」
「お前は何ともないのかっ!?」
「もちろん直視はできない!!ただこの行動には慣れた!!」
なぜだ…少しもカッコよくないっ!!
「は、はずかしいから…早くするアル…」
ロンロンさんはうつぶせの状態でこっちを見ている。
ナイトは割と冷静に、
「何回ですか?」
「…一人、十回ずつ…」
てことは絶対俺も叩かなきゃいけないのか。
「はい了解です。じゃあロンロンさん、膝の上に来てください」
「うん…」
ロンロンさんはナイトをソファーに座らせ、その上に乗っかった。
「カケル、お前もこっち来てくれ、一人じゃ恥ずかしい」
その言い方にも少しだけ余裕があるのが、今まで二人に何が起こっていたかを物語っているな。
「もう…すべてお前に託す」
「はいはい、じゃあ…俺から行くわ」
その会話を聞いているロンロンさんは顔を真っ赤にしてこっちを見ている。
「早く…するヨロシ」
「あぁ、すみませんっ」
ナイトが少しだけあせりを見せる。
「じゃぁ、ちゃちゃっといきますよ」
その手を振り上げるナイト。

ぱっちぃぃぃんっ!!

「ひっあぁぁんっ!!」
う…耳をふさぎたくなるような音。
「い…たいアルよぉ…」
「ロンロンさんが言い出したんだから我慢してくださいよ」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「ひっいっ…ひぅぅ…ごめんなさいぃ…」
「別に怒っちゃいないんですが…、とりあえず、迷惑かけちゃダメですよ?」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「いぁぁんっ…それはナイトも同じアルゥゥ…」
「だから俺たちもどうせ叩かれるんですよね」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「いやぁぁっ…」
「俺からのはこれで最後ですよ」
「お、お手柔らかに…アル…」
「はい了解です」
ナイトは最後に手を大きく振り上げ、
ぱっちぃぃんっ!!
「いったぁぁっ!!お手柔らかにって言ったアルのに…」
「あ…すみません、ちょっと力みました…」
ナイトはまじめに申し訳なさそうにしている。
「とにかくカケル、交代だ」
そういってナイトはロンロンさんを膝から下ろした。
「マジか…しかたないな…」
俺はしぶしぶソファーに座った。
「じゃあ…ロンロンさん、膝の上に…来てくれますか?」
「うん…分かってるアル…」
ロンロンさんは妙にすばやく俺の膝の上に乗った。
やわらかいロンロンさんの腹と…その…胸がだな…俺の膝に触れる。
不思議な感覚だ。
「じゃ、じゃあ…いきますね」
話によるとこの人は半分キー、痛くしないとダメなような気がする。
…しかたない。
俺はその手を思いっきり振り上げた。

ぱちぃぃぃぃんっ!!

「いぁぁぁぁっ、いっ…たい」
「あ、あぁっ…すみません、大丈夫ですか?」
「へ、平気アル、早く…終わらせて欲しいアル」
「あ、はい」
それは俺も同じだ、さっさと終わらせてしまおう。
ぱちぃぃん!ぱちぃぃん!
「ひっいい…いったぁぁ…」
「我慢してくださいね、すぐ終わらせますから」
「う…うん…」
ぱちぃぃん!ぱちぃぃんっ!
「ひゃあぁ…」
うー…悲鳴あげられるのはいやだな。
ぱちぃぃん!ぱちぃぃんっ!
「うみゃあっ…うぅ…いたいアルぅ…」
「もう少しですからね」
ぱちぃぃん!ぱちぃぃんっ!
「ひゃぁぁ…ごめんアルぅ…」
「ほら、あと一回ですよ?」
「う、うん…」
俺はふぅと息を整え、もう一度手を振り上げた。実は結構手が痛い。

ぱっちぃぃぃんっ!

「いっぁぁぁっ!!」
「大丈夫ですか…?終わりですよ」
俺はロンロンさんを膝から下ろした。もう少しこのままでも良かった…もとい、恥ずかしくてやってられん。
「うぅ…二人とも痛いアルぅ…」
「す、すみません」
苦笑しながら謝るナイト。ロンロンさんは服を直しながら、
「謝らなくてもいいアルが…。さて、約束どおり今度は交換、あたしが二人におしおきするアル」
ああ…そうだった。すげぇ憂鬱だな。
「一人二十回ずつ、覚悟するヨロシ!!」
そういうとロンロンさんはソファーの横に立った。
「二人とも、ソファーに並んで上半身乗っけるアル。二人一緒にお膝には乗せられないアルからね」
「うー…仕方ない、いくぞカケル」
「覚悟はしてるよ、まったく」
俺たちは言われたとおり、ソファーの上に身体半分を乗せた。
「じゃ、そりゃ…!」
そういうロンロンさんの声とともに…俺の尻にひんやりとした感覚が襲った。
「ひっ…な、なにを!?」
「もちろんお尻出させたアル」
「で、でも…ナイトもいるのに…」
「言ったアルよ?恥ずかしいのもおしおきアル」
たまたまベルトをしてこなかったのが敗因だ。妙な神業でロンロンさんは俺のズボンと下着をひっぺがしたわけだ。
な、ナイトが…いる前で。
「ん…、カケル…今日誰かにお尻叩かれたアルか?」
「…え?」

そ、そうだ…さっき俺はルナさんに…。
俺の尻は赤みがかっていたのだろう…。
ナイトも少し「えっ?」という顔をしている。
「いや、あの…その…しりもちついちゃって…ははは…」
「…?まぁ良いアル」
ふぅ…あせったあせった。
しかしどうするこの状況。ナイトもすでに俺と同じ格好で、お互い目を合わせられない…。
…恥ずかしすぎる。
「じゃあ、お尻ぺんぺん二十回の刑!覚悟するアルっ!!」
俺は歯を食いしばった。ナイトも同じだろう。

ぱっちぃぃぃんっ!!

衝撃が伝わる、ただ痛くはなかった…。
「うぁぁぁっ…!!」
どうやらナイトが叩かれたらしい。
「次はカケル君アル」
うぉ…今度こそかっ!!

ぱっちぃぃぃんっ!!

「いっいぃ…」
いったぁぁ…ルナさんに順ずる。
「どうアルか?あたしのおしおきは?」
「痛い…すごく痛いです…」
「そうアルか?」
「は、はい…」
するとロンロンさんは少し笑って、
「じゃあ、頑張って我慢するアル」
ルナさんにもよく言われますよそれ…。
「じゃあ、ちゃちゃっと終わらせちゃおうアル」
その陽気な声が、今がおしおきの最中であることを忘れさせる。
しかしそれとともに風を切る音。
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!…、
「いぁぁっ!!」
「うっくぁぁっ!」
怒涛の連続攻撃とでも言おうか?
どの音が俺を叩いた音かはすでにわからない。
ロンロンさんはその手を止めることもなく、
「二人とも?」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「ひ…ぃぃ…はい?」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「ちゃんと周りは見えてないとダメアル。もちろん今回はあたしも言えないアルけど…誰かに迷惑かけちゃうのは悪い子アルね?」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
[うっ…うう…ご、ごめんなさい…」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「ちゃんと反省するアルか?」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「「はいっ…」」
見事にハモった。テレビに出れるな。
「フフッ♪二人とも良い子アル」
うっ…ロンロンさんになでられた。これは良い…いや、でも恥ずかしいな。
「じゃああとちょーっとだけ…我慢するアルよ?」
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「うぁぁっ…」
普段ルナさんとなら、ヤダヤダ抵抗したり、ちょっと泣いてみたり、
いろいろ出来るんだが、今はナイトの目の前だ…さすがにそれは気が引ける。
でも痛いし恥ずかしいし…泣きたい。
ぱちぃぃんっ!ぱちぃぃんっ!
「うっ…くく…」
きっとナイトも同じだろう。
「さてさて二人とも、次の一回でおしまいアルよ。泣かなかったし、良い子だったアル♪」
「うぅ…早く、すましちゃってください…」
「お願いします…」
「りょーかいアル♪」
その声から少ししてもう一度風を切る音が聞こえた。

ぱっちぃぃぃんっ!ぱっちぃぃぃんっ!

「いっあぁぁぁっ!!」
「うぐっ…ぁぁっ!!」
二人とも妙に情けない声が出てしまった。
「はい、おしまいアル」
ロンロンさんはもう一度俺らの頭をなでた。
「いやぁ、こんな良い子のナイトは初めてアル。これからもおしおきの時はカケル君と二人にするアルか?」
ロンロンさんはニヤニヤとそう言う。
「絶対いやですっ!!」
ナイトは大げさに反論した。
「自分も遠慮しておきます…」
「ぷっはは♪…でも本当に悪い子だったときは…検討しなきゃ、アルね」
「う〜…」
「冗談きついです…」
「えへへっ♪」
非常に和やかな空気、だけど実は俺にはこの後、一つやろうと思ってずっとモヤモヤしていることがある。
「あ、俺自転車にカギかけっぱなしだ、ナイト、取って来てくれないか?」
「あ、パシリかよ?」
「な、ちょっと頼むぜ、俺尻痛くて…」
「俺も同じなんだが…お前がそんなこと言うのも珍しいし、仕方ないな」
そういうとナイトは玄関の向こうへ消えていった。

「ふぅ…」
「あたしと二人きりじゃないといけないお話アルか?」
「あ、バレちゃいました?」
「ばればれアル。あなたが人に自分のことを頼むような人には見えないアルし、第一ポケットからカギ出てるアルよ?」
あ…不覚だな、まったく。
「で、なんのお話アルか?告白ってことはないだろうし…」
「違いますよ…でも、急なこと言うので、引かないでくださいね?」
「アイヤー!!」
了解…ってことか。じゃあお言葉に甘えて、
俺は一呼吸置いて、少しだけ「きまずい」その話を切り出した。
「自分、昔いじめられてたんですよ…」
「え…」
「ガキ大将…みたいな奴に嫌われてて、だから、そいつとつるんでる奴ら全員から…ずっといじめられてた。ひどいときは、囲まれて殴られたり蹴られたり…」
ロンロンさんは嫌悪に満ちた表情をしていた。
「ひどい…アルな…」
「ナイトもその中にいました…」
「え…?」
「アイツも、そいつとつるんでる連中の一人でした…」
「じゃ、じゃあ…ナイトもカケルのことを…?」

「いや、違いました…」

「…え」
「もともと仲は良かったんですが、アイツも他の奴みたいに、いじめられるのが怖くて自分を捨てると思ってたんです。
だけどアイツは自分を助けてくれた…囲まれて、身動きも取れない俺をかばって、二十人以上の奴らを追っ払ってくれたんですよ。
アイツ俺並みに運動できなくて、ケンカなんてしたことも無いのに」













「どっか行けよ!!うぜぇんだよっ!!」

「てめぇ…いきがってんじゃねえよ…」
「もうぼろぼろのお前がよく言えたな?ナイト」
「うっせぇよ…こんな人数差つけねぇと勝てねぇのかよっ!!」
「てめぇ…もっとやられてぇのかよ!?」
「…俺はドMだからな…」
「っ…てめぇ…」
「さぁ来いよ…ただな、二度とカケルに手出すんじゃねぇ…」
「こ、この野郎まだそんな口を!」

「君たち!!何やってるんだ!!」

「ちっ、人が来たよ…、運が良かったなぁ、バーカ…」

「はぁ…はぁ…」
「な、ナイト…なんで…」
「友人を…裏切る奴がどこにいるよ…?」
「な、ナイトっ…!!」













「アイツは自分の親友です。この…親友って言葉を多用するの苦手なんですが…紛れもなくアイツは親友です。
でも自分は…アイツに何もしてやれてない。
だからせめて、ロンロンさんにお願いしたいんです…」
「何を…アルか?」

「アイツと…ずっと仲良くしてやってください」

「…え?」
「自分は昔、恋人に、すごく辛い思いをさせられた。無理して、優しい言葉で許す真似事をしたけど…、
本当は今も忘れられずにいるんです…」
「…カケル」













「じゃあな…リカ…」
「うん…じゃあね…」
ガチャン…。

「…じゃあな…か…」

「じゃあな…」

「もう二度と会わない…」

「幸せになれよ…」




「…くそっ!!!ちくしょおぉぉぉぉっ!!」













「好きなのに…なぜって…すごく思ったんです」
「…辛かったアルね」
「だから、ナイトに…その思いはさせたくない…だから…」
さっきのおしおきでは…泣かずに済んだのに、気がついたら目には涙が溢れていた。
ダメな男だなぁ…まったく。
「だから…ずっとナイトと…仲良くしてやってくださいっ…!」
俺は頭を下げた。深く下げた。深く深く…。
「カケル…」
ぎゅっ…。
「え…?」
驚いた、ロンロンさんが俺に抱きついていた。
「任せるアル…カケルは優しい子アルな」
「ロンロンさん…すみません、唐突に…」
「謝らないで欲しいアル…ね?」
「ロンロンさん…はい…」
「あ、あと…このことは秘密アルよ?ずっと仲良くするために、いったらお尻百叩きアルっ!!」
「…分かりました」












「カケル、じゃあな」
時刻も程よく遅くなり、俺は玄関で二人に見送られた。
で、このカップルはもう少し幸せな時間を過ごすんだろう。畜生うらやましい!!
「じゃあ、せいぜいお幸せに…」
「おまえっ…!!」
「はははっ…じゃあなー」
「まったく…」
ナイトはやれやれというジェスチャーを見せ付けてドアを閉めた。
いいじゃないか、五歳の年の差、国籍違い。ドラマみたいで。
幸せな二人…ねぇ、懐かしいな…あの頃が。
俺の恋人…リカ…、
三つ年上で…同性愛者…それにすごく遠かったけどすごく綺麗だった、
敬語から始まって、恋人になってお前のたっての要望でタメ口に…、
少なくとも…ちょっとの間は、俺たち…愛し合えてたよな?
リカ…今お前は何してる?
約束どおり幸せにしてるか?
次の瞬間、俺の目の前が暗くなった…。




「だーれだ♪」
「うおっ…ってまたですかルナさん!?」
「フフッ、すみませんマスター」
「まったく…」
「マスター、プリン買って来ましたよ!?ちゃんと二人分♪」
「本当ですか!?じゃあ帰って食べましょうよ!!」
「ええ♪じゃあ競争ですよ!」
「えっ!?」
「よーい…どんっ!!」
「ちょっずるい!ルナさん飛べるじゃないですかっ!!」
「ほほほっ…負けた方はお尻ぺんぺんの刑ですよー!!」
「ちょーっ理不尽すぎますっ!!」
「はーやーくー、マスター♪」


俺?
俺は幸せだよ。こんな陽気なランプの精と一緒に暮らすなんて非現実な生活してるし、
近所の下品だけど優しいランプの精と、その主人のにぎやかな家族とも仲良くしてる。
今日なんか綺麗な女の人と友達になれたし、

何より、大切な親友がいる…。

大丈夫さ、安心して、お前も幸せになってくれ。
















「あ、ロンロンさん、この花瓶どうしたんですか?」
「ああ、これはあたしのおじいさんから貰ったアル、お花買ったから押入れから引っ張り出したアル」
「へぇ…綺麗ですね」


「ヤー、それに何か魔法のランプみたいアル♪」